人恋寒涙病

人恋寒涙病

人恋寒涙病とは

人肌が恋しくなったり、寒くなったりすると、涙が止まらなくなったり、震えが出始める。 さみしくなると、不安になる。 好きな人ができると、死ぬまでその人を好く。 1日で1回は誰かに触れなきゃいけない

⚠　完全なるオリジナルです

軽々しいステップを踏んで先を歩いていく涼ちゃん

今日はニ人でお買い物の日

…きゅうだけど、おれは涼ちゃんがすき

とっても、とっても。

だけど言ったら今の関係が壊れそうで、ずっといえないまま

…胸がざわつくのを感じてあわてて涼ちゃんの後ろについていく

てんねん、そういうところもだいすき

おれは人恋寒涙病

一日一回は誰かにふれなきゃいけなくて

人肌が恋しくなったり、寒くなったりすると涙が出ちゃう

…珍しい病気

涼ちゃんの腕を掴んで服屋まで連れて行く

自然なボディタッチで

毎日どうにかしてる

おれには恋人もいないからね。

…いまは。

差し出されたのは

可愛らしいイヌのTシャツ

涼ちゃんが選んだものならなんでもきるけど

さすがにはずかしい、かも。

ぐちぐち言いながら服を元の場所に戻しに行く涼ちゃん

おれはそそくさと後ろについていく

たまたま見つけた

面白いことが書かれてたTシャツ

涼ちゃんは楽しそうに笑う

すき

わらったかお、だいすきだよ

そんな楽しい時間をすごしてから

俺達は服屋をあとにした

ご飯も食べて、いろんなところにいってたら

いつの間にか夜になってた

涼ちゃんは俺の家の

少しお高いマンションまでおくってくれた

俺達は軽く手を振りながら解散した

…きょうはたのしかったな、またいきたい、

そそくさと靴を脱ぎ

どさっとべっとにたおれこむ

もうさみしい

…そんな事考えないで

早くお風呂入んないと

…頭ではわかってるはずなのに

涼ちゃんにあったら

もう我慢できない気がする

…おれはある人にでんわをした

涙で目が見えにくくなっても

おれはひっしだった

ーーもしもし。

聞き馴染みのある声

声を聞いただけで、体の力がすっと抜けた気がした

震えながら尋ねる声は

実に惨めで

自分でも聞きたくない声だった

ーーまた、ね。いいよ、おいで

その声は優しい音色で

おれをあんしんさせてくれた

今日涼ちゃんに触れたはずなのに

寂しくて寂しくて

たまらない

合鍵を使って家のなかにはいる

視界が滲んであんまりわかんない

はやく

はやくだきしめて

若井。

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