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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

ピッピッと機械音が鳴り響く。

俺はすやすやと眠る彼の手をぎゅっと握っていた。

出会った頃に思いを馳せていた。

ふっと我に帰り、自分を嘲笑った。

人の信じ方さえ忘れ、愛し方さえも忘れた。

愛することと信じることができなくなった人間は、何ができるのか。

何もできない。

ただ、一定のリズムを刻んで淡々と生きていくほかなかった。

もう少し、そばにいさせて、、

付き合った時も

5回目の飯でお前が倒れて、

病院運ばれて、

俺がずっと付き添ってたんだっけ

それでその後

泣きながら告白したんだよね、、

まるで

今と一緒

ごめんな、、

大陽、、

別れた時、忘れて、なんて言ったけど

ほんとは

忘れて欲しくなんか、、なかった、、

いつかまた

迎えに行くつもりだった。

大陽

、、、

大陽

た、、か、、ちゃん、、?

大陽

たかちゃん、、なの、、?

た、、いよ、、、

目が覚めた、、の、、か、、?

大陽

うん、、

無意識に、彼の手を握る手に力を込めた。

大陽

、、、

大陽

夢見てたんだ、、

大陽

昔の

大陽

出会った頃の

、、、

大陽

ねぇ

大陽

なんで泣いてるの、、?

大陽

らしくないなぁ、、

大陽

ふふっ、、、

大陽

嬉しいなぁ、、

大陽

好きな人がこんなに僕のことを心配してくれてる

、、、

そんなこと、、言ってる場合じゃ、、

大陽

ううん

大陽

僕にとってはこんなこと言ってる場合なんだよ、、

大陽

ねぇ、

大陽

何してたの?

大陽

どこに行ってたの?

大陽

なんで

大陽

別れようなんて言ったの、、?

大陽

今なら、聞かせて貰えないかな、、?

大陽

だめ、、か、、

、、、、

ごめん、

でも、お前も分かってたんだろ

あぁするのが俺らの為だったって。

大陽

っ、、、

大陽

初めはね

大陽

僕もそう思ってた

大陽

でも、、

大陽

やっぱり何か違うんだ

大陽

3年経った今でも

大陽

ずっとたかちゃんの残像追っかけてんだよ

大陽

まだ大好きでたまらないんだよ、、

もう、どうすることもできないよ

ごめn、、、っ?!

俯いていると、突然頬を包まれ、彼の唇が降ってきた。

、、え、、、

たい、、よ、、、

大陽

好きだよ、、

、、、

俺も、と言いたかった。

しかし、言える権利もない。

気がつけば、視界はぼやけ、頬に雫が蔦っていた。

大陽

ねぇ、

大陽

好きじゃなくなった訳じゃ、、

大陽

ないんでしょ、、、?

っ、、、

大陽

分かるよ、、それくらい、、

大陽

たかch、、、、、

大陽

んっ、、、、、

泣き目で訴える彼に、キスをした。

今まで閉じていた蓋が、破れた感覚だった。

頑丈に、決して中身が見えないように蓋をしたつもりだった。

しかし、実際は酷く脆く透けていたのかもしれない。

全てとめどなく溢れてくる。

大陽

んぅ、、、

大陽

たか、、ちゃ、、、

、、、ん、、

そうして、熱い時間を過ごした。

あれが初めて、俺達が運命を打ち破った瞬間だった。

いや、

考えてみれば、出会ったその瞬間から運命ではなく、必然的なものだったのではないか。

そんな、

暖かい日差しに包まれるような昔を感じていた。

大陽ー

起きたかー?

大陽

今日も来てくれたんだ

大陽

おはよ

おう

あの晩から4日。

今日は彼の退院の日。

あと少し、もう少しだけと自分に言い聞かせ、4日間ずっとそばにいたのは紛れもなく彼が好きだからだった。

しかし、結局そんな気持ちは届くことがなく、この日を迎えようとしている。

心の中でそっと呟いた。

元気でな、、、

大陽

んー?

大陽

なんか言った?

なんでもないよー

まるでそれは、付き合う前の男女のようなもどかしさだった。

決定的な形はなく、気持ちだけがそこにある。

それすらも行き場を探している。

準備できたか?

退院おめでと

大陽

うん

大陽

ありがと、、

大陽

ね、たかちゃ、、、

俺、今日仕事あるから

これで、

行くよ

大陽

あ、、うん、、、

医師

|ω・)و゙ ㌧㌧

医師

失礼します

医師

間宮くん、ちょっと帰る前に、お話いいかな?

大陽

あ、、はい、、

じゃ、俺は行くよ

先生、よろしくお願いします

医師

ペコ

失礼します

じわり、と涙が滲む。

喉がぎゅうっと痛くなる。

ばいばい

大陽、、、

彼が運ばれた時、思わず ''婚約者'' だと名乗ったのは、自分だけの秘密にしておくことにした。

明るい室内に暗い空気が流れる。

医師

大陽くん、、

医師

今回倒れた理由、、分かってるよね、、?

大陽

はい、、

大陽

あの病気のせいですよね、、

大陽

最近は、頭痛とか耳鳴り減ってたんですけど、、

医師

そうだね、、

医師

この病気は君のせいじゃないから

医師

どうか自分を責めないで

大陽

分かってます、、

大陽

でも、

大陽

だから辛いんです

大陽

誰のせいにも出来ないから

大陽

誰のことも責められないから

大陽

時々、

大陽

気持ちの行き場がなくなります。

医師

そうだね、、

医師

さっきの方は、、

大陽

、、え、、?

医師

君の婚約者だと言っていたが、、

医師

彼は知ってるのかい?

大陽

、、は、、、?

大陽

こん、、、やくしゃ、、

大陽

って、、彼が、、?

医師

、、うん

医師

ここへ運ばれてきた時、そう言ってたよ

大陽

すみません、、

大陽

ちょっと、帰ります

医師

あ、、あぁ、、

大陽

ダダッ

大陽

(たかちゃん、、)

彼が最後に見せた笑顔が脳裏に浮かんだ。

まるで、あの日のような笑みだった。

''若年発症型両側感音難聴''

次第に耳が聞こえにくくなっていくこの病気は徐々に体に影を落としている。

しかし、愛する人を目前にしてそんなことはどうでも良くなっていた。

今はただ、彼に会いたい。

会ったら思いの丈を伝えよう、と走った。

ぬし

読んでくださってありがとうございます🥹🥹

ぬし

さて、第5話終了です

ぬし

やだもう、、

ぬし

切ない、、、、、、

ぬし

大陽追いつけ!頑張れ!

ぬし

ってことで

ぬし

次回は

ぬし

もっともっと切ない展開が、、、?、!

ぬし

お楽しみにっ!

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コメント

1

ユーザー

やっぱり、病気だったんだ…

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