陽路(ヒロ)
私たちの足元に倒れている人たちを見て
怪訝そうな目を向けてくる茶髪の男の子
私を抱きしめているシグはその人に
冷ややかな表情を返した──けれど
キーンコーンカーンコーン…
間延びしたチャイムが鳴った瞬間
にこっと人の好い笑顔に切り替わった
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
廊下のほうをふたたび見てみると
タイミングがいいのか悪いのか
茶髪の彼のそばを先生が通りかかった
先生
先生
時雨(シグ)
時雨(シグ)
先生
時雨(シグ)
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
優しくほほ笑むシグに戸惑いつつ頷く
茶髪の男の子の視線が気になったけれど
あまり見ないようにしてその場を去った
ふたりで肩を並べて廊下を歩きながら
校長室でされた説明をシグに伝えた
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
時雨(シグ)
立ち止まったシグが私の体を引き寄せる
その手がブレザーの中にもぐりこんで
私の体を指先であやしくなぞった
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
さっき茶髪の男の子に見られたことを
はっと思い出して、体がこわばった
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
少し体を離して言いかけたとき
視界に入る、──シグの黒いチョーカー
翠雨(スイ)
──5年前
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
時雨(シグ)
時雨(シグ)
翠雨(スイ)
シグが両手で握ったナイフが光る
次の瞬間
血飛沫が視界を真っ赤に染めた──
時雨(シグ)
顔をのぞきこまれて意識を取り戻した
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
時雨(シグ)
その後、担任の先生と合流して
シグと別れて3組の教室へと連れられた
クラスメイトの前で自己紹介をしたけど
容姿のせいか、…うわさのせいか
やっぱりすごく好奇の目にさらされた
担任
担任
翠雨(スイ)
担任
翠雨(スイ)
そんなことを思いながら席へ向かって
私は驚いて、目を見開いた
隣の席に──あの茶髪の彼がいたから
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
かすかに苦笑する彼に、どきっとした
でもシグの行動は私のせいでもあるから
やっぱり罪悪感を覚えてしまう
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
陽路(ヒロ)
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
それからは休み時間になるたびに
クラスの人たちが周りに集まってきて
矢継ぎ早に質問を投げかけられた
お昼休みになってもそれは変わらずで…
クラスメイト1
翠雨(スイ)
クラスメイト1
クラスメイト2
クラスメイト2
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
クラスメイト3
翠雨(スイ)
クラスメイト3
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
私の髪をかき混ぜてくる男の子の手を
ヒロくんが掴んで、離してくれた
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
陽路(ヒロ)
クラスメイト3
陽路(ヒロ)
翠雨(スイ)
翠雨(スイ)
なんだか頬が熱くなるのを感じながら
ヒロくんと目を合わせると
ふとヒロくんの手がこちらへ伸びてきた
その手は乱れた私の髪を優しく直して
陽路(ヒロ)
ほんの少しだけほほ笑むヒロくん
それにまた、どきっと高鳴る胸
──そのとき
時雨(シグ)
突然ぐいっとうしろから抱き寄せられた