春の匂いと君の匂いが

トラクロです。 妄想・ＢＬが苦手な方は読まない事をお勧めします。 ご本人様とは一切関係ございません。

目を覚ますと隣にいたのは……

静かな寝息をたてるトラゾー先生だ。 （クロノアさんがベッドに寝せられてて、トラゾーが添い寝してる）

あれ？ 何でトラゾー先生が隣にいるんだろう？ っていうか、ここどこ？

それよりか！ ち、近い…！ トラゾー先生が袋を取って穏やかな顔で寝ている。 寝息が顔にかかり、前髪が揺らされる。

い、色気が…………………((,,・д・)

こんなに顔を近付けて話していたら 心臓が破裂してしまう

あれ？ トラゾー先生の顔、ちょっと赤い……？

にしてもトラゾー先生は 何でわざわざ添い寝してたんだろう？ まぁ、嬉しかったからいいけど…… 嬉しかった？ 俺、何思って……

朝食を食べ、支度をして、トラゾー先生と一緒に出勤した。

朝のホームルームが始まった。

今日もあの子はサボっている。

俺のクラスには5人くらいやんちゃな生徒がいる。 （悪く言えばチンピラ） その中の一人、蒼峯青龍（あおみね　せいりゅう）は この学校の組長みたいな感じで、 学校には来ているそうだが、まだ一度も教室に来ていない。

屋上に居るらしいので屋上に来てみた。

どうしよう…？ 俺はいつもそうだ。 この容姿によって、甘やかされたり、周りとは違う対応をされたり。 その度に周りと同じようにしてほしいと もどかしい思いをしてきた。

でも、これはある意味 この容姿を活かせるチャンスなのかもしれない。 だとしたら… チャンスを活かさない手はない。 屈辱だが。

俺は、こんなことでしか生徒を振り向かせられないのか？ 一教師として悔しい。悔しい。悔しい。 でも、これで蒼峯君が教室に来てくれれば………

着替え中

白髪ロングにメイド服姿のクロノアさんが登場

その時

バタンッ

誰かが屋上へのドアを勢いよく開けた。

俺は振り向く。

トラゾー先生だ！

トラゾー先生がこっちに駆け寄って来る。 こんな恥ずかしい姿を見ないでほしい…

蒼峯君がトラゾー先生に殴りかかろうとする

これはマズい！ だからと言って俺には何もできない

俺は思わず目をつぶった

ガシッ

トラゾーが蒼峯の手を止めた！

あれ？ 何でこんなにトラゾー先生怒ってるの？ そんなに気に障るかな………

そう言ってトラゾー先生はズカズカと歩いていった。

職員室で何て言われるんだろう… お説教かな… トラゾー先生には迷惑かけてばっかだな、俺。 申し訳ないな……

俺は女装したまま、呆然と立ち尽くした。

トラゾー視点

10分前　職員室にて

こっそり聞いていたトラゾー

クロノア先生が蒼峯という生徒に会いに行くのか… 話からして何かヤバそうだが…

にしても蒼峯っていう名前… どこかで聞き覚えが…。 蒼峯…あおみね…

あ！思い出した！

あれは2年前… 俺が県立東高等学校（男子校）に勤めていたとき…

1年生にヤバい奴がいるという噂を聞いた。 その頃奴はまだ1年だったが、もうその頃から 喧嘩強さと高圧的な雰囲気で 子分を従えていた。 そして、子分の顔が整ってる奴に女装させて面白がっているとか何とかとか。 俺は3年担任だったので直接関わる事はなかったが…。

その時は（生徒にこんな事を思うのは良くないが） とんだ変質者が居たもんだ、としか思わなかったが 今思えばあれは蒼峯だったのだろう。

その後奴は問題をいくつか起こして退学させられた。 その後どうなったかは知らなかったが、 日高に途中入学してきた、ということだろう。

ん？ てことは、クロノア先生も危ないのでは？ クロノア先生は顔が整ってる越えてるもんな……。 嫌な予感がする。

行ってみよう。

それに クロノア先生の女装姿は他の奴に見せたくないしね。 ……たとえ生徒だとしても。

バタンッ

女装させられたクロノア先生と蒼峯がいる。 ……やっぱりか… クソ！もっと早く気付けば…！

クロノア先生に駆け寄る。

クロノア先生は赤面してもじもじと顔をそらす。 ………尊いッッ！ 尊すぎる！

いや、 今はそんなことを考えている時ではない。

そう言って蒼峯が殴りかかってきた

ヒュッ

流石は「組長」 は、速い！

だが…

ガシッ

俺の方が速い！！

間一髪で蒼峯の拳を止めた。

俺は眼光を光らせて言った。

蒼峯は去った。

だいたい予想はつくが、 クロノア先生の口からしっかりと説明してほしい。

そうしてクロノア先生に説明してもらった。

要約すると、蒼峯に「女装したら教室に行く」と言われ、 それを信じて要望に応じてしまったそうだ。

聞くうちに俺はどんどん腹を立てていった。 なぜなら、クロノア先生が自分から女装したということらしいからだ。 嫉妬心が心で破裂しそうなほどに膨れ上がっている。

気付けば俺は かなり強い言葉でクロノア先生を叱っていた。

…あぁ、また人を怖がらせてしまった。 俺はいつもそうだ。 だから人がだんだん離れていく。 クロノア先生にも嫌われてしまったかもしれない。

いや、

例えそうでも、俺はこの人だけは諦めない。

これは、単なる「一目惚れ」なんかではないからだ。

勿論、 明らかに周りより頭ひとつ飛び出た美しさにも惚れたが、 クロノア先生は強くて優しい。 クロノア先生は 「冷血」と周りから敬遠されていた俺を認めてくれた。 だったら、今の俺の事だって認めてくれるはずだ。

戸惑った表情を浮かべているクロノア先生を尻目に、 俺は屋上を早足で出ていった。

俺は今日、本心を告げる。

今日は満月らしい。

あの言葉を あなたに送りたい。

あなたは俺を救ってくれた時のように、 また振り向いてくれるだろうか？