テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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LINE１３９３

第1話 - あ

2023年12月08日

#スカッと

タナカトシキ

アヤミ

ねぇ、リョウマ

アヤミ

私の契約してる駐車場に知らない車が停められてるんだけど…

リョウマ

何？

リョウマ

アヤミのマンションの駐車場にか？

リョウマ

誰かが間違えて車を停めたのかもな

アヤミ

それにしては、いつも停めてる両隣の車とは車種が違うのよ

リョウマ

そうなのか…

リョウマ

じゃあ、俺が警察に通報してやるよ

リョウマ

ナンバープレートの番号分かる？

アヤミ

うん

アヤミ

車種ごと分かるように写真で送るね

〜写真を送信〜

アヤミ

ほら、これだよ

リョウマ

あー…

リョウマ

見たことあるわ

リョウマ

これ、俺の知り合いの車だ…

リョウマ

俺から言っとくな

アヤミ

ううん

アヤミ

大丈夫

アヤミ

私が直接言うから、その人の連絡先教えて

リョウマ

いや、でも…

リョウマ

角がたつからさ…

アヤミ

いいの

アヤミ

私が言うから

アヤミ

教えて

リョウマ

あー…

リョウマ

マユって覚えてる？

リョウマ

大学生の時の

アヤミ

ああ、あの妙に男慣れしてるチャラチャラしてた子でしょ？

アヤミ

私も連絡先知ってる

アヤミ

その子の車なのね？

アヤミ

教えてくれてありがと

アヤミ

早速言うわね

〜その直後〜

アヤミ

マユ、久しぶり

マユ

ん？

マユ

誰？

アヤミ

私よ大学時代同期のアヤミ

アヤミ

ちょっと確認したいことがあって、連絡先を聞いたの

マユ

えー

マユ

そんな私に覚えられても無い人が突然に何の用？

アヤミ

無断駐車の件で連絡したの

マユ

はい？

マユ

無断駐車って何のこと？

アヤミ

そういう白々しい嘘はいいから

アヤミ

私が契約してる駐車場にあなたの車が停めてあるんだけど

〜写真を送信〜

アヤミ

ほら、これあなたの車よね？

アヤミ

私の車が停められないから困ってるんだけど

アヤミ

今すぐに移動してくれない？

マユ

はぁ？

マユ

変な言いがかりはやめてよね

マユ

うっとおしい

アヤミ

言いがかりではなく事実

アヤミ

リョウマもこの車はマユのだって言ってたよ？

マユ

え！

マユ

リョウマ、やっぱり私の車覚えててくれたんだ〜！！

アヤミ

自分の車っていうことは認めるんだよね？

マユ

いやいや

マユ

だから何？って話なんだけどさ

マユ

あの駐車場は私が使うことになるしね

マユ

あなたが違う所に停めれば済む話でしょ？

アヤミ

はい？

アヤミ

何言ってんの？

アヤミ

契約してるのは私よ？

アヤミ

解約するつもりもないし

マユ

だって〜

マユ

私、リョウマと結婚するんだもん

マユ

そしたら、あの駐車場は私の物でしょ？

マユ

どうせリョウマが支払いしてるわけだし

アヤミ

は？

アヤミ

ますます意味が分かんないんだけど…

アヤミ

リョウマと結婚ってどういうこと？

アヤミ

リョウマは私と付き合ってるんだよ？

アヤミ

それに、昨日旅行から帰ってきたばっかりだしね

アヤミ

私たち別れるわけないから

マユ

今はそのつもりが無くても近いうちにそうなるっていうことなの

マユ

いや、それにしても驚いた〜

マユ

大学卒業してから会ってなかったけど、まさか付き合ってるなんてね

マユ

私からリョウマを奪っといて謝罪の１つも無いし

マユ

あなたってどういう神経してるの？

アヤミ

奪った？

アヤミ

私が？

マユ

とぼけないでよ！

マユ

私から奪ったでしょ！

マユ

真面目なリョウマに色目を使ったことは分かってるんだからね！

マユ

大学の同期から彼氏を奪い取るなんて…

マユ

信じられない！

アヤミ

ちょっと待ってよ

アヤミ

リョウマが私と付き合う前に彼女がいたことは知ってるけど

