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運命

第5話 - 運命　その伍

109

2022年02月14日

#歴史

#恋愛

#明治

#呪い

#一次創作

お前が神宮寺雅秀だな…？

神宮寺

…。

茜

（だ…誰！？）

神宮寺

茜さん。ｺｿｯ

神宮寺

僕が“蹴散らしてくれる”と叫んだ瞬間、全力で逃げてください（小声）

神宮寺

絶対に喋ってはいけませんよ（小声）

茜

！…

茜

…。ｺｸﾝｯ

神宮寺

…。

神宮寺

いかにも。

神宮寺

某が警視庁二等巡査、神宮寺雅秀だ。

神宮寺

こんな夜更けに何用だ。

お前を斬りにきた。

我々を裏切った罰、しかと受け止めるがいい！

お前ら！剣を抜け！

シャキン！

茜

！？

神宮寺

…。

神宮寺

我こそは！警視庁二等巡査、神宮寺雅秀！

神宮寺

治安を乱す悪人めッ！木っ端微塵に蹴散らしてくれるーーッ！！

お前ら、かかれーっ！

茜

（今だ！）

ダッ！！

茜

はぁっ、はぁっ。

茜

（早く逃げなきゃ！）

ワアアアアッ！

ｷﾝｯ！

ｽﾞﾊﾞｯ！

ズサズサッ！

ｷﾝｯ！

ｽﾞﾊﾞｯ！

茜

はぁっ、はぁっ…！

茜

（振り返っちゃだめ！振り返っちゃだめ！）

茜

（はやく家に逃げなきゃ！）

茜

（はやく逃げ…）

茜

ｽﾞﾊﾞｯ！

ズサッ！

神宮寺がよろけたぞ！今だーッ！

茜

っ！？

茜

（えっ…）

」

茜

（…だ）

茜

（だめ！振り返っちゃだめ！）

茜

（はやく逃げなきゃ！！）

茜

はぁっ！はぁっ！

バサッ…ガサガサ…

ドタドタドタッ！

（茜が庭の穴から強引に家に入る）

茜

はぁっ、はぁっ…、

茜

はぁ…

茜

なんとか…逃げ切れたわ…。

茜

神宮寺さん…大丈夫かしら。

茜

（後ろの方でよろけたって聞こえたけど、空耳…よね？）

茜

（どうしよう…）

茜

（もし斬られてたら…死んじゃったら…）

トタ…

茜

！

茜

（この音は…）

茜

（まずい！執事だわ！）

茜

（私の足音に起きちゃったのね！）

茜

（なんとかしなきゃ！）

ドタドタドタッ！

茜

はぁっはぁっ…

茜

はやく、はやくしないと！

ト、タ、ト、タ

茜

！

茜

音が近くなってる…急がなきゃ！

茜

うっ…もう！

ﾄ､ﾀ､ﾄ､ﾀ…

茜

こうなったら…えい！

バタッ！

シュルッ…

バサバサッ！

ガチャ！

執事

何者だ！

執事

…って、え？

執事

お嬢様…！？

茜

はぁっ…はぁっ…

（お風呂場で茜がタオルをかぶっている）

茜

あ、あら…起きちゃったのね。

茜

ごめんなさい…。

執事

いえいえ…大丈夫です。

執事

それより、

執事

なんて格好をしてるんですか。

執事

寝巻きがはだけて、髪がびしょびしょになっておられますが…。

茜

ご、ごめんなさい…。

茜

少し怖い夢を見てしまって…頭を冷やそうとしていたの。

執事

そうでしたか…。

執事

いつものパジャマはどうされたんですか？

茜

！

茜

そ、それは…

茜

水で濡らしたくなかったから、お部屋で脱いだわ。

茜

この和服の寝巻きなら、予備がいくらでもあるからいいかなって思って…。

執事

だからって、そんなびしょびしょだと逆に風邪をひきますよ。

茜

そ、そうね…。

茜

ごめんなさい…。

執事

…。

執事

はぁー…。

執事

部屋の外で待ってますから、とりあえず身だしなみを整えてください。

茜

分かったわ。

ガチャッ！

茜

…。

茜

……なんとか誤魔化せたわね。

パタッ（棚の中に隠していた紺色の着物を取り出す）

茜

（この着物は、臭いにおいがするから、とか言っといて明日に乾そう）

