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好きです!つ、続き待ってます!
こんなに泣いたのは、足を失った日以来だった。
涙と共に色々な複雑な感情が流れていった気がしてすっきりした。
雨歌
お礼を伝えて元の姿勢に戻ると、豹馬の体操着に出来た涙の跡に気がついた。
雨歌
彼は何の話?と首を傾げてから身の体操着に目を落とした。
千切 豹馬
そう言うとまたすぐ私を見て、こちらに手を伸ばしてくる。
千切 豹馬
顔にかかった髪を耳にかけて、目元を優しくなぞられた。
雨歌
擽ったくて体を捩らせると、「ごめん」と何故か照れて手を引っ込まされた。
全校生徒の前でお姫様抱っこもしてたし、何ならさっきまでハグもしたのに。
よくわからないところで照れる男だ。
雨歌
千切 豹馬
疑問形ではあるが、すっと立ち上がって行動する豹馬を見て、豹馬の優しさが垣間見える。
嬉しいけど、今してほしいことは違う。
私は勇気を出して、豹馬の体操着の裾を控えめに摘む。
雨歌
振り返った豹馬はとんでもなく珍しい物を見たかのように目を見開き、頬を段々赤くさせる。
そして、一言。
千切 豹馬
雨歌
乙女の憧れはいつの時代も、少女漫画のヒロインだと相場が決まっている。
理想と現実のギャップは十分に承知しているが、私だって年頃の女子高生だ。
少しくらいは、夢を見たい。
雨歌
先程の言葉に付け足すように本音を漏らせば、豹馬は口角をあげてほくそ笑む。
千切 豹馬
雨歌
─千切side─
前向きな表情をして心を改めた雨歌を見て心が和らぐ。
正直、雨歌の泣いている姿を見て胸が張り裂けそうになった。
中学生という幼さで理不尽な理由で存在意義を
”夢”を、取り上げられて。
当時の雨歌の悲しさと苦しさは、経験のない俺には到底計り知れない。
「もし俺が、」なんて、考えるだけでもぞっとする。
それくらいの怖さを、あの時の雨歌も味わったんだ。
俺の言葉で、少しでも雨歌の事を救えただろうか。
雨歌
雨歌はいつも通りの笑顔を俺に向けた。
やっぱり、雨歌には笑顔が良く似合う。
泣きたい時は今日みたいに俺の傍で泣いて欲しい。
雨歌
長期戦なんて覚悟の上。
今まで何回雨歌に振られたと思ってんだ。
千切 豹馬
雨歌の瞳が揺れた。
俺を本気にさせたのは雨歌なんだから。
千切 豹馬
何か言いたげに口を開いた雨歌の言葉を遮る。
雨歌
千切 豹馬
待つ気なんてさらさらない。
俺を本気にさせたのは、仁科雨歌とサッカーだけだから。
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
いつになったっていい。
絶対に俺が好きにさせてやる。
千切 豹馬
雨歌
”雨歌が好きだ。俺と付き合ってほしい”
誰が予想できただろう。
こんな王道すぎる告白を、私があの豹馬にされるなんて。
雨歌
”私は”、なに??
私の心の中で、何かが渦巻いている。
黙り込んでいると、豹馬が先に口を開いた。
千切 豹馬
普段の豹馬からは想像出来ない一言。
その言葉に、すっと力が抜けた気がした。
千切 豹馬
雨歌
千切 豹馬
ほんと、ずるいな。
千切 豹馬
豹馬は口角を上げてそう言った。
雨歌
私も、いつか豹馬を好きになる日が来るのかな。
あの時、断るべきか少し悩んだ。
そんな自分に、少し動揺した。
いつもなら悩まずにスパッと断ることが出来るから。
私は思った以上に豹馬の事が好きなんだな。
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
しあ
おつしあ〜!!