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蘭side

告白予行練習をすると決めた澄絺は 早速口の中でもごもごと 練習を始めた。

あぁでもない、こうでもないと 言いながら告白のセリフを考えている。

春緑すち

... ぁ、名前はらんらんでも大丈夫?

桃瀬らん

ん、大丈夫 ~ ...

桃瀬らん

( ... 邪魔にならないように、ベランダで待ってよっかな ... )

私が1番後ろの窓に向かって 歩き出すと真剣な声に 呼び止められる。

春緑すち

待って。準備できたから、お願い

桃瀬らん

ぁ、うん ...

いままで見たこともないくらい 澄絺の顔には緊張が走っていた。

向かい合う私も途端に心臓が ざわめきだした。

桃瀬らん

(練習って分かってても、ドキドキするなぁ ... )

私は思わず俯き近づいてくる 上履きを見つめた。

春緑すち

...... あのさ、

震えた声が鼓膜を揺らす。

意を決して顔を上げるとそこには 耳と頬を赤く染めてはにかみながら 笑う澄絺と目が合った。

春緑すち

らんらんは俺のこと友達としか
思ってないかもしれないけど ...

深呼吸をひとつして澄絺が続ける。

春緑すち

俺は、ずっとらんらんのことが好きだよ(ニコッ ...

次の瞬間ガタンッと大きな音を 立ててドアが揺れた。

私と澄絺は弾かれたように振り返るが そこに人影はない。

桃瀬らん

... 風、かな

春緑すち

そうかもね、、

最後のアクシデントもあって これでもかと鼓動が速くなっている。

心配になってそっと胸に 手を当てると目の前の澄絺も 全く同じことをしていた。

2人で目を見合わせ どちらからともなく笑い出す。

春緑すち

告白ってこんなに緊張するもんなんだね、笑

桃瀬らん

ぁ、今更だけど、澄絺って告白するの初めてなんだ?

春緑すち

うん。普段はされてばっかだからね ~

桃瀬らん

はぁ?言ってればー

春緑すち

ふはっ、、笑

桃瀬らん

ふふっ、笑

私の切り返しに澄絺が吹き出す。

つられて私も笑いそれまでの 緊張感はあっという間に 消え去った。

桃瀬らん

( ... 澄絺、さっきと顔つきが違ってる、)

彼の中で何かが変わったのだろう。

きっと自分もそうなんだろうなと 私は内心で独り言ちる。

桃瀬らん

(私も、勇気を出さなきゃ ... )

ぐっと拳を握りしめ 吹っ切るように宣言する。

桃瀬らん

私も、コンクールに入賞できたら ...
今度こそ、ちゃんと威榴真に告白する

春緑すち

... 、、!

私の決意に澄絺は目を大きくする。

不思議に思って視線で問いかけたけど 澄絺は少し間をおいて 優しく微笑むだけだった。

今思えば察しの良い幼馴染には この後の展開が見えていたの かもしれない。

私のことも、自分自身のことも。

きみ宛ての2文字 __ 。

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