夏美
夏美
お父さん
お母さん
お父さん
お父さん
お父さん
夏美
夏美
夏美
お母さん
お母さん
夏美
夏美
夏美
夏美
秋になり、予定通り 弟は生まれた
お母さん
お母さん
夏美
夏美
夏美
お腹を空かせて泣くことも
母を見て 笑うこともない
秋人は生まれてから一度も目を覚まさない
夏美
夏美
小学生の私は そんな事を思っていた
夏美
お母さん
お母さん
お母さん
夏美
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
夏美
その日から 朝食は自分で用意した
レンジで温めただけのパンは、ふにゃふにゃで
夏美
母の朝食が、恋しかった
夏美
友達
友達
夏美
夏美
友達
友達
夏美
「いい子」で居たかった
「いい姉」で居たかった
夏美
夏美
夏美
夏美
願いは叶うと信じていた
時の流れは早く
ゆっくりと
でも、確実に
私たちの関係を 変えていった
夏美
夏美
お母さん
夏美
夏美
お母さん
夏美
夏美
お母さん
お母さん
夏美
お母さん
夏美
夏美
お母さん
お母さん
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
部活に入るのを 我慢してきた
友達と遊ぶのを 我慢してきた
全ては、秋人のため
夏美
夏美
秋人
夏美
秋人
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
眠り続ける秋人に 手を伸ばし
小さな口を 塞いでしまおうと思った
その時
秋人
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
けれどそれから一度も
秋人が口を開くことは なかった
仕事を早退した母と
秋人を連れて 救急車に乗った
夏美
お母さん
夏美
夏美
夏美
いつも通りの顔で 眠ったままの秋人
ただ一つ違うのは
夏美
その肌に、温もりが ないことだけ……
夏美
夏美
夏美
お母さん
お母さん
夏美
夏美
夏美
お母さん
夏美
お母さん
お母さん
夏美
夏美
夏美
夏美
お母さん
夏美
お母さん
お母さん
お母さん
夏美
夏美
夏美
夏美
夏美
夏の終わり
私の弟は、この世を 去っていった
秋の訪れと共に……
コメント
6件
秋人の言葉が受け手によって変化するのがすばらしいです。 母の解釈では結果的に夏美を救うことになったようですが、「ありがとう」ですまされないほどの犠牲(失礼かもしれませんが、あえて犠牲とします。本来社会福祉がカバーしなければならない役割を負わされた、ヤングケアラーとなった夏美にとってあたえられるはずだった子供時代)はとりもどせないなぁ、と感じました。
きょうだいの世話を強制されるヤングケアラー問題、でも秋人には家族の苦労、愛情はわかっていたんでしょうか…