美咲
えっ、沙弥香ちゃん、どこに行ったんだろう……?
さすがに心配になって様子を見に行くと、 トイレはからっぽで、誰もいなかった
私は出口である玄関の方にいたのだから、 沙弥香ちゃんは反対に奥の方に行ったことになる
道を間違えるわけもないし、一体何があったんだろう……?
とりあえず私はトイレを出て、沙弥香ちゃんを探すことにした
美咲
沙弥香ちーゃん!
美咲
どこにいったの~!
すると、どこからかガタッという音がした
私は急いでその音が聞こえた方に向かうと、そこには扉の空いた教室があった
美咲
沙弥香ちゃん……?
おそるおそる中に入ったが、誰もいない……
でもさっき物音はしたはずなんだけど……?
?
おい、君、そこで何をしている?
びっくりして振り向くと、そこに立っていたのは、 どこか怪しい雰囲気の、大人の男性だった
美咲
ええっと……それは……
美咲
と、友達を探していて……
怪しい男
ふうん?
怪しい男
そもそもこんなところに入ってきてはいけないと思うがね
怪しい男
君は、ここがどういう場所か知っているのかい?
美咲
ええっと、呪われた学校……
怪しい男
そんなふうに伝わっているのか
怪しい男
君はそもそも、ここで昔何があったか知っているのかい?
美咲
なんでも、2人の男子高校生が、ここで呪われて亡くなったとか……
怪しい男
ああ、男子高校生が死んだのは合っている
怪しい男
しかし、その2人は呪われて死んだわけじゃない
美咲
え?
美咲
どういうこと?
怪しい男
その2人はな、自殺したんだよ
怪しい男
この学校でな
美咲
ええっ、なんで!?
美咲
いじめられていたとか?
怪しい男
いいや
怪しい男
むしろ逆かな?
怪しい男
そいつらは最低のやつらでね
怪しい男
まあ簡単に言えば、女の子に興味があった
怪しい男
もちろん、年頃の男の子ならそれ自体は普通だろうが
怪しい男
そいつらは普通ではなかった
怪しい男
2人はその欲望を、小さな女の子を捕まえて満たそうとしたんだ
美咲
えっ
怪しい男
そして、小学生を誘拐し、この学校に連れ込んだ
美咲
そんな……
怪しい男
そして裸にして、もてあそぼうとしたんだが、その子が隙を見て逃げ出してね
怪しい男
自分たちの罪がばれることを怖れた2人は自殺した、ってわけさ
美咲
それで、その2人が化けて出たの?
美咲
だから学校が廃校になったとか?
怪しい男
いいや
怪しい男
ここは私立高校だったんでね
怪しい男
そんな犯罪者が出るような学校なんて……、と
怪しい男
人気が下がり、生徒が集まらなくなって潰れたのさ
美咲
なあんだ
美咲
じゃあ、お化けなんて出ないんだ!
怪しい男
さあ、それはどうかな?
美咲
えっ?
怪しい男
2人の霊がさまよっていることは間違いないよ
美咲
あなたはいったい……?
死霊術師
私は死霊術師さ
美咲
しりょうじゅつし……?
死霊術師
まあ、簡単に言えば
死霊術師
そういう霊を成仏させる仕事をしているんだよ
美咲
そうなんだ……
美咲
あっ、ねえ
美咲
私と同じくらいの女の子を見なかった?
死霊術師
いや、見てないな
美咲
沙弥香ちゃんっていうんだけど、急にいなくなっちゃって……
美咲
もしかして
美咲
さっき言ってた霊に何かされたのかな?
死霊術師
さて、それはどうかわからないが
死霊術師
まあ探してみるか
美咲
私も手伝う!
死霊術師
ほう?
死霊術師
それはちょうどいいな
死霊術師
じゃあ、私はその沙弥香ちゃんとやらを探してやるから
死霊術師
君は私の仕事を手伝ってくれないか?
美咲
なにをすればいいの?
死霊術師
さっき言ったように、2人の霊は生きていた内に小さな女の子を誘拐していたんだ
死霊術師
君がいっしょに来てくれたら、その二人の霊がつられて出てくるかもしれない
美咲
え
美咲
じゃあもしかして、沙弥香ちゃんがその霊に追いかけられてるってことも……?
死霊術師
まあ可能性としてはあるな
美咲
わ、わかった、手伝う!
美咲
その霊は、お兄さんがなんとか出来るんだよね
死霊術師
ああ、大丈夫だ
美咲
じゃあ、急いでいこう!
こうして私は、死霊術師を名乗るお兄さんと一緒に、 沙弥香ちゃんを探すことになった
続く