アヤミ

それも

アヤミ

もう2年も前の話よね？

アヤミ

私とリョウマは付き合って2年が経ってるんだよ？

アヤミ

マユから奪ったっていうには無理があると思うんだけど…

マユ

は？

マユ

何言ってんの？

マユ

私とリョウマは今でも付き合ってるのよ！

アヤミ

あくまでそう言い張るんだ…

アヤミ

ちょっとリョウマに確認するね

アヤミ

本当のことだからどうぞご勝手に！

〜翌日〜

マユ

ちょっと！

マユ

あなたリョウマに何を吹き込んだの？

アヤミ

吹き込んだって…

アヤミ

リョウマに直接昨日のやり取りを見せただけだけど？

マユ

それで、どうしてリョウマが急に怒るのよ！

マユ

突然、私とは別れてるんだから迷惑をかけないでくれ！って言われたんだけど

アヤミ

えっと…

アヤミ

昨日リョウマに確認しましたけど、やっぱり2年前に別れたと言ってたよ？

マユ

別れてないから！

マユ

昔、リョウマが私と別れたいって行ったのは

マユ

私が新卒で仕事に集中できるように別れたフリをしてくれただけなんだから！

マユ

本心じゃなかったのよ！？

アヤミ

ああ…

マユ

それに別れてからも、私を心配してマメに連絡をよこしてくれたし

マユ

信頼し合えるパートナーとして心が繋がってるのよ！

アヤミ

えっと…

アヤミ

その話も聞いたけど

アヤミ

それは大学時代のサークルの集まりに参加するかどうかの連絡だったんでしょ？

マユ

あなたでは到底理解できないでしょうね

マユ

私達は心から繋がってるの！

マユ

だからこれ以上、リョウマを惑わすようなことはしないで！

アヤミ

惑わしてないけど…

アヤミ

それに、リョウマから私に告白してくれたんだよ？

マユ

あなたが、そう思い込んでるだけでしょ？

マユ

どこまでも忌々しい女

マユ

私が離れてる隙にリョウマを…

アヤミ

ああ…

アヤミ

もうこの話はいいよ

マユ

良く無いわよ！

マユ

さっさとリョウマの家から出て行ってちょうだい！

アヤミ

あのね

アヤミ

私がお願いしてるのは

アヤミ

駐車場から車を移動して欲しいってことだけなのよ

アヤミ

大事にしたくないから、すぐに対応してくれない？

マユ

だから！

マユ

私の駐車場だって言ってるでしょ！

マユ

話聞いてた？

マユ

バカなの？

マユ

いちいち頭にくる女ね！

アヤミ

あっそ

アヤミ

そっちがそういう態度を取るなら私たちにも考えがあるからね

マユ

考えって？

マユ

あ、警察に通報するとか？

マユ

あのね、警察が取り締まれるのは公共の場だけなのよ

マユ

私有地の中は取り締まれないの

マユ

民事不介入って言葉知ってる？

マユ

それに、レッカー移動も勝手にしちゃダメなのよ？

マユ

やっぱりバカなのね

アヤミ

色々と調べて無断駐車をしてたんだね

アヤミ

っていうことは、ここが私の駐車場であるっていうことを調べて嫌がらせしてたんだ

アヤミ

最初はリョウマと同棲していると勘違いされてるのかと思ったけど

マユ

そんなことどうでもいいから

マユ

いちいち聞いてこないで

マユ

あなたにはどうすることもできないっていうこと

マユ

退かしたいなら力づくでやってみれば？

〜数週間後〜

マユ

アヤミちゃーん

マユ

別れる気になったかなー？

アヤミ

はい？

マユ

いやね

マユ

あれから全然連絡がないからどうしたのかな〜って

アヤミ

私からは何も話すことがないから

アヤミ

もう連絡してこないでもらえる？

マユ

え？

マユ

何か怒ってる感じ？

マユ

あ！

マユ

もしかしてリョウマと上手くいってないんでしょ？

アヤミ

そんなことないけど

マユ

結局、私の車もどうすることも出来なかったんでしょ？

マユ

無断駐車って取り締まるのが難しいのよ〜

アヤミ

被害届なら出したよ

マユ

へ？

マユ

そんなはずないわ！

マユ

わかった

マユ

脅してるのよね？

マユ

警察が私有地の無断駐車で動くはずがないもの

アヤミ

