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静かな雨の音。夜の交差点。信号の光が滲んでいる。
優澄叶葉(ゆずみかのは)は、放課後の帰り道にスマホを握りしめていた。
画面にはオーディション番組の最終結果──“落選”の文字。
優澄叶葉
雨粒が頬に落ちる。
それが涙かどうか、自分でもわからなかった。
夢だった。
KーPOPアイドルになること。
誰かに見つけてもらうこと。
でも、世界はそんなに優しくなかった。
優澄叶葉
その瞬間、眩しいライトが視界を切り裂いた。
──ブレーキ音。
──誰かの叫び声。
視界が白に包まれて、叶葉の身体がふっと軽くなる。
優澄叶葉
まるで夢の中みたいに、音が遠ざかっていった。
時間が止まったような静寂。光の中で、声が響く。
???
優澄叶葉
???
その声に導かれるように、叶葉はゆっくりと手を伸ばした。
まぶしい光が消えたあと──
???
聞き慣れない言葉に、目を開ける。
そこは真っ白な部屋。
見知らぬ鏡、見知らぬ顔。
ファン・ジュヨン(叶葉)
鏡の中には、黒髪の少女が映っていた。
日本人ではない顔立ち。
けれど、その瞳だけは…たしかに“自分”だった。
???
ファン・ジュヨン(叶葉)
枕元には名札が置かれている。
そこには──
“FAN JUYEON(ファン・ジュヨン)”
ファン・ジュヨン(叶葉)