昼間のはずなのに薄暗い道を歩く
辺りは静かで自分の靴音だけが響いている
怖さを紛らわしながら歩き進めると1つのアトリエが建っていた
古いが暖かさを感じる木造建築
周りに沢山の植物が育っていて建物全体がオシャレに見える
勇気を振り絞り入口に繋がる木の階段に足を置く
ギシっと音を立てる木は此処の古さを感じさせる
ドアに嵌められている窓を覗いてみるがよく分からない
ふとバルコニー的な場所を見ると1匹の猫と犬がコチラを見つめている
その猫は近づいてくると早く開ければ?と一度見上げ、動物が入れる大きさの穴に入っていった
もう一度バルコニーに視線を向ける
犬の姿はもうなかった
掌を握り、ドアノブに手をかけて押す
すると、つるさった小さなベルが鳴る
開かれた中はとても綺麗で
不思議に感じた
ギッ、ギッと足を進め、ネックレスやピアス、時計に絵が飾られているのをひと通り見て周り1つの作品を手に取る
それはネックレスで、中には蝶のイラストが嵌められている
窓から陽が差していてそれに翳すと紫に輝いた
何処からか風が吹きアクセサリーを揺らす
するとそのアクセサリーは青色にも光り、ピンク色にも光った
角度によって色が変わって自分は食い入る様にそれを見つめ続けた
中の蝶が動いた気がした
その時
後ろから可愛らしい声が聞こえて肩を揺らした
振り返れば目を伏せて微笑んだ耳と尻尾の生えた可愛らしい男の子
開かれる瞳はとても綺麗だった
全てを見通してしまいそうな黄金の瞳と全てを呑み込んでしまいそうな夜空の瞳
肩にはさっき見た紫がかった藍色の瞳をした猫
男の子は肩に乗っかる猫を抱き寄せる
猫は喉を鳴らして甘えている
首を横に振れば「そっか」と嬉しそうに微笑んだ
男の子は自分が手に持ってるアクセサリーを持つと何処かに消えていった
もしかして、触っちゃダメだったかな…
だとしたら申し訳ないな
暫くその場に立っていると肩をトントンとされ、そっちに視線を送るとさっきの男の子で
男の子が差し出すのは小さな黒い箱
中身を見ようと箱に手をかけるが男の子に止められる
瞬きをする
そこは自分の部屋のベッドの上
手には黒い箱
開けてみれば自分が手にとったネックレスが綺麗に入っていた
何処からか紙が風になって自分の目の前に来る
紙には「またいつの日にか」と書かれていて
その時耳元で
そう囁かれた気がした
~ end ~
コメント
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やば
なんでこんなに最高なんですか💢← ぶくしつです✨
もうタイトルとか内容とか全てが良すぎますっ…、