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朝の静かな部屋に、少しかすれたテレビの音が響く。
『―最近はシェアハウスをする若者が増えています。』
『それに伴い、シェアハウス物件も増えていますね。』
『これによって新婚者が減り、少子化が進む恐れがあるとされ…』
売りに出す予定のテレビから流れるニュースを傍目に、黙々と引っ越しの準備を進める。
今日で、このボロアパートともお別れだ。
星歌
空っぽになった部屋を見渡して、私は家を後にした。
世界はどうやら、人間が生物の中で最も凄いといつの間にか勘違いしているらしい。
『人間という種の繁栄と滅亡阻止のため』。
本当に、反吐が出る。
別に今生きている人間の幸福が尊重されるなら、このまま人類が衰退してもいいだろうに。
しかし、それを理解している人間があまりにも少なすぎると思う。
自分を含め人間は、わからないことばかりだ。
星歌
鳳凰 星歌。それが私の名前。
こんな、形ばかり幸せで幸運そうな名前など、必要無いとも思う。
もう久しく呼ばれてもいないのだから、需要などとっくに消えているけれど。
私は、これから同い年の少女とシェアハウスする女子高生。
親も友達も知り合いもなく、孤児院を出て一人暮らししながら学校に通っていた。
そして、今まで暮らしていたアパートを出て、今日からシェアハウスを始める。
この世界には、5人に1人の割合で特殊な『能力』を持つ人間が存在する。
そして、能力を持つ人間『能力者』のための『能力者専門学校』があり、基本的には能力者はこの学校へ通うことを前提とされる。
また、能力者ではないが能力者並みの実力があると判断された人間『実力者』もこの学校へ入学することを許されているそうだ。
私が通うのはこの学校の高等部で、通称『専門高等部』。
星歌
もちろん、私も能力者だ。明日から『専門高等部』の編入生として生きる。
これからシェアハウスをする相手も、『専門高等部』、通称『専高』の生徒らしい。
自分も能力者としての実力はあるつもりなので、専高生徒はどれくらいなのかが気になる。
確か相手は、通称『専高の嫌われ者』らしい。どんなひとなのだろうか。
―――ピンポーン。
星歌
星歌
星歌
星歌
ドアが開いた瞬間、そう言いながら流れで荷物を玄関に全て置いた(落とした)。
よつば
よつば
よつば
よつば
よつば
死ぬほど適当で面倒くさがりそうなひとだ。
まあそのほうが気が楽だからありがたい。
消えていくよつばさんなど気にもせず、私は素早く自分の荷物を部屋に運んで片付けた。
家の中はかなり荒れている。
暫くまともな生活すらやってなさそうだ。
そんなことを思いながら、孤児院のスタッフに神速と言われた掃除で瞬く間に家中を綺麗にしていく。
数分もすれば、あっという間によつばさんの部屋以外は綺麗になった。
流石私の生活力。
星歌
適当に作ったカフェモカを飲んで一息つく。
掃除すれば、ここはなかなか良い物件だ。
適度に広さが有り、日当たりも風通しも良い。
もしかしたら、専高寮のシェアハウス部屋でもかなりいい方かもしれない。 だとすれば恐縮だ。
ならばどうして、失礼ながらも”あんな”よつばさんがこの寮部屋を所有しているのだろうか。
明日編入したクラスの人に聞いてみよう。