「あぁ、俊哉...あなたともう離れたくないわ...」
「俺もだ...亜香里。もう絶対に君を手放さない...」
香穂
「–––そうして二人は屋上で誓い、唇を重ね合った...」...っと...
香穂
はあぁ〜...恋愛って素敵...♡
私は一人でその感情に浸っていると後ろから肩を叩かれ、聞き馴染みのある声を聞いた。
奈津
香穂!おはよう!
香穂
あっ、おはよう奈津
私は慌てて本をしまおうとすると、奈津が素早く本を取り上げた。
香穂
なっ...!?
香穂
かっ、返してよ奈津!
奈津
まぁたこんな甘々ラブラブ恋愛小説読んでるの〜?
私は小説をペラペラとめくる奈津から赤面で本を奪った。
奈津
こんなの読んでても恋愛なんかできないよ?
香穂
分かってるよ...でも果報は寝てまてでしょ
奈津
まだ何もしてないじゃん
つんとする私をよそ目に奈津は自分の席につきバックを下ろした。
奈津
運ばっかに頼ってばっかじゃいい男は現れないよ?
奈津
自分から行動しなくちゃ
香穂
奈津だってまだ彼氏いないじゃん
奈津
残念!もういるんだよねそれがぁ♪
香穂
えっ...!?
驚いて固まる私に奈津はスマホを出して写真を開いた。
奈津
香穂
なっ、何このイケメン!
香穂
こんなカッコいい子、学校にいたっけ...?
奈津
でしょ?
奈津
実は私の彼氏、駿くんなんだ!
香穂
えっ!?あの二組の、森田駿!?あのメガネ!?
奈津
メガネってw
奈津
カッコいいでしょ?
香穂
これがギャップ萌えってやつか...
香穂
てかどーやっとこんなイケメンって
見いだせたの?
奈津
それがたまたまなんだよ。
奈津
部活で仲良くなって、気づいたら両思いだったんだ
香穂
えぇ...何それ
香穂
超玉の輿じゃん!
香穂
いいなぁ...私も早く恋愛したい!
奈津
いつか香穂にもできるよ
香穂
っ!?
奈津
あぁ...また"王子様"のお出ましか
香穂
あっ...
奈津
悠人くんって人気だよねぇ〜
奈津
勉強とスポーツだってできるし
奈津
顔面国宝だしさ。
奈津
学校中の女子を虜にするのも無理はないか
ケラケラ笑っている奈津をよそに、
私は下を向いていた。
奈津
–––そろそろ香穂も話しかけてみたら?
香穂
わっ、私が...!?
奈津
香穂だって悠人のこと好きじゃん
奈津
その気持ちを諦めるのもったいないよ
香穂
でっ、でも...
香穂
...私みたいな冴えない女子、悠人みたいな人に勿体ないよ
奈津
まーたそんなこと言って
奈津
もしかしたら地味すぎてクラスメイトとしても認識されてないかもよ?
香穂
そっ、それは嫌だよ!
奈津
でしょ?なら話しかけてみたら
奈津
減るもんでもないし
香穂
わっ、分かったよ...