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数日後。
雨の日。
体育終わり。
黄の制服がなかった。
更衣室。
クラスメイト
クラスメイト
黄は黙って立ち尽くす。
寒い。
怖い。
心臓が痛い。
でも。
黄
また謝った。
女子たちが気まずそうに目を逸らす。
男子は笑う。
クラスメイト
結局。
黄は濡れた体操服のまま帰った。
廊下。
誰にも見られないように歩く。
その時。
赫
低い声。
振り返る。
赫だった。
赤い目が細められている。
赫
黄はすぐ笑った。
黄
赫
即答だった。
黄の肩が揺れる。
赫は少し黙る。
それから。
自分のパーカーを脱いで、 黄に投げた。
赫
黄
赫
ぶっきらぼうな声。
でも、 嬉しかった。
黄は戸惑う。
こんな風にされたこと、 久しぶりだったから。
黄
その笑顔を見た瞬間。 赫は胸が痛くなった。
どうしてこいつは、 こんな状況でも笑えるんだ。
どうして。
こんなに壊れそうなのに。
見えない傷
冬が近づく頃には、 黄の”普通”は完全に壊れていた。
朝。
制服を着る。
鏡を見る。
自分の顔が嫌いだった。
女子から「かっこいい」と言われるその顔が、 男子たちの嫉妬を煽る。
優しいと言われる性格が、 「偽善者」と笑われる。
全部、 嫌だった。
いっそ醜ければ良かった。
いっそ性格が悪ければ、 こんなに壊れなかったのに。
学校に向かう足取りは重い。
でも休めない。
休んだら、 もっと怖い。
”逃げた” そう言われる気がするから。
教室に入る。
一瞬だけ静かになる空気。
それだけで、 胃が痛くなる。
クラスメイト
笑いながら、 机にゴミを置かれる。
黄は何も言わずに捨てる。
クラスメイト
クラスメイト
聞こえないふり。
そうしていれば、 終わるから。
でも、 終わらなかった。
昼休み。
黄のスマホが鳴る。
知らないアカウント。
「まだ生きてんの?」 「死ねば?」 「お前がいると空気悪い」
通知が何十件も並んでいる。
手が震えた。
でも。
黄はスマホを閉じる。
慣れていた。
傷つかないわけじゃない。
ただ、 ”傷ついてること”を見せなくなっただけだ。
桃
桃の声。
黄は慌てて笑った。
黄
桃
桃は眉を寄せる。
痩せた頬。 赤い目。
もう隠しきれていない。
でも。
黄
またそれだった。
桃は唇を噛む。
その言葉が、 嫌いになりそうだった。