テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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運命

第4話 - 運命　その肆

130

2022年02月13日

#歴史

#恋愛

#明治

#呪い

#一次創作

茜

えっ…

茜

私に…見合い相手が？

執事

はい。

執事

明後日にこの屋敷へ参られますので、そのつもりでいてください。

茜

そう…。

茜

名前はなんというの？

執事

菫坂晴富（ｽﾐﾚｻﾞｶﾊﾙﾄﾐ）様という方です。

茜

晴富、さん…。

茜

（神宮寺さんではないのね…。）

茜

（そういえばあの方、今頃どうしてるのかしら。）

執事

それで、今後の予定ですが…

茜

あ、

茜

うん。

執事

明日の夜は私と芝居を見に行きましょう。

茜

えっ、

茜

芝居って…町にでるの？

執事

はい。

執事

？、何かご不満ですか？

茜

いや…。

茜

貴方の口からそんな言葉が出るとは思わなくて…ほら貴方、いっつも外に出てはダメですって私に言ってたじゃない。

執事

ああ、

執事

確かにそうでしたね。

執事

お嬢様はもう17にもなられてるので、芝居を見に行くくらいなら大丈夫かと思っただけです。

茜

！

茜

そう…。

執事

はい。

茜

……。

茜

（芝居を見に行くくらいなら、か…）

茜

分かったわ、ありがとう。

執事

はい、当日まで楽しみにしててくださいね。

茜

うん…。

茜

（芝居を見に行くくらいなら…か。）

茜

やっぱり、それ以外のところには行けないのね…。

茜

ガサッ…

茜

！？

バサバサッ…！

茜

ひぃっ！

茜

な、何…⁉︎

茜

ん？

バサッ…！

神宮寺

茜

！

茜

神宮寺…さん？

神宮寺

！

神宮寺

茜さん！

ぱぁっ（雅秀が笑顔になる）

神宮寺

こんばんは、昨夜ぶりですね。

神宮寺

今日もお庭を眺めていたのですか？

茜

は、はい…。

茜

ここの花を見てると、心が安らぐんです。

神宮寺

なるほど…

神宮寺

あねもねの花がお気に入りなのですか？茜音さんの近くに沢山咲いてますね。

茜

ええ、

茜

アネモネは、誠一さんが気に入ってた花だから…。私も大好きなんです。

茜

真っ赤で、

茜

小さくて、

茜

綺麗で、

茜

この花を見てると誠一さんと過ごした日々が蘇ってきます…。

神宮寺

！…。

神宮寺

…。

神宮寺

本当に、誠一さんがお好きだったんですね。

茜

！…

茜

ご、

茜

ごめんなさい…

神宮寺

大丈夫ですよ。

神宮寺

僕はそんな茜さんの一途さに惹かれてるんです。

茜

！…

神宮寺

茜さん、

茜

？

神宮寺

ご提案があるのですが、

神宮寺

明日の昼、一緒に誠一さんのお墓へ行きませんか？

茜

！

茜

…誠一さんの？

神宮寺

はい。

神宮寺

嫌ですか？

茜

！、いいえ。

茜

その逆です。

茜

私、ずっと前から誠一さんのお墓参りがしたいと思っていましたの。

神宮寺

！

神宮寺

それなら…

茜

でも、無理です。ごめんなさい。

神宮寺

？…

茜

私、執事から一人での外出が禁止されているんです。

神宮寺

！

茜

だから、

茜

執事と一緒にいなきゃ外には出られませんわ。

神宮寺

そうなんですか…。

神宮寺

なら、執事の方と僕の3人で行きませんか？

茜

それだと、もっと無理なお出かけになります。

茜

…後からわかったのですが、

茜

ここだけの話、

茜

執事は誠一さんのことをよく思ってなかったみたいで…。

神宮寺

！…

茜

だから、墓参りなんて絶対に許可してくれませんわ。

神宮寺

そうですか…。

神宮寺

じゃあ、墓参りは難しそうですね。

茜

…。

茜

