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コメント
5件
毎度ながら泣かせに来てるよね???うん絶対そうだ(←喜んでる人※Mじゃないよ) いい話だけどファブリーズが…w頭に染みついて… 今回も面白かった!次も頑張って!

やばい…辛い…泣くて…もうさ…辛いて…ほんとに… 投稿ありがとうございます🙏今回も凄かったです😭続きも楽しみにしてます👍
花梨
148
ー 三年前 ー
薄暗い部屋。カーテンは閉め切られたまま。
松田深緒
ソファーへ座り込んだまま、深緒は動けなかった。 兄の通夜の日の夜だったと思う。
気づけば部屋は静かになっていて。 「深緒」とぶっきらぼうに名前を呼ぶ声も。煙草の匂いも。 何もしない。
テーブルの上、灰皿だけが残っていた。
兄の煙草。ライター。 全部、あの日のまま。
松田深緒
深緒はゆっくり煙草を一本取る。 本当は嫌いだった。 煙の匂いも。服につく感じも。身体に悪いところも。ずっと文句を言っていた。 それなのに。
深緒は震える指でライターをつける。何度か失敗して、ようやく火がついた。
恐る恐る口へ運び、吸い込む。 次の瞬間。
松田深緒
喉が焼けた。涙が滲む。最悪だった。
苦いし。痛いし。何がいいのか全然分からない。でも。
ふわりと、知っている匂いがした。
松田深緒
兄の匂いだった。
部屋へ帰ると、いつもしていた匂い。 深緒は煙草を握り締める。
松田深緒
ぽろ、と涙が落ちた。
もう会えない。もう帰ってこない。分かっているのに。
煙草を吸っているときだけ、そこにお兄ちゃんがいる気がした。
ーーーーー
ー 更に遡り8年前 ー
萩原研二
玄関を開けた瞬間、そんな声が飛んできた。
松田深緒
学校帰り。 疲れ切った深緒は靴を脱ぎながら顔をしかめる。リビングでは、研二が勝手にテレビを見ていた。
が、テーブルの上を見た瞬間。深緒は目を疑った。
楽しみに取っておいたプリンの蓋が開いている。
松田深緒
萩原研二
一瞬で固まる研二。
松田深緒
萩原研二
松田深緒
萩原研二
松田深緒
萩原研二
松田深緒
お兄ちゃんが笑う。
松田陣平
松田陣平
松田陣平
一気に研二の顔が青ざめる。
萩原研二
萩原研二
萩原研二
捨てられた子犬のような目で見てくる。深緒はこれに弱い。
松田深緒
萩原研二
リビングに笑い声が響く。そういう毎日だった。
帰れば二人がいて。うるさくて。くだらなくて。でも、安心する場所。
萩原研二
萩原研二
研二がソファへ座ったまま手を伸ばす。
松田深緒
首を傾げながら近づくと、研二は当たり前みたいに深緒の髪へ触れた。
萩原研二
松田深緒
萩原研二
絡まった毛先を、指先で優しく解いていく。
松田深緒
萩原研二
松田深緒
萩原研二
研二が深緒の頭をグリグリする。
松田深緒
そう言いながら深緒は笑った。
しばらくして。解き終わった研二が小さく笑う。
萩原研二
そのままおでこにキスをする。
松田深緒
いつものことだが、中々慣れない。
松田陣平
陣平が苦虫を噛み締めたような顔をして、煙草に手を伸ばす。
萩原研二
研二が立ち上がる。
萩原研二
松田陣平
萩原研二
松田深緒
萩原研二
研二は窓を閉める。1人ベランダに締め出された陣平は、渋々タバコをしまって戻ってきた。
研二は深緒を見て笑った。
萩原研二
松田深緒
松田陣平
萩原研二
その何気無い言葉に少し照れ、深緒は視線を逸らした。
松田深緒
松田陣平
萩原研二
研二はお兄ちゃんの煙草箱を取り上げる。
萩原研二
松田深緒
即答だった。
松田深緒
松田陣平
松田深緒
萩原研二
研二が笑う。
その笑い声が好きだった。 深緒の前で煙草は吸わないって言ったって、服には外で吸ってきた煙草の匂いがついてるところも。
萩原研二
松田深緒
松田陣平
松田深緒
萩原研二
松田深緒
適当な返事。
その時は本当に。一生吸わないと思っていた。
ーーーーー
ー 現在 ー
松田深緒
ぽつりと呟く。 煙草の先が赤く燃える。深緒は静かに目を伏せた。
二人がいなくなった後。部屋から、少しずつ匂いが消えていった。
服から。 ソファから。 ブランケットから。 全部。
少しずつ。本当に、少しずつ。消えていった。
それが怖かった。本当に二人がいなくなる気がして。
だからあの日。深緒は兄の煙草へ手を伸ばした。
苦くて。痛くて。最悪だった。
松田深緒
研二の銘柄はなんだっただろうか。当時は煙草に興味がなかったから覚えてもない。 そんなことを考えながら、深緒は煙を吐く。
やっぱり、そこに2人がいる気がした。
孤独が少しだけ紛れた。