無断駐車っていうだけならそうかもね

アヤミ

でも、居住権の侵害として被害届をだしたら話は変わってくるのよ

マユ

居住権の侵害？

マユ

まさか、それで警察に？

アヤミ

ついでに、リョウマへの付き纏い行為とも合わせて被害届出したから

アヤミ

リョウマの仕事終わりに待ち伏せをしたり

アヤミ

私の家の前にいたり、無断駐車の嫌がらせ

アヤミ

全部わかってるんだからね？

マユ

付き合ってるんだから当然じゃない！

アヤミ

だから、それはあなたの思い込みに過ぎないんだって…

マユ

思い込みじゃないわよ！

マユ

どこに私たちが別れたっていう証拠があるのよ！

アヤミ

それなら、どこにあなたたちが付き合ってるっていう証拠があるのよ

マユ

それならあるわよ！

マユ

私、彼から誕生日プレゼントに貰ったネックレス

マユ

大切に肌身離さず持ってるんだからね！

マユ

これが証拠っていうのよ

アヤミ

それいつ貰ったやつよ…

アヤミ

少なくとも2年前でしょ？

アヤミ

それ以降は連絡だってろくに無いのに

アヤミ

よくも、まだ彼女ヅラしてられるわよね…

アヤミ

正直、引くわ…

マユ

なによ！

マユ

あなたに何が分かるのよ！

マユ

リョウマは初めて私に優しくしてくれた男の人だったのよ？！

マユ

小さい頃からいじめられてた私に対して…

マユ

大学でも1人ぼっちで過ごすのかなって思ってた

マユ

それなのに、あの日リョウマは私に声をかけてくれた

マユ

私には白馬の王子様に見えたわ

アヤミ

あー…

アヤミ

あの…

アヤミ

回想に浸ってるところいいですか？

アヤミ

あなたの過去に何があったかは私には関係ないし興味もない

アヤミ

今、問題なのはあなたが私の駐車場に無断駐車を続けてるっていうこと

アヤミ

幸い、リョウマも近くに住んでて

アヤミ

リョウマの車は車検に出してるから、駐車場を貸してくれてるけど…

アヤミ

もうそろそろリョウマの車が戻ってくる頃なの

アヤミ

だから、早く退いてほしくて

アヤミ

まぁ、大好きなリョウマと同棲生活を過ごせたのはすごく楽しかったけどね

アヤミ

やっぱり迷惑はかけれないからさ

マユ

どこまでもムカつく女ね！

マユ

私の神経逆撫でしてることに気づいてないのかしら！

アヤミ

逆撫で？

アヤミ

なら何？

アヤミ

なでなでして欲しいのかしら？

アヤミ

どこまでも構ってちゃんなのかしら？

マユ

何よ

マユ

私のこと、からかってるの？

マユ

歪んだ性格してるわね

マユ

そんな性格の女がリョウマに釣り合うはずがない！

マユ

今すぐリョウマから離れなさいよ！

アヤミ

五月蝿いわねぇ…

アヤミ

リョウマから離れられた女が何をピーピー言ってるのよ

アヤミ

リョウマからも直接、あなたに怒りのメッセージが送られた時点で気づきなさいよ…

アヤミ

リョウマはあなたに対して何も思ってないんだから

アヤミ

どっちかっていうと嫌悪感はあるかもしれないけど

アヤミ

好きになることはないんだって気づきなさいよ

マユ

嘘だ！

マユ

そんなことない！

マユ

あの優しかったリョウマが…

アヤミ

あー…

アヤミ

また、回想に入りそうだから先に言っとくわね

アヤミ

とにかく

アヤミ

後のことは警察と弁護士さんに任せてるから、そっちとお話してちょうだい

アヤミ

私には連絡してこないで

アヤミ

わかった？

マユ

ちょ、ちょっと

マユ

ちょっと待ってよ

マユ

警察に連絡して被害届を出したってことは、私逮捕されるの？

アヤミ

そうなると思うけど…？

マユ

わかった！

マユ

車はすぐに動かすわ！

マユ

それが、あなたの要求だもんね

マユ

もう、今日中に動かすわ

マユ

それでいいでしょ？

アヤミ

でも、もう被害届と証拠を提出してるから…

アヤミ

それに、警察の方にも現場を確認してもらってるからさぁ…

アヤミ

その後、あなたに連絡を取ったみたいだけど携帯に反応が無くって

アヤミ

折り返しの電話もなかったみたいだからさぁ…

アヤミ

また、