荘厳な雰囲気が漂うのはドームを抱く天井の高い教会。
聖人を象ったステンドグラスから差し込む光は梅雨とは思えないほど目映い光である。
オルガンの音と共に鳴り響いていた賛美歌が終わりを告げると、祭壇の前に立つ神父が聖書を捲った。
神父
名前しか知らない男の隣に立つどぬくは緊張のあまり震えてしまうのを隠すようそっと拳をにぎる。
D
ちらりとも見ることができない程に隣からは威圧のオーラが放たれている
≪もふさんのお相手,オメガって本当なようね
神父の言葉の合間に聞きたくないことが漏れて聞こえてくる
≪もふさんならもっと素敵なかたと...
言葉一つ一つに身を縮こませるしかなかった。
二十歳前にようやく160㎝まで伸びた身長は男にしては低く,体も薄っぺらだ。
肌の色もとても白く,髪色も白い。
そんな自分が嫌でそれがオメガの特徴の表れである事実に嫌悪する。
D
俯いて目を閉じて時が早く流れるのをひたすら待つ。
神父
お決まりのセリフだ。
M
何拍子か置いた後答える。だがその声に温度はない。
神父
束縛...だなあ
言葉が出てこない。たった五語。喉に閊えて飛び出せずにいる
≪ゴホンっ
≪チッ
参列席からイラつきの混じった咳が聞こえ始めた
D
神父
もふは小さいリングを手に取ると乱暴にどぬくの左手を掴んだ
D
自分に何度も大丈夫だと言い聞かせる
神父
M
初めてもふさんから感情のこもった言葉が発せられた
D
小さい肩が震え上がる
もふさんの気配が近づいてくるのがわかった。「くそっ」と息だけの悪態が顔にかかる
頬の傍まで近づいたのは感じ取れたが、唇が鳴らす「チュッ」という音の後に離れていった
≪ふぉー!
参列者側から歓声が沸き起こる
D
神父
神父
スタッフ
教会のイメージを上げるため,か
断らなきゃと思っているとスッともふさんの肘が差し出された
M
D
D
そんなことをぼんやり考えていると
M
手首を強く掴まれた
D
何が何だかわからぬまま正面に伸びる道の向こうに駐まっている黒塗りの車まで歩き続けるしかなかった
運転手
D
扉が閉まれば、閉塞感が増していく
もふが冷たい視線がじっとどぬくに向き、ビクビク震えるばかりいる姿に「ハッ」と息を吐き捨て、長い足を組み直すとスマートフォンを取り出した
M
D
M
運転手
婚姻届け,か
M
M
大きな高層マンションは相応のセキュリティが施され、パネルに指紋認証しなければ入れない仕組みになっていた
もふは自分の手を翳して扉を開いた後、オドオドと近づいてくるどぬくに苛立って舌打ちをした
M
D
ピコん
M
M
42階です
M
D
中は想像していた倍ほど広かった。 玄関はL字に曲がっており突き当りがリビング。
M
M
M
M
D
M
D
D
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