テラーノベル
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ほんのり明るい光が、窓越しに差し込んでいる
廊下を、ぺたぺたと足音が鳴る
髪はぐしゃぐしゃ、パジャマの襟元は緩んでいて、片肩が少し落ちている
麗央は、寝ぼけ眼のまま、よろ…とリビングに足を踏み入れた
麗央
声にならない声を漏らしながら、ぼんやりと部屋を見回す
そこには、すでに3人の男たちがいた
蓮は新聞をめくりながら、龍牙はコーヒーを飲み、朔矢はソファでスマホをいじっている
そして全員が――ぴたり、と動きを止めた
朔矢
朔矢が口元に指を当て、目を細める
その視線は、ふわふわとした足取りで近づいてくる麗央に向けられていた
朔矢
くすくす、と笑うが、その目の奥には、わずかな棘と嫉妬の色
龍牙
龍牙がぼそりと呟く
龍牙
カップを置く手に、ほんの一瞬だけ力がこもった
蓮
蓮は何も言わなかった
新聞をそっと置き、麗央に目を向ける
その瞳は鋭さを潜ませながらも、どこか複雑で、怒りとも言い切れない――妙な色をしていた
蓮
低い声。でも、咎めるような鋭さはなかった
麗央は、ぼんやりとした顔でそのまま、朔矢の隣にとことこと歩み寄り、ぺたんと座り込む
麗央
ぽつぽつと、呟くような声
そのまま、朔矢の腕にくっつくように寄りかかってきて――
麗央
朔矢
空気が変わった
朔矢の眉がぴくりと動く
朔矢
その腕をすっと麗央の背中にまわしながら、口元だけは笑っている
けれど、目が笑っていない
龍牙
龍牙が静かに立ち上がって、キッチンの方へ向かいながら、ちらりとだけ視線を向ける
龍牙
ぼそ、と言ったその言葉は、どこか切なげだった
蓮
蓮の声が、また低く響く
蓮
その言葉の意味を、寝ぼけた麗央はまだ理解していない
ただ、目をこすりながら、ふにゃっと笑って、
麗央
零斗
背後から声がして、零斗がふいにリビングへ現れる
軽く伸びをして、寝癖のままの髪をかきあげると、ソファに座った麗央の頭をぽん、と撫でる
零斗
龍牙
龍牙が低く言う
零斗
零斗
蓮
蓮のぼそりとした一言に、零斗が盛大にむせた
そのやり取りを、ぽけーっと聞いていた麗央は、ようやく少し目が覚めてきて――
麗央
小さな声で謝ったその表情が、あまりにも無垢で
4人の男たちは、揃って、深くため息をついた
ああ……やばい
零斗がふと、思う
こいつ、もっと守らないと……
龍牙
龍牙がぽつりと言うと、麗央は嬉しそうに顔をあげた
麗央
その言葉に、誰より先に蓮が立ち上がる
蓮
その背に、麗央が無邪気に笑いかけた
麗央
蓮の肩が、びくりと揺れた
零斗も、朔矢も、龍牙も、それぞれに思った
……甘やかすと、ダメになるぞ
……でも、甘やかしたくなるんだよなぁ……
そんな、ほんの少し危うくて、甘い朝だった
だいふく
だいふく
コメント
8件
おくれてごめんなさい(。>_<。) 忙しかったから癒される
やっと追いつきました!!めっちゃくちゃ良い作品に出会えて幸せです🫶🏻続き待ってます🤞🏻🍀
今までで1番好きかもしれない……めちゃくちゃ尊いし、反則すぎる…!!!!!