ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
いつもよりずっと早い時間になるアラームを止めてぼーっと天井を見つめる
If
無理矢理体を起こして強制的に覚醒させる
そもそも俺、早起き苦手だし
If
あえて冷水で顔を洗う。さすがに冷たくて一気に目が冴えた
If
水を止めてぼそっと呟く
あんなにないこが小さく見えたのは初めてだった
発す声は小さく震えていて、制服のシャツを握る手には力がこもっていた
身動き取れない車内で、知らない誰かに自分の体をベタベタ触られるのはどれだけ怖かっただろう
If
昨日のうちに準備しておいた鞄をもって自転車に飛び乗る
駅までの道を急ぐ頭上にはうっすらと太陽が姿を現し初めていた
If
ベンチに座る彼に声を掛ける
ないこのことだからどうせ俺が迎えに来てくれるからとわざわざいつもより早く家を出たのだろう
ないこ
If
ないこ
If
謝ろうとしたのであろう言葉を遮る
ごめん、が聞きたくてわざわざこんな早起きした訳じゃないし
ないこ
ないこ
If
If
ないこ
If
ないこ
If
ないこが俺のお願いを聞いてくれるのは予想通り
俺に迎えに来てもらったことを申し訳なく感じてるのも分かってた
だから課題は“あえて”やってない
If
そこへ丁度ホームに電車が滑り込んでくる
If
ないこ
見るからにテンションが下がったないこ
If
ないこ
If
電車に乗る前にサッとホームを見渡したが怪しげな人は見つからなかった
電車に乗り込むと、車内はないこが言っていた通りぎゅうぎゅうだった
If
If
小声で確認してドア脇の壁の所へ少しずつ移動する
荷物を下に置いた状態でないこの頭の横に手をつくと、少しスペースが確保された
If
ないこ
車内は冷房が効いていたが人が多いこともあって少し暑かった
If
ないこ
If
そう自分に言い訳をしてないこの首元を拭うとかすかに声が漏れた
恥ずかしかったのか少し赤くなった顔を背ける
If
スペースなんか作らなきゃ良かった
そしたら、もっとないこに近づけたのに
ないこ
If
声を抑えてないこと話をする
これが早起きにもだんだん慣れてきた最近の、朝の恒例行事
口元に手を当ててくすくすと笑うないこが愛おしくて仕方ない
ないこ
If
聞くな、聞くなと脳が警報を鳴らしているのに、聞いてしまった
ないこ
じくん、と胸が痛む
それがおれだったらなぁ、なんて流石に無謀なことを考える
好きな人(同性)の好きな人が同性である確率だってずっと低いのに、その中でまさかそれが俺である可能性は一体何パーセントだ
If
問いかけたのは俺なのに、返事なんか聞きたくなかった
ないこ
ないこ
ないこ
If
If
ないこ
そう頬を染めるないこはまた切ない表情で唇を噛み締めた
If
If
If
特大のブーメランであることを忘れてて、つい考える
ないこ
If
ないこ
If
居るよ、大好きな人が
優しくて、可愛くて、努力家で、俺が大好きな人が
ないこ
ないこ
If
ないこ
ないこ
たった一言にがつんと大きな衝撃を受ける
If
ないこ
聞きたくない
ないこ
聞きたくない
ないこ
聞きたくない
ないこ
その時大きく電車が揺れた。慌てて肘を曲げないように力を入れて、気づいた
If
入れかけた腕の力を抜いて、そのまま吸い寄せられるようにないこの唇にそっと自分の唇を重ねた
ないこ
歯が当たる前に慌てたように上体を起こしてみせる
If
ないこ
柔らかくて、暖かかった唇
もう一度、もう一度だけできたら。なんて名残惜しく思う
ないこ
If
ないこも同じ気持ちならいいのに。
そんな淡い期待は一瞬で打ち砕かれたけれど
If
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
ひな
コメント
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え?まって? 今までTELLERのお話見た中で一番好きな人見つけちゃったんだけど… TELLERの使い方、うますぎん? え?まって、ヤバイヤバイ え?好きです 大好きです!応援してます!
ブクしつフォロしつ!