夜中の0時になると毎晩低い音で時間をお知らせする。
それが、時計(僕)の仕事。
0時
ボーンボーンボーン………
低い音で時間を知らせる。
お屋敷の人達の部屋はとっくに消えている。
町の明かりも消えている。
真っ暗。街灯もなにもない。
だけど、月が照らしてくれる。
あぁ……明日は晴れかな。
時計(僕)がこのお屋敷に来たのは、このお屋敷が建ってからずっと。
何十年も何百年もここのお屋敷の時計として毎日動く。
雨の日
晴れの日
曇りの日
嵐の日
雷の日
大雨の日
地震の日
………いつだって、ここにいて皆を見てる。
時計(僕)に望みなんてない。
所詮、物だから。
今夜は舞踏会なのかな。
部屋が明るい。
心地よい音楽が聞こえる。
皆の笑い声が聞こえる。
楽しそうだなぁ。
ボーンボーンボーン…………。
今日は朝から皆がお屋敷に列を作っていた。
どうしたんだろう。
「あの上の時計が毎晩0時になってうるさいのよ!」
「せっかく寝かしつけたのにあの音でまた泣いちゃうじゃない!」
「毎晩0時に鳴らさなくてもいいだろ?」
「って言うか……必要ないでしょ?」
あれ?時計(僕)ってもしかして、皆から
嫌われてる?
………お屋敷のご主人様はどうやら時計(僕)を取り外すことにしたらしい。
望みはないよ。
所詮、物だもの。
だけど、
だけど…………!!!
この音も時計(僕)も作り出したのは貴方でしょ?
選んだのは貴方でしょ?
買ったのは貴方でしょ?
もし、叶うなら…………
ううん、叶わなくてもいい…………
時計(僕)を壊さないで…………。
【お屋敷の時計はこの日を境に取り外すされる前に動かなくなった。】
【音も、時間も、】
【ご主人様は取り外すことはやめ、お屋敷の飾りとして今でも飾っている。】
【そのご主人様が亡くなった後も、】
【お屋敷が壊されるまで時計が外されることはなかった。】
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(((o(*゚▽゚*)o)))
(´๑•_•๑)\(๑•ω•๑)ヨシヨシ