ごめんなさい、折角誘ってくださるのn…

神宮寺

今から行きますか？

茜

えっ？

神宮寺

今からこっそり2人でお墓参りにいきませんか？

神宮寺

今なら執事の方もお休みになられてるでしょうし、僕としては絶好の機会だと思うのですが…

茜

…今から。

神宮寺

はい。

神宮寺

こっそり行って、ささっと帰れば大丈夫だと思いますよ。

茜

…。

茜

…ちょっと待っててください。

神宮寺

…。

神宮寺

（茜さん、どうしたのかな…）

茜

神宮寺さん。

神宮寺

！

（茜が紺色の着物に着替えて庭へ出てくる）

茜

ごめんなさい。

茜

パジャマで墓参りはいささか無礼だと思って…着替えるついでに部屋に鍵もかけてきたわ。

茜

早速行きましょう。

神宮寺

！

神宮寺

本当にいいんですか？

茜

ええ、

茜

誠一さんのためなら、行きます。

神宮寺

！…。

神宮寺

茜さん…。

神宮寺

貴方は本当に一途な人なんですね。

神宮寺

そういえば茜さん、大丈夫なんですか？

茜

？、何が？

神宮寺

いや…僕はてっきり、

神宮寺

茜さんは夜のお墓とかを怖がる人だ思っていましたから…

茜

！…

茜

…。

神宮寺

！、

神宮寺

茜さん…まさか、

神宮寺

そこまで考えてなかったんですか？

茜

…。

茜

だ、

茜

大丈夫…。

茜

私…全然、平気です…。

神宮寺

！

神宮寺

ふふっ。

神宮寺

手、繋いでいきましょうか。

茜

えっ。

神宮寺

僕がそばにいた方が茜さんも怖くないでしょう？

茜

…

茜

そ…そうですね。

神宮寺

ふふっ。

神宮寺

じゃあ、はい。

茜

！

茜

こ、こっちも…

茜

はい…！です！

神宮寺

！、

神宮寺

（かわいい…）

数分後

神宮寺

茜さん、大丈夫ですか？

茜

え、ええ…平気です。

茜

日本のお墓ってこんな感じなのね…なんだか、不気味だわ。

神宮寺

夜のお墓はどれも不気味ですよ。

神宮寺

折角ここまで来たんですから、気をしっかりして、僕の手を握っててください。

茜

は、はい…。

神宮寺

さて、

神宮寺

この中に誠一さんのお墓があるはずです、探してみましょう。

茜

…。ｺｸﾝｯ

神宮寺

…あれ？

茜

？

茜

どうしたのですか？

神宮寺

墓が…ない。

茜

えっ。

神宮寺

花園誠一の墓が、ない…！

茜

⁉︎

茜

え、なんで…。

神宮寺

分かりません。

神宮寺

でも、どこを見ても誠一さんの墓はありません。

茜

そんな…。

茜

私の祖国みたいに土に埋葬した…なんて、ありえないわよね。

神宮寺

それはありえませんね。

神宮寺

やっぱり、誠一さんの死には何か絡んでいるのかもしれない…。

茜

？

神宮寺

茜さん。

神宮寺

僕は今日の昼、同僚と花園屋に行ってきました。

神宮寺

そして、そこで偶然、僕は不思議な人物を見かけたんです。

茜

！

茜

（不思議な人物…？）

神宮寺

彼は顔を布で覆っていて、お坊さんの格好をしていました。

数時間前

神宮寺

僕は茜さんを愛しています。この世の誰よりも。

ビクッ！

？？

！

神宮寺

（ん？）

神宮寺

（なんだあの男は…茜さんと言った瞬間に立ち上がったぞ。）

神宮寺

…彼は、僕が茜さんの話をした途端、ビクッと肩を揺らして僕を凝視していました。

茜

そ、そうなのですか…

茜

それは確かに不思議な方ですね。

茜

そのあと、その方は何かされたのですか？

神宮寺

いいえ。

神宮寺

しかし、近くの団子屋で聞き込みをしたところ

神宮寺

顔を布で覆った男は、誠一さんが亡くなってから毎日花園屋に訪れ、

神宮寺

若い女将さんと話しているそうです。

茜

若い女将さん…。

茜

もしかして、涼さんのことでしょうか…。

神宮寺

涼さん？

茜

誠一さんの妹さんです。

茜

