ピッピッと機械音が鳴り響く。
俺はすやすやと眠る彼の手をぎゅっと握っていた。
出会った頃に思いを馳せていた。
ふっと我に帰り、自分を嘲笑った。
人の信じ方さえ忘れ、愛し方さえも忘れた。
愛することと信じることができなくなった人間は、何ができるのか。
何もできない。
ただ、一定のリズムを刻んで淡々と生きていくほかなかった。
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
隆
大陽
大陽
大陽
隆
隆
大陽
無意識に、彼の手を握る手に力を込めた。
大陽
大陽
大陽
大陽
隆
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
隆
隆
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
隆
隆
隆
隆
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
隆
隆
俯いていると、突然頬を包まれ、彼の唇が降ってきた。
隆
隆
大陽
隆
俺も、と言いたかった。
しかし、言える権利もない。
気がつけば、視界はぼやけ、頬に雫が蔦っていた。
大陽
大陽
大陽
隆
大陽
大陽
大陽
泣き目で訴える彼に、キスをした。
今まで閉じていた蓋が、破れた感覚だった。
頑丈に、決して中身が見えないように蓋をしたつもりだった。
しかし、実際は酷く脆く透けていたのかもしれない。
全てとめどなく溢れてくる。
大陽
大陽
隆
そうして、熱い時間を過ごした。
あれが初めて、俺達が運命を打ち破った瞬間だった。
いや、
考えてみれば、出会ったその瞬間から運命ではなく、必然的なものだったのではないか。
そんな、
暖かい日差しに包まれるような昔を感じていた。
隆
隆
大陽
大陽
隆
あの晩から4日。
今日は彼の退院の日。
あと少し、もう少しだけと自分に言い聞かせ、4日間ずっとそばにいたのは紛れもなく彼が好きだからだった。
しかし、結局そんな気持ちは届くことがなく、この日を迎えようとしている。
心の中でそっと呟いた。
隆
大陽
大陽
隆
まるでそれは、付き合う前の男女のようなもどかしさだった。
決定的な形はなく、気持ちだけがそこにある。
それすらも行き場を探している。
隆
隆
大陽
大陽
大陽
隆
隆
隆
大陽
医師
医師
医師
大陽
隆
隆
医師
隆
じわり、と涙が滲む。
喉がぎゅうっと痛くなる。
隆
隆
彼が運ばれた時、思わず ''婚約者'' だと名乗ったのは、自分だけの秘密にしておくことにした。
明るい室内に暗い空気が流れる。
医師
医師
大陽
大陽
大陽
医師
医師
医師
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
大陽
医師
医師
大陽
医師
医師
大陽
大陽
大陽
医師
医師
大陽
大陽
医師
大陽
大陽
彼が最後に見せた笑顔が脳裏に浮かんだ。
まるで、あの日のような笑みだった。
''若年発症型両側感音難聴''
次第に耳が聞こえにくくなっていくこの病気は徐々に体に影を落としている。
しかし、愛する人を目前にしてそんなことはどうでも良くなっていた。
今はただ、彼に会いたい。
会ったら思いの丈を伝えよう、と走った。
ぬし
ぬし
ぬし
ぬし
ぬし
ぬし
ぬし
ぬし
ぬし
コメント
1件
やっぱり、病気だったんだ…