TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

雨歌の中学時代のバレー部の監督

お前がいれば全国大会優勝間違い無しだ!!

近所のおばさん

天才っていうのはあの子のことだわ!!

バレーは私の存在意義そのものだった。

バレーをしている時は、何かの物語の主人公になった気分だった。

そんな時だった。

中1のとある夏の日。

その日は大事な試合があって、その帰り道だった。

青信号の横断歩道を渡っていただけだった。

キキーッ!

気付いたら、白いトラックが横に居て。

ドンッ!!

運転手は起きること無くアクセルを踏み続け私に衝突。

そのまま私は宙を舞って、コンクリートに強く打ち付けられた。

宙を舞っていた時に見えた夕焼けが今でも脳裏に焼き付いている。

それから直ぐに誰かが救急車を呼んでくれて、病院に運ばれた。

先生

診断の結果、雨歌さんは…

”左膝前十字靭帯断裂”

先生

です。

雨歌

…え

雨歌の母

…何ですって…

先生

それで、雨歌さんには1年間、リハビリに通って頂きます

雨歌

雨歌の母

…1年、ですか?
普通の靭帯断裂なら普通は半年間ちょっとで済むはずですが

先生

お母様、雨歌さんは足が速い、もしくは高く飛べることができますか?ですか?

雨歌の母

えぇ、速いと思いますよ。50メートル走が6秒ですし、最高到達点が315くらい…でしょうか

先生

その通り、雨歌さんは足が速くて高く飛べる。その理由は足の筋肉の付き方にあるんです

雨歌の母

…足の筋肉の付き方?

先生

はい。
雨歌さんの足が速く高く飛べる理由は、特殊な筋肉の付き方をしているからなんです

雨歌の母

…はい

先生

その特殊な筋肉のつき方の影響で、全治までの時間が普通の筋肉の付き方の人よりかかってしまうんです

雨歌の母

…なるほど

雨歌

………

白い包帯がぐるぐる巻かれた私の”武器”と、傍に置かれた松葉杖。

足を動かそうとすれば痛みで涙が出そうだった。

近所のおばさん

居眠り運転してた車に轢かれたそうよ、可哀想に

煩い

近所のおばさん

高校に行けばもっと活躍出来ただろうに

煩い

近所のおばさん

もうバレーを諦めちゃうのかしら
あの足じゃ出来ないわよね…

煩い!!

黙れ、黙れ………

黙ってよ…!!

私は可哀想なんかじゃない。

私はまだ、バレーが出来る。

1日…1分1秒よりも早くコートに立つ為に、リハビリは毎日欠かさなかった。

雨歌

何でっ…何で動いてくれないの!?

歩けるようにはなったが、前見たく高く飛べるようにはならなかった。

その度に私の心はへし折られ続けた。

雨歌

なんで…

何で私がこんな目に遭わないといけないの?

チームメイトがお見舞いに来てくれた時も。

チームメイト

雨歌が帰って来るの、待ってるから!!

悔しくて毎日泣いて。

チームメイトの励ましも嫌味に聞こえて。

雨歌の中学時代のバレー部の監督

今日から雨歌が復帰する!!最初は無理せず頑張れよ

雨歌

…はい

1年間の地獄のリハビリを耐え続けて。

やっとの思いで立ったコートでも上手く飛ぶことが出来なかった。

飛べなくなったあの日。

私の武器を奪われた”あの日”。

足が失くなった時の感覚、あの恐怖が心に棲みついて。

私の武器に鎖がかかったかのように。

足が動かなかったから。

チームメイト

なんで何もできなくなった雨歌に気を遣わないといけないの?

チームメイト

まともにプレーもできないあんたに何の価値があるの?

何か、もう

いいや。

”生きててくれてよかった”

そう言った豹馬の瞳は潤んでいるように見えて、今度は私が言葉を失った。

千切 豹馬

もしその時死んでたら今も話せてなかったんだぞ、俺達

良かった、と心の底から嬉しそうに笑う豹馬。

雨歌

今の聞いてバレーじゃなくて事故の話する?

千切 豹馬

雨歌が考え込んで決断した事に俺がとやかく言う筋合い無くない?

豹馬は宝物を扱うみたいに私の頭を優しく撫でた。

千切 豹馬

俺にとってサッカーが存在意義だったように、雨歌にとってはバレーがそうだったんだろ?

千切 豹馬

それほど大事な夢を失った辛さを、経験したことの無い俺は分かってやれない。

千切 豹馬

それは雨歌も同じだ。
あの頃の雨歌の選択を、今の雨歌が後悔したら駄目だ。未来の自分が

”正解にしてやれよ”

雨歌

…っ、

豹馬のくれた言葉が、砂漠に唯一の水のオアシスのように心を潤わせてくれる。

未だにそれを考えて涙を流す夜もある。

あの事故さえなければ今もまだバレーをしていたはずだ。

だけど、起こってしまったものは仕方がない。

いくら悔やんでも過去は変わらない。

失くした夢に囚われて過去に縛られるより、今目の前にある物を大切にしないといけない。

自分を変えられるのは

”今を生きる”自分だけだ。

千切 豹馬

…もっかい泣いとくか?

雨歌

…うっさい

きっとこれからも、夢があった未来の姿を想像する夜があるかもしれない。

それでも、私だけは私を悲観しては駄目だと思う。

過去ばかりじゃなくて、今を見るんだ。

顔を上げて目を潤ませた私に、豹馬は正面に膝をついて両腕を広げる。

千切 豹馬

おいで、雨歌

雨歌

…うん

今日の2回目の涙は、彼の胸の中で静かに流した。

しあ

こんしあ〜!

しあ

やっと明かされましたね、雨歌ちゃんの過去…

しあ

さぁこれから雨歌ちゃんはどの道を進んでいくのか!

しあ

とても悩みどころですね…

しあ

ところで!!

しあ

フォロワー様80人ありがとうございます.ᐟ‪‪‬.ᐟ‪‪‬

しあ

このまま100人めざして頑張ります.ᐟ‪‪‬.ᐟ‪‪‬

しあ

それでは.ᐟ‪‪‬.ᐟ‪‪‬

おつしあ~.ᐟ‪‪‬.ᐟ‪‪‬

夢を”追いかける”彼と夢を”諦めた”私。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

522

コメント

2

ユーザー

フォロー失礼しますm(_ _)m 続き待っています!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