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姉弟の正しい狂い方

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姉弟の正しい狂い方

3 - 姉弟の正しい狂い方 第3話

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2021年07月18日

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時雨(シグ)

スイに気安く触らないでくれる?

ひどく冷たい声だった

空気が一瞬で張りつめて

冷や汗を感じながらうしろを振り向く

翠雨(スイ)

シグ…

私が呼ぶと、シグは打って変わって

途端にふわっと優しくほほ笑んだ

時雨(シグ)

迎えに来たよ、スイ

時雨(シグ)

お昼休みは一緒に過ごそうって

時雨(シグ)

スイが言ったんだよ?

翠雨(スイ)

う、うん

翠雨(スイ)

迎えに来てくれてありがとう

翠雨(スイ)

じゃあ…ごめん、行くね

陽路(ヒロ)

…ああ

時雨(シグ)

…………

ヒロくんに対して敵意を隠さないシグ

またヒロくんに申し訳なく思いつつ

シグに肩を抱かれて教室を出た

──ふたりきりの空き教室

時雨(シグ)

…あの馴れ馴れしい男、なに?

翠雨(スイ)

な、馴れ馴れしくしてきたわけじゃないよ

翠雨(スイ)

私の髪が乱れてたから、直してくれただけで

時雨(シグ)

…でも僕のスイに触れるなんて

時雨(シグ)

気分よくないなぁ…

拗ねたような表情を浮かべて

私の髪を丁寧な手つきで撫でるシグ

翠雨(スイ)

シグ…?

翠雨(スイ)

お弁当食べないの?

時雨(シグ)

…うん、でもその前に

時雨(シグ)

スイにもっと触れさせて?

時雨(シグ)

僕、いますごく疲れてるんだ

私を抱きしめて、ため息をつくシグ

私も戸惑いつつお箸を置いて

シグの体をそっと抱きしめ返した

翠雨(スイ)

女の子たちにたくさん話しかけられた…?

時雨(シグ)

よくわかったね

時雨(シグ)

僕にとっての女の子はスイだけだけれど

時雨(シグ)

笑顔で対応したら、なにを勘違いしたのか

時雨(シグ)

しつこく話しかけられてすごく面倒だった

時雨(シグ)

…スイのほうは?

時雨(シグ)

さっき周りに男がたくさんいたけど

翠雨(スイ)

あ…あれは、ヒロくんの友だちだよ?

時雨(シグ)

…ヒロくん?

翠雨(スイ)

あ、隣の席の彼のこと…

時雨(シグ)

…………

翠雨(スイ)

シグ…?

時雨(シグ)

…気に入らないなぁ

翠雨(スイ)

え…

翠雨(スイ)

…ひぁっ…ん

背中に回されていたシグの手が動いて

私の太ももをするりと撫でてきた

それだけでは終わらず、ゆっくりと

スカートの中へ侵入してくる手

翠雨(スイ)

やっ…し、シグっ

翠雨(スイ)

そんなとこ…っ、触っ…

翠雨(スイ)

シグっ…ぁっ…!

時雨(シグ)

…そうだよ…、スイ

時雨(シグ)

他の男の名前なんか聞きたくない

時雨(シグ)

僕の名前だけ呼んでて?

翠雨(スイ)

あっ…んぅ…っ

弱い部分を指先でゆるく刺激されて

甘い感覚に体の奥が熱くなってくる

翠雨(スイ)

が、学校、…っなのに

翠雨(スイ)

こんなこと…しちゃ、…

時雨(シグ)

でも気持ちいいでしょ…?

時雨(シグ)

ほら、…ここ

翠雨(スイ)

んんっ…!

時雨(シグ)

スイは本当にかわいいね…

時雨(シグ)

僕の指で、もっと気持ちよくしてあげるから

翠雨(スイ)

ぁ…っ、し、シグ…っ

時雨(シグ)

そう…もっと…

時雨(シグ)

そのかわいい声で、僕の名前だけ呼んで…?

──お昼休みが終わって

5時間目がはじまる直前に教室に戻った

陽路(ヒロ)

…翠雨、なんか顔赤くね?

翠雨(スイ)

え…っ、そ、そうかな…?

翠雨(スイ)

急いで戻ってきたから、かも…

陽路(ヒロ)

ふぅん?

翠雨(スイ)

あのっ…それよりもごめんね

翠雨(スイ)

弟がなんだか、冷たい態度とっちゃって…

陽路(ヒロ)

ああ、双子なんだっけ?

