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甘ノ寂

第14話 - 甘ノ寂

2021年03月02日

#青春恋愛

#鈴花学園

#ファンタジー

#コメディ

#幽霊

#花言葉

佐倉なるる

碧唯

そういえば、あんずと嶺音って仲良いの？

氷麗

ん？なんで？

碧唯

結構前掃除中だったっけ？なんか劇の練習って言って来たじゃん

氷麗

あー

氷麗

まあ、たまに会うと大体一緒にいるよ

碧唯

ふーん

碧唯

ま、あん時の様子じゃあ嶺音が無理やり連れてるみたいだけど

氷麗

──え？

氷麗

劇じゃなかったの！？

碧唯

はあ？イチカ、嶺音の本性知ってまでそんな勘違いしてたの？

氷麗

えっ、えっ、だって…え！

碧唯

まぁじで鈍感だな

碧唯

俺の生きてるとき、サクラが担任だったんだけど

氷麗

サクラ？

碧唯

だからー、桃田桜太センセーだよ！

氷麗

あー

氷麗

てゆうか、なんでサクラって呼ぶの？

碧唯

えー、桜太だから、名前もじった感じ？

碧唯

サクラ！

氷麗

変なのー

氷麗

でも桃田先生も大変だったろうなー

氷麗

受け持ったクラスの子が死ぬなんてね

碧唯

まあね…

碧唯

でも、あのクラスの問題は俺だけじゃないよ

碧唯

俺らのクラスは控えめに言って荒れてた

氷麗

そうなんだ…

碧唯

中2で、学園にも慣れてきて

碧唯

しかもエスカレーターだから受験もないし

氷麗

まあそうだよね

氷麗

気が抜けるときではある

碧唯

そうそう

碧唯

それに嶺音もあんずも、ある意味では問題児だったよ

氷麗

どう…して？

碧唯

嶺音はあんずに嫌がらせをしたり

碧唯

あんずはすごく溜め込んでて

碧唯

俺の生前から2人はすごく仲が悪かった

氷麗

嘘…

氷麗

じゃあどうして嶺音先輩とあんず先輩が？

氷麗

──もしかして碧唯くんの殺害を…知ってるとか？

碧唯

…うーん

碧唯

わからないけど

碧唯

俺が言うのもなんだけど、2人はちょっと似ててさ

碧唯

その…恋愛傾向が

氷麗

…同じ人を好きだったってこと？

碧唯

らしい

碧唯

俺もあとから聞いた話なんだけど

氷麗

へえ…

氷麗

にしても、なんで碧唯くんそんなモテてんの？

碧唯

偶然でしょ

氷麗

くぁーあたしは告白されたこともないのに

碧唯

まあ、俺もあんずには告白されたわけではないけど

氷麗

え？

氷麗

うわっ！

碧唯

ここは仮想世界

碧唯

そのときの様子を再現するところ

碧唯

ちなみに俺らの姿は見えてないからね

碧唯

いくよ？

パチンと碧唯くんが指をならすと

あんず先輩によく似た、でも少し幼い女子が入ってきた

碧唯

あんずだ

碧唯

アイツはいつも1番早く学校に来てた

あんず

…

碧唯

それから──

桜太

あ、園本さん、おはようございます

あんず

…おはようございます

碧唯

…来たね

嶺音

先生！おはちゃーん！

麻希

おはおはっ！！

栞菜

おはござーっす！

桜太

はいはい、甘天もおはよう

碧唯

おはよっす

氷麗

うわ碧唯くんが2人

碧唯

まあ中2で死んでるから見た目変わんないしね

碧唯

んで、俺は会議だから

碧唯

コレ見といて

碧唯

他の過去も見たかったらいいから

氷麗

え！？おいてかれんの！？

碧唯

ごめんね、帰ったらね！

嶺音

あーまーあーめーくーん！

碧唯

んっ？

嶺音

おはよ！

碧唯

んおはよ

栞菜

お？お前ら？

麻希

もしかして～？？(笑)

その他女子軍

嶺音ちゃーん？

嶺音

やっ、やめてよー！

その他女子軍

あはははっ

優也

そうだよな、嶺音は俺が好きだもんな

嶺音

うん、それはない

夏帆

乙(笑)

優也

ひでー(笑)

その他男子軍

優也、925回目の玉砕おめでとう！

優也

草ぁ

ドンッ

夏帆

あ、わりぃ

あんず

…べつに

麻希

暗っ(笑)

栞菜

ガチでこいつうぜんだけど～

嶺音

やめとけ～？(笑)

優也

お前絶対思ってねぇだろ

この頃は、嶺音先輩やこの周りの人たちがカーストで言う上位だったそう

嶺音

おっはよーん！

栞菜

おはよ！

栞菜

遅かったじゃん？

嶺音

んそそ、寝坊った

麻希

珍し(笑)