茜

（髪は適当に拭いて…）

茜

ガチャッ

執事

！

執事

終わりましたか？

茜

う、うん…。

茜

（あとはこのまま寝室に行くだけね…怪しまれないようにしなきゃ。）

執事

お部屋までお送りいたします。

茜

あ、ありがと…

茜

！

茜

（しまった！）

茜

（私、自分の部屋に鍵をかけてるんだったわ！）

茜

（もし執事に知られたら、普段鍵をかけない私を怪しむに違いない…。）

茜

ま、待って…！

執事

！

茜

…あ、

茜

（ここは一か八かやるしかない！）

茜

貴方の部屋で、一緒に寝たい…。

執事

！

茜

ほ、本当に怖い夢だったの…

茜

自分の部屋で1人なんて、怖くてできないわ…。

茜

…だめ？

執事

…。

茜

（お願い…！承諾して！）

執事

…。

執事

仕方ありませんね。

茜

！

茜

（ホッ…）

茜

やった…ありがとう！

執事

その代わり、早く寝てくださいね。

執事

もう遅いですから。

茜

うん！

茜

（よし、これもなんとか誤魔化せたわ！）

茜

（鍵は明日の朝、執事が朝食を作ってる時に開けておこう…）

執事

じゃあ、灯を消しますよ。

茜

うん、ありがとう。

執事

はぁ…

執事

お嬢様の背中をトントンしながら寝るなんて、何年振りでしょうか…。

茜

そうね、寝かしつけてもらうなんて小さい頃以来だわ。

執事

…お嬢様は、まだまだ子供ですね。

執事

泣き虫で怖がり、

執事

いつまでたっても幼い性格で……

執事

明日の芝居はナシにしましょうか。

執事

お嬢様がこんなだと、江戸の町はまだ早そうです。

茜

！

茜

…そう。

執事

！

執事

がっかりされないんですね。

茜

うん…。

茜

（芝居そんな好きじゃないし…むしろ良かったかも。）

茜

（本を読んだり、お話ししたりする方がとっても楽しいもの）

茜

…。

茜

（神宮寺さん、大丈夫なのかしら。）

茜

（あんなに沢山の人に狙われて、刺されたりしてないかしら…）

執事

？、お嬢様？

茜

…。

「嘘偽りなく貴方が欲しい」

「最後まで、貴方を守り抜きたい。」

茜

（神宮寺さん…）

茜

あの…

執事

？

茜

次のお見合いの相手…菫坂晴富さん、というのよね？

執事

はい。

執事

それが何か？

茜

申し訳ないけど、

茜

見合いの日にちを伸ばしてくれないかしら？

執事

！

茜

お願い。

茜

一人で考える時間がほしいの…。

執事

…。

執事

よほど怖い夢をご覧になられたのですね。

茜

！

執事

わかりました。明日、相手方に話してきます。

茜

！…ありがとう。

執事

いえいえ、

執事

ですから、もうそろそろお休みになってください。

執事

ほら、目を閉じて。遅起きになっちゃいますよ。

茜

うん…。

茜

…おやすみなさい……。

茜

ッ！？

ガバッ！

（茜が起きる）

茜

な…何？

茜

（誰かに刺されたかのような痛みを感じたんだけど…）

茜

（夢の中のことだったのかしら。）

茜

…刺されて、ないわね。

茜

気のせいだったんだわ。

茜

もう一回寝よっと…。

運命

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5件

更新ありがとうございます😭 神宮寺さん…やっぱり恋する人応援したくなっちゃうのが女の性！御百度参りでも何でもするので、是非とも神様には恋を叶えてあげて欲しいです…🙏💭(執事さんの性格結構好きかもしれない…)

プロフィール

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