陽路(ヒロ)

俺は別にいいけど

陽路(ヒロ)

弟にあんなべたべたされていやじゃねえの?

翠雨(スイ)

す、少し困ることはあるけど…

翠雨(スイ)

不快だと思ったことは…ないよ

陽路(ヒロ)

ふーん

陽路(ヒロ)

まあどうでもいっか

翠雨(スイ)

(…どうでもいい…か)

翠雨(スイ)

(周囲の人と違って、ヒロくんは無関心なんだな…)

翠雨(スイ)

(踏み込まれなくてよかったはずなのに)

翠雨(スイ)

(…なんだか、少し──…)

──その日の、夕食時

おごそかな雰囲気の大広間で

広いテーブルに並べられた料理たち

どれも一流のシェフのお手製…だけれど

母親

──はあ…

翠雨(スイ)

…っ

母親

どこかの双子のせいで空気が汚れているわね

母親

せっかくのお食事だというのに

母親

味が落ちてしまうわ

テーブルの上席付近に座る母が

遠くの端に座る私たち双子に届く声で

聞こえよがしに毒づいた

翠雨(スイ)

…………

時雨(シグ)

…………

ピンと張りつめた苦しい空気の中で

料理の味なんて…いつもわからない

母親

晴哉(せいや)さんもそう思わない?

兄(晴哉)

まあまあ…、お母さま

兄(晴哉)

あの双子も一応戸籍上は柳野家の者なんですよ

母親

私と血縁はないけれどね

──そう

私たち双子は彼女の実の子じゃない

父親と愛人の間にできた 非嫡出子…

母親

私の子はあなただけよ、晴哉さん

母親

財閥を継ぐ将来が約束された

母親

柳野家直系の優秀な御曹司ですもの…

兄(晴哉)

ふふ、ありがとうございます

兄(晴哉)

お母さまの教育のおかげで僕があります

母親

ああ、なんて素晴らしい息子なのかしら…

翠雨(スイ)

(お父さまはこのあいだから出張中で)

翠雨(スイ)

(夕食時はいつも以上に肩身が狭い…)

翠雨(スイ)

(はやく離れの部屋に戻りたいな…)

翠雨(スイ)

(ああ、でも今日はピアノのレッスンがあるんだっけ…)

兄(晴哉)

…そうだ、翠雨

翠雨(スイ)

っ…!

翠雨(スイ)

は…はい、お兄さま

兄(晴哉)

このあとのピアノのレッスンだけれど

兄(晴哉)

講師の方に用事があって、今夜はいらっしゃらないようだから

兄(晴哉)

特別に僕がみてあげるよ

翠雨(スイ)

え…

時雨(シグ)

…………

翠雨(スイ)

わ…わかりました

母親

まあ、晴哉さん

母親

あんな娘のレッスンに付き合ってやることないのに

兄(晴哉)

外に出したときに柳野家の面汚しになることだけは御免ですよ

兄(晴哉)

この家に置く以上、最低限の教育は施してやらないとね

母親

本当にお優しいのねえ

ふたりの会話を聞きながら

私は隣のシグに感情を悟られないよう

手が震えないよう…、懸命にこらえた

兄(晴哉)

──翠雨、遅かったね

翠雨(スイ)

…ご…ごめんなさい

兄から言いつけられた場所は

いつもレッスンで使うピアノ室ではなく

グランドピアノが置いてある

私の部屋より何倍も広い兄の部屋

兄(晴哉)

ふふ、なにをそんなに怖がっているんだ

兄(晴哉)

言っただろう、この家に置く以上

兄(晴哉)

最低限の教育は施してやる──とね

冷たい瞳をした兄が口元を歪める

ゾッとして体がすくんだ次の瞬間

兄(晴哉)

ほらっ、来なさい!

グイッと腕を乱暴につかまれ

広いベッドに力づくで押し倒された

翠雨(スイ)

きゃっ…!

兄(晴哉)

翠雨、これは教育だよ

ギシッとベッドのスプリングが鳴った

覆いかぶさってくる兄の大きな体に

心の中が恐怖一色に支配される

兄(晴哉)

なに固まってるんだ、翠雨

楽しげに笑う兄に胸ぐらをつかまれ

兄(晴哉)

──はやく服を脱げ

姉弟の正しい狂い方

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コメント

60

ユーザー

シグ!出番だ!スイを守れ!

ユーザー

う、うわぁ泥棒だ(スイの)やっつけろー

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