嶺音

そういえば～…──

そう言いながら嶺音先輩は当たり前のようにドカッとあんず先輩の席に座る

氷麗

(あ、あんず先輩戻ってき──)

あんず

あの

あんず

そこ退いて

嶺音

えー？聞こえないよぉ(笑)

麻希

wwwwwww

あんず

退いてって言ってんの

嶺音

は？口答えする気？

夏帆

あん？生意気～(笑)

麻希

そうそう、キレないうちにやめとけって

その日から嶺音先輩はあんず先輩をいじめるようになったそう

嶺音

碧唯くんっ！

碧唯

ん

嶺音

もー冷たいって！

氷麗

(ボディタッチ)

なぜかあたしがもやっとした

嶺音

あのさぁ──

ドンッ

嶺音

チッ

嶺音

今大事な話してんの！当たってくんな！

あんず

…

嶺音

ねぇまじうざいんだけど！

嶺音

今のもどうせわざとだろ！？

嶺音

ね、碧唯くんなんとか言ってよ～

碧唯

ん？

嶺音

コイツ、まじうざい

碧唯

はは、やめなよ

碧唯

小学生かっての

嶺音

え

嶺音

…っ～！

次の日からもっと悪化し

栞菜

お前さ、碧唯くんに絡むんじゃねーよ

麻希

ほんと、ざけんな

あんず

…別になにも

嶺音

えっ、まっさか、好きなの～？

嶺音

あんたみたいなブスには無理だよっ？

嶺音

ブス！！ブース！！

あんず

…別に

優也

おいお前ここまでやられねぇとわかんないのかよ

夏帆

おらよ！！

勢い良く振り上げたバケツ

振り下ろすとそこにいたのは──

夏帆

…っ！？

夏帆

なんでお前！！

碧唯

…なにしてんの？

碧唯

やめな

嶺音

あ、碧唯、びしょ濡れ…

碧唯

触んな

碧唯

真っ向面から勝負できない奴は好きじゃない

碧唯

陰湿なことすんな

嶺音

…っ！

嶺音

いやっ、碧唯っ！！

碧唯

…園本、いくよ

あんず

は…はい

氷麗

(こりゃオチるわ)

優也

お前さ、なに嶺音をむげにしてんの？

夏帆

マジノリ悪ぃって(笑)

碧唯

知らねーよお前らのノリなんか

夏帆

あ！？

優也

お前も一発いっとくか？

嶺音

ちょっと！！

嶺音

2人とも、碧唯になにしてんの！！

夏帆

嶺音、俺らお前のために…

嶺音

こんなの頼んでない！

嶺音

シメんのは園本だけっつったろ！

碧唯

いやだから…

桜太

ん？どーした

桜太

おはようみんな

碧唯

もー、サクラ能天気！！

嶺音

ほんとに！！

嶺音

サクラ先生、今のはテンション違うよ！！

夏帆

お、サクラだ！

優也

おはよ！

みんな先生が大好きで、先生がいると明るくなった

でも

嶺音

碧唯！

2人しかいない教室で叫ぶ

碧唯

ん？

もう帰ろうとしていた碧唯くんは憂鬱げに振り替える

嶺音

好き！！

碧唯

…だから、それは無理だって──

嶺音

これでも？

碧唯

…っ！

嶺音先輩はポケットからカッターを取り出す

嶺音

ね、キスしたことある？

碧唯

あ、あるけど…

嶺音

ファーストじゃないならいいでしょ？キスしてよ

嶺音

今日はそれで許すからさ？

碧唯

…っ

嶺音

もー、いいよ？今日はあたしからしてあげる

碧唯

やめ…っ……んっ！

氷麗

(う…)

嶺音

ふふ、やっぱりこうすればよかったんだ

嶺音

碧唯の苦しみもがく顔、ずっと見たかった

嶺音

あー…すごくゾクゾクする

嶺音

碧唯…大好きだよ、また明日

すると、それまではよく話していたあんず先輩と碧唯くんが話さなくなっていく

あんず

あの、碧唯くん

碧唯

ん？どうし──

嶺音

ねえ！！！碧唯！

嶺音

コイツと話すなってば！

碧唯

…っ

碧唯

ご、ごめんあんず

あんず

え…？

そして──

碧唯

嶺音…？それ──

嶺音

そう

嶺音

斧だよ

嶺音

最近碧唯の苦しみが見えないし、愛も感じないからさぁ？

碧唯

やめろ！！

嶺音

ね、こうすればずっと近くにいてくれる？

碧唯

そ、そんなの…！

嶺音

──あぁ

嶺音

ずっとそんな顔見たかったぁ…！！

嶺音

ねぇ、もっともっともっと！

嶺音

あたしで苦しんでよ！！！！

もうだいぶ目が赤い碧唯くんはうしろに後ずさりする

そして碧唯くんが壁際までくるとドンと叩く

そして嶺音先輩は

斧を振りかざ──

甘ノ寂

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佐倉なるる

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