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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

人は誰だって、愛することができる

人は誰だって、愛されることができる

それじゃあ、もし

その愛を、知らない人がいたら?

車内から夜の街を覗く。

並んで立つ高層ビルには、いやでも目に入る大きなネオンの掲示板。

“_______現在若者の人気絶頂!芸能界きっての新星!シンガーソングライターのチョン・ホソク! その活躍は今や世界へ渡り、モデルや俳優など幅広いジャンルでファンを釘つげにしている! そして何よりもその美貌! 誰もが目を惹かれるそのルックスが、彼の一番の武器と言って良いでしょう_______”

そんな番組のMCの声。 自然と溜め息がもれた。

マネージャー

よかったじゃん。あんなに大々的に取り上げてもらえて。社長も喜んでるし。

運転席のマネージャーが、バックミラーで僕を見た。 表情を変えなかった僕に、彼は苦笑した。

マネージャー

今じゃ世界的な人間になったんだよ?もっと喜んだら?

ホソク

そりゃあ嬉しいよ?みんな優しくしてくれるし、
高いお店に連れてってくれるし

マネージャー

お前なぁ…

夜の街に大きく光った、綺麗に着飾った自分と目が合った。

ホソク

………どーせルックスにしか興味ないくせに。

マネージャー

何?何か言った?

ホソク

んーん。なんでもない。

イヤホンをつけて、音楽を流す。 この時だけは、自分と世界が切り離されているみたいで、好き。

マネージャー

着いたよ。お行儀よくね?

車はそびえ立った建物の前で止まる。

ホソク

これでも上品で通ってるから、僕。

ホソク

楽しみだなぁー行ってみたいレストランなんだ。

マネージャー

はぁ…それで今日は?

ホソク

そのままホテルから送ってもらう。大丈夫、仕事には遅れない

僕はイヤホンをしたまま、車から降りた。

ホソク

じゃ、また明日

そんな僕を、彼は引き留めた。

ホソク

なぁに?

マネージャー

……何でもない。行ってらっしゃい、


………ホソク。

僕は笑って、僕を待つ人のところへ向かった。

僕はチョン・ホソク。

歌手、モデル、俳優として世界的に輝く人々の一人。

でも、僕がどういう人間か、誰も知らない。

そのことが妙に面白くて、笑えた。

ナムジュンside

音楽番組の収録のために、俺たちはスタジオの控え室にいた。

ジン

ヤージョングガー!それ僕の何だけどー⁉

グク

いいじゃないですか、俺だってこっち食べたい。

ジン

お前マンネだろぉーっ僕長男なんだけどぉ⁉

グク

長男は自分で長男なんて言わないですよ。

ジン

言うよ!言わせてくれよ‼️僕長男だよ!!

ジミン

まぁまぁヒョン…僕のあげるから

ジン

ヤー…ほんとにジミナは優しいなぁ~。

いつもと変わらない騒がしさだった。 スタッフもメイクヌナたちもこのうるささに慣れたのか、もう呆れてた。

テテ

えっ!?ヒョンほんと!?

ユンギ

うるせぇ…嘘つくかよそんなことで。

テテ

えぇーっマジで!ちょー楽しみっ!

ジミン

なになに?

テテ

今日の収録!あのチョン・ホソクと一緒なんだって!

その名前を聞いて、メンバーそれぞれが反応した。

ナムジュン

彼は今日のゲストで、ファンのためにサプライズでの登場だって。

テテ

もぉーヒョンなんで言ってくれなかったのー

ナムジュン

お前がそうなると思ったから、
マネヒョンに止められてたんだよ

チョン・ホソク………

韓国はもちろん、今じゃ世界的にヒットしてる歌手。 世界中に彼を知らない人間なんていないんじゃないかって言われてるほど、有名な人だった。

グク

テヒョイヒョン大好きですもんねー

テテ

そう言うお前だって好きじゃんかー

グク

まぁ…いい歌多いですから。

彼の実力は、先輩グループのアイドル達からも一目置かれているらしい。

ジミン

でも僕…あの人苦手だなぁ…

ジミナは顔を暗くしてそう言った。

テテ

やーなんでぇ!すっごいイケメンだし可愛いしスタイルいいし!
お前のタイプっぽいじゃん!

ジミン

違うからっ!なんていうか…雰囲気っていうか、そういうのがちょっと…

ジミナが苦手なのは、多分、彼が自分のルックスを一番の武器にしてるからってことだと思う。 それについては誰も否定しない。

ジミン

結構噂もあるって言われてるし…

テテ

噂ってー?

ナムジュン

ジミナ。

ジミン

あ…ごめんなさい。

しゅんとするジミナ。 こいつがそう思うのも無理ないと思う。

彼の見た目からして、なんていうか…… 遊んでそうに見えるんだろう。

ジン

ナムジュナー?浮かない顔してんねー

ナムジュン

えっ?あ、いや、

ユンギ

どうかしたか?

テテ

なにー?ヒョンもホソクのこと気になってんのー?

ナムジュン

違うし、ダンスのイメトレしてたんだよ!

ジミン

ヒョンほんとに真面目ですよね。

ナムジュン

そりゃあARMYが見てるんだから、失敗なんてできないだろ。

ホソク

さすがプロ。意識高いですね。

そんな声が、ドアの方から聞こえてきた。

ホソク

ごめんなさい。
何回もノックしたんですけど…お楽しみみたいだったので。

そう言って笑った彼に、俺たちはバラバラな反応を見せた。

テテ

え、えっえ!?ホソクさんっ!?

