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手を繋いだあの日から、
青は、桃を「意識しない」ことができなくなっていた。
廊下ですれ違えば、声をかけられる前に体が強ばる。
隣の席に座ると、机の下で無意識に足の位置を変えてしまう。
青
嫌いだったはずなのに。
近づかれるのが、こんなに怖いだなんて。
桃は、変わらなかった。
距離を詰めすぎない。
かといって、引きもしない。
桃
青
桃
それだけ。
追いかけないし、理由も聞かれない。
その普通さが、青の心をじわじわと削った。
青
青
自分に言い聞かせる。
そうじゃないと、自分がどこに向かっているのか、分からなくなる。
その日の帰り道。
空はもう暗く、駅前は人でごった返していた。
青は、裏道を歩き、少しだけ遠回りをして帰ることにした。
考え事をしたかったから。
ーーーそれが失敗だった。
後ろから声が聞こえた。
振り向くと、知らない男の人が立っていた。
距離が近い。
青
青
これ以上関わってはいけないと思い、会話を切り上げようとしたが、
言い切る前に、腕を掴まれた。
青
一気に血の気が引く。
青は振り払おうとした。
でも、相手は離さない。
青
青
声が出ない。
桃
低く、鋭い声が割り込んだ。
気づいたときには、桃が青の前に立っていた。
男は舌打ちして、
何事もなかったかのように去っていく。
静寂。
人通りはあるのに、
2人だけ取り残されたみたいだった。
桃
青は、しばらく何も言えなかった。
桃に助けられたという事実が、胸に重くのしかかる。
青
桃
桃が、青の手首に触れた。
ほんの一瞬。
でも、青の体がびくりと反応した。
桃
青
桃は、少しだけ黙った。
そして。
桃
青
桃
桃
青
桃
桃
その言葉に、青の思考が一瞬、止まった。
青
次の瞬間。
桃は、衝動みたいに、
青の顎に手をかけてーー唇を重ねた。
思考が、完全に止まる。
青
逃げ場がない。
青は、目を見開いたまま固まった。
桃が離れようとした、そのとき。
『条件3、隣の席の人とディープキス』
神の声が、耳の奥で響いた。
青
理性より先に、身体が動いた。
自分から、桃の唇に触れる。
桃
青は答えなかった。
ぎこちなく、桃の口に舌を入れる。
桃の身体が、僅かに強ばる。
でも、離れない。
桃は受け入れ、自分の舌も差し出す。
青
舌の感触に、青の肩はびくんと跳ねる。
ちゅ、くち…
青
小さく音を立てながら、何度も唇が重なる。
青は、一生懸命に舌を動かすが、
気が付けば、桃に翻弄されていた。
クチュッ…チュ、ッレロ、
青
今まで聞いたことのなかった自分の声が、
我慢できず、漏れてしまう。
桃の手が、青の背中に回る。
抱き寄せるほど近くて、
でも、押し倒すことはしない。
時間が溶ける。
呼吸が浅くなる。
頭が、ぼうっとする。
青
桃は、青が思っていたより、ずっとーー……
離れたとき。
桃の目が、
今までに見たことのない色をしていた。
軽くない。
冗談でもない。
桃
青
桃
青は、何も言えなかった。
胸の奥で、確かな感覚が弾けた。
『条件3、クリア』
でも。
達成したはずなのに、
青の心は、少しも楽にならなかった。
むしろ、
もっと深いところに、引きずり込まれた気がした。
青
その事実に気づいてしまった自分が、
何より怖かった。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎… ♡×500
投稿遅くなってしまってすみません。。。