高三の夏のことだった
8月の初め、暑い中
君と花火大会に行ってさ
他愛もない話をしながら 屋台に並んで
イチゴ飴を買った
弘樹
沙弥
沙弥
首を傾げながら軽く否定された
僕も確信がなかったので 気にしないでおいた
まだ若かった僕達は 3連のイチゴ飴をペロリと食べて
手を繋いで河川敷まで歩いたっけ
慣れない浴衣とぎこちない会話と 握った手と手が全てだった
夏の暑さも忘れるような胸の音
君に伝わっている気がして うまく頭が回らなかった
でも、たった一言だけ 確実に伝えたかった言葉があった
弘樹
言葉と同時に花火が咲いた
沙弥
沙弥
すぐに花火に 視線を向けてしまう君
「どうして」なんて 僕には言う権利すらないけれど
弘樹
沙弥
ぐい、と君の腕を掴んだ
その瞬間、目があって 心臓がどんどんうるさくなって
弘樹
声が震えてしまった
沙弥
弘樹
沙弥
沙弥
沙弥
はにかんで笑う彼女は とても綺麗で
七色に咲く花火よりも 魅力的だった
沙弥
弘樹
弘樹
沙弥
くすっ、と沙弥が笑った
あの日と変わらない 守りたくなるような笑顔
弘樹
沙弥
弘樹
沙弥
弘樹
沙弥
さっきとは違って いたずらっぽく笑う沙弥
本当に彼女は コロコロと表情が変わる
真っ青な空に彩りを与える 虹のようだった
沙弥
沙弥
今度はキラキラした笑顔
桜並木へと駆けていく 彼女を追いかけた
沙弥
店員さん
威勢の良い返事と共に 二本のイチゴ飴を渡してくれた
弘樹
店員さん
出店を離れて 桜並木の端っこのベンチで食べる
沙弥
沙弥
弘樹
弘樹
少し懐かしい会話をしながら
彼女に飴がどう見えているかは 知らないけれど
飴にコーティングされたイチゴは とても綺麗だった
弘樹
沙弥
弘樹
沙弥
沙弥
弘樹
沙弥
弘樹
沙弥
曖昧な記憶で笑いあった
春風に包まれた、幸せな空間
弘樹
沙弥
弘樹
沙弥
弘樹
目を瞑って、願ってみた
「彼女と幸せになれますように」 って
沙弥には、絶対言わないけど。
沙弥
弘樹
沙弥
沙弥
弘樹
沙弥
全く…僕をなんだと 思っているのやら
弘樹
沙弥
今は彼女の方が子供っぽい
駄々をこねる少女みたいだ
弘樹
弘樹
そっと左手を出すと 彼女の右手が重なった
沙弥
嬉しそうに微笑んだ
幸せそうで優しい笑みで やっぱり、守りたくなった
沙弥
弘樹
沙弥
弘樹
沙弥
左手の小指を出す沙弥
僕も小指を出して指切りをした
子供っぽい、って? うん、僕らが一番知ってる。
でも、ささやかで、幸せで かけがえのない時間
イチゴ飴の願い、叶うかもね
数日前に注文した 婚約指輪を思い返して笑った
コメント
25件
タイトルや表現の全てがもう綺麗で。とっても菜月さんらしいなぁと思いながら読んでました。 やっぱり菜月の世界観好きです( ' ' )♡
このお話見ていちご飴食べたくなりました(?) 婚約指輪ぁぁぁ…! あの二人には幸せになって欲しい…! いちご飴に願い事してみるのも素敵ですね✨
参加ありがとうございます😊 最後の一言が!! これからがナナイロに輝いてるよー!!!! 子供っぽいのも可愛くてステキです✨