ホソク

はい、そうです。

テテ

うわぁーホンモノだぁ!俺テヒョンって言います!

ホソク

あぁ、あなたが世界一ハンサムの…

彼と話すテヒョアに、犬の耳と尻尾が見えた。

ナムジュン

すみません、ろくに挨拶もしないで…

ホソク

いえ?初めてご一緒するので、こちらから伺いました。

テテ

おいジョングガー、お前も挨拶したら?

グク

え、なんで…

テテ

だってお前も好きじゃーん。

テヒョアに無理やり引っ張り出されたジョングガ。 嫌そうな顔してるなぁ…まぁあいつ極度の人見知りだし。

グク

………ジョングクです。

テテ

お前それだけー?

グク

ヒョンうるさい。

そんな無愛想なジョングガに、彼は綺麗に笑った。

ホソク

あ、黄金マンネくん、ですよね?

グク

え、

ホソク

よく動画で見てます。
コラボの歌も聴きますし、素敵な声ですよね。

グク

…ども。俺もあなたの曲よく聴きます

あ。あのマンネが初対面の人を正面から見た。

ホソク

今日はよろしくお願いします。
皆さんのパフォーマンス、楽しみにしてます。

彼は礼儀正しくお辞儀して、出て行った。

テテ

全然いい人じゃーん。ねっジミナ?

ジミン

んー…まぁ…

ユンギ

上辺だけならどうとでも取り繕えるだろ。

テテ

もぉーっなんでそんなこと言うのヒョンー!

ナムジュン

テヒョア、彼はお前より年上だよ。
敬語使わないと。

テテ

あ、やっぱり?大人っぽいもんね~

グク

確か、ナムジュニヒョンと同い年ですよね?

ナムジュン

……え?あー、そうなのか。

正直俺には、彼の情報が少なかった。

ジン

あっ僕ちょーっと飲み物買ってくんねー

ユンギ

俺コーヒー

グク

じゃあミルクティー

テテ

あっコーラ!

ジン

ヤーっ!なんで僕をパシリに使うのぉー!!

訴えも虚しく、ヒョンはマンネ2人に控え室から追い出された。

テテ

でもさぁー?なんでそんなイヤなわけ?

ジミン

イヤっていうか…噂が多いっていうか…

テテ

噂って?

ジミナはチラッとヒョンラインに目配せした。 今度は、俺も止めなかった。

ジミン

……この業界の女の人たちと、遊んでるって。

ジミナの言う通り、彼にはそういう噂が絶えずあった。 その原因は、彼のルックス、立ち振る舞い、話し方……要するに雰囲気だった

どこからそんな噂が立ったのかは知らないけど、そのせいで彼を嫌うナムジャアイドルたちが増えていた。

グク

……そんな風には、見えなかったけどな。

ぼそっと呟いたジョングガ。俺はこの空気に、思わず声を出した。

ナムジュン

ジンヒョンのとこ行ってくるよ。
一人じゃ大変だろうし。

そう言って控室から出た。

自販機にいるだろうヒョンのところに向かう途中、廊下の先に人影が見えた。 そのうちの一人は、さっきの彼だった。

ナムジュン

……なんで隠れてるんだ俺…

咄嗟に曲がり角に隠れた自分に呆れた。 ただ通り過ぎればよかったのに、なんでか気になってしまった。

だって彼は、後輩グループの女の子といたから。

ホソク

……うん………だから…

盗み聞きする罪悪感より、好奇心の方が勝っていた。 噂が本当なのか、確かめてみたかった。

俺は物陰から少しだけ、顔を覗かせた。

ナムジュン

その女の子はホソクさんの首に、両腕を回していた。 二人の影が重なった。

……あー…変なとこ見ちゃったな……

ジン

ナームジュナっ

ナムジュン

ぎゃあっ!?

グク

いやあぁ!?なっ何そんな声出してぇっ!

ナムジュン

ごっごめんヒョン…ビックリして…

心臓飛び出るかと思った…

ジン

そーいや、何してたの?

ナムジュン

へっ?あ…ヒョン1人じゃ大変かなーって…

バカ、あからさまに動揺してどうすんだよ…

ジン

んー?それは嬉しいけど、どうしたん…

多分、ヒョンは俺の後ろの光景を見た。 あちゃー…と思ってヒョンを見ると、ヒョンはなんでか険しい顔をしていた。

ナムジュン

…ヒョン?

ジン

あ、ごめんごめんっ、
ヤー若いなぁっと思ってさぁ!

ヒョンはいつものように笑った。

ナムジュン

…ジミナの言ってた噂、ほんとなのかな。

ジン

ホントだったら?

ナムジュン

ヒョンはホントだと思う?

ジン

……うーん、さぁねぇ~

曖昧なヒョンを横目に、俺はもう一度、彼を見た。

作者です! ちょっと今書いてる『falling 』に行き詰まってしまったので 箸休めにこれを書きます‼️ いつも応援ありがとうございます😊

この作品はいかがでしたか?

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コメント

8

ユーザー

さ、最高です…_:(´ཀ`」 ∠): ホソクさんの秘密気になりすぎる🤐 噂はいくらでも流せちゃうからね…😢 次回も楽しみにしております♪ ご自分のペースで頑張ってください!٩( 'ω' )و

ユーザー

くぅ…最高です😭💗 ホソクさん、本当に遊んでいるのだろうか…??? ジミンちゃんの気持ちも分からんでもない…有名人ってなるとそういう噂は絶たないしね‪💧‬ 次回も楽しみにしてます!自分のペースで無理せず頑張って下さい💪

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