私が結婚する前に、もうすぐ女将として働くって彼女が話してくれました。

神宮寺

そうですか…。

神宮寺

（誠一の墓に、顔の見えない不思議な男、そして、その男と話す若女将…）

神宮寺

（ただの事故にしては妙に不思議なものがついている。）

神宮寺

（花園家は、一体を何を隠しているんだ…？）

茜

…。

茜

神宮寺さん。

神宮寺

！

神宮寺

どうされました？

茜

…。

茜

ありがとう。

茜

私をここに連れてきてくださって。

神宮寺

！

茜

お墓がないなんて、不思議ですね。

茜

折角持ってきたアネモネの花束が、無駄になってしまいましたわ。

茜

これも…きっと私の呪いなのです…。

神宮寺

！…

茜

神宮寺さんは、とっても優しいのですね。

茜

呪われた私を希望の人と呼んでくださった上に、行きたかった場所に連れ出してくださるなんて…イギリスの紳士でもできませんわ。

茜

本当にありがとう。

茜

…それと

茜

…感謝しかできなくて、ごめんなさい。

神宮寺

…。

神宮寺

茜さん…。

神宮寺

謝らないでください。

神宮寺

好きな人に尽くすことは当たり前のことですから。

茜

！…

神宮寺

大丈夫です。

神宮寺

僕が必ず、この謎を解決させて、茜さんが希望の人だって証明してみせます。

茜

！…

神宮寺

今日の出来事でハッキリしました。

神宮寺

誠一さんの死は、ただの事故じゃありません。

神宮寺

花園家には何か裏があるはずです。

神宮寺

僕が絶対、それを明らかにしてみせます。

茜

！…

神宮寺

僕は茜さんが自分自身を責めるのを見たくないんです。

神宮寺

だから、

神宮寺

貴方の笑顔のためなら、僕は何だってします。

神宮寺

たとえそれが、自分の恋を終わらせる結果になろうとも。

茜

！

神宮寺

警官としても、

神宮寺

神宮寺雅秀という1人の男としても、

神宮寺

僕は最後まで、貴方を守り抜きたい。

茜

！…

茜

神宮寺さん…。

茜

っ…。

茜

（そんな真っ直ぐな目で、見つめないで…）

茜

（誠一さんの思いが霞のように消えてしまいそう…）

茜

神宮寺

…

神宮寺

帰りましょうか、茜さん。

茜

！

茜

…。ｺｸｯ

神宮寺

少しだけ雨が降ってきましたね。

茜

ええ…。

茜

そうですね…。

茜

…。

神宮寺

…。

茜

…。

茜

（ど、どうしよう。）

茜

（会話が途切れたわ…）

茜

（神宮寺さん…）

神宮寺

…。

茜

…。

茜

（綺麗な目…）

茜

（真っ暗で、雲のない星空みたいだわ…）

神宮寺

…。

神宮寺

茜さん。

茜

！

茜

は、はいっ。

神宮寺

ここからは、あそこにある人力車を使いましょう。

神宮寺

僕は別の道を歩いて帰るので、茜さんは家の前まで人力車に乗せてもらってください。

茜

え、あ…はい。

茜

わざわざありがとうございます。

神宮寺

いえいえ。ﾆｺｯ

神宮寺

今日は着いてきてくださりありがとうございました。

神宮寺

明日のお芝居、楽しんできてくださいね。

茜

！…

茜

はい！

おい。

神宮寺

！

神宮寺

茜

きゃ…っ。

（雅秀が背中で茜を隠す）

お前、神宮寺雅秀だな？

神宮寺

…。

茜

⁉︎

茜

（だ…誰⁉︎）

つづく

運命

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130

5件

更新ありがとうございます！🙇‍♂️ 執事さんと茜さんが町に行く…？！？！裏があるようにしか思えませんが、普通にお芝居を見に行くだけなのでしょうか… 最後の人物、執事さんではなさそう…絶対重要人物ですね？！素敵なお話、今回もありがとうございました！✨

プロフィール

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