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淡雪悠理
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あおにゃん
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RuRu_cp
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郁兄は私の頭を鷲掴みにすると、そのまま容赦なく、ぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜた。
乱暴すぎて頭皮が悲鳴をあげる。
もか
もか
もか
必死で抵抗するも、力任せに押さえつけられて喚くことしかできない。
郁也
郁也
郁也
耳元で囁かれた声は穏やかなのに、その奥底には絶対零度の冷たさが潜んでいる。怖い。
もか
もか
郁也
郁兄はひとしきり私の髪型を台無しにした後、ゆっくりとその手を離した。
解放された瞬間に、頭を押さえつつ睨みつける。
涼しい顔で受け流された。
もか
春樹
心配そうに、私の様子を覗き込んでくる春の優しさが身に染みる。
もか
春樹
もか
春樹
まんまるか。なら大丈夫か。
もか
もか
郁也
もか
悪態つく私をよそに、「お兄さんもイケメンだよー」とはしゃいでいるのは、さっきまで春にときめいていたはずの友人AとBだ。
もか
もか
友人A
友人B
もか
今の暴力沙汰を目のあたりにして、キャッキャと騒げる精神が私には理解できない。
中身が一番大事だと、切々と訴えた私の主張は何だったんだろう。
もか
春樹
郁也
春樹
郁也
郁也
"ついで"を殊更強調して、郁兄は私達にそう告げた。
友人達と別れた後、郁兄が運転する車に乗り込んだ私と春は、大人しく座りながら郁兄の言葉に耳を傾けている。
助手席に誰かが座ることを郁兄は嫌うので、座る場所は後部座席と決まっている。
嫌がる理由は知らないけど。
もう10年以上、この兄弟と一緒にいるけれど、春はともかく、郁兄に関してはいまだにわからないことも多い。
もか
――――私は幼い頃、両親を事故で亡くした。
以来ずっと、春と郁兄の家に居候させてもらっている。
2人の両親は、海外で医療ボランティアのお仕事をしていて、日本にはほとんど帰ってこない。
実質、あの家は春と郁兄で暮らしているようなもので、私も一緒に住まわせてもらっている。
……3人で暮らすあの家は、私にとっても大事な場所。
口喧嘩も絶えないけれど(主に私と郁兄が)、それらも含めて、毎日穏やかで楽しい日々を送っている。
――――でも。
もか
私と春は今年で高3。
春は大学試験に向けて、受験勉強真っ只中。
医療のお仕事をしている両親を手伝いたいと、医科大学の一般入試を控えている。
そして私は就職組。
就活の勝ち組になるべく、企業の内定の獲得に日々奮闘中だ。
ちなみに郁兄は、高卒ですぐ今の会社に就職した。
来年の春に、今住んでいる家から出て1人暮らしを始めるんだって。
医大には、男子のみの学生寮がある。
合格すれば、春もこの家から出ていく。
3人で一緒に過ごせるのも、残り半年だ。
もか
郁也
もか
郁也
素っ気ない回答に、ふうん、と返事を返す。
桐谷家には、昔から古いしきたりがある。
それは、
"18歳を迎えた子供達は、家を出て自立する"
という決まり事。
でも、郁兄と春の両親はずっと不在の状態。
だから郁兄は、まだ未成年の私と春の面倒を見なきゃいけなくて、桐谷家のしきたりを破って、20歳を迎えた今でも一緒にいてくれる。
私達が高校卒業する頃を待って、この家を出るみたいだ。
とは言っても、忘れられてもおかしくない、ずっと昔の決まり事だ。
破ったところで彼らのご両親は気にも止めないだろうし、郁兄が家を出るのも、しきたりに従ったわけではないと思う。
郁也
春樹
郁也
春樹
郁也
郁也
春樹
簡素なやり取りのあと、郁兄が再び口を開く。
郁也
もか
絶対、わざと言ったな。
たった2つしか年は離れてないのに、いつまでも子供扱いして。
胸の中で悪態をつきながらも、郁兄らしい物言いに苦笑していた時。
隣に座っていた春の手がふと、私の指の先に触れた。
もか
意図的に動く春の指先が、私の人差し指に触れ、軽く握る。
途端、静かだった私の鼓動が甘やかに乱れ始めた。
……その仕草は、私と春にとっては意味のあるメッセージ。
彼の顔をこっそり盗み見すれば、春は郁兄と談笑しながら、私にそっと視線を送ってきた。
春樹
もか
互いにアイコンタクトを交わす。
春の目を見れば、何を伝えたいのかはすぐにわかる。
私が頷けば、春も安堵の息をつく。
郁兄にバレないように、2人でこっそり笑いあった。
コメント
2件
第2話、めっちゃ良かったです!郁兄の頭ぐしゃぐしゃシーン、笑ったけど「絶対零度の冷たさ」って表現が怖カッコよくて痺れました。でも一番グッときたのは、春ともかのアイコンタクトと指先の触れ合い。あの秘密のやりとり、めちゃくちゃドキドキした…!3人の関係性がじわじわ見えてくる構成も好みです。続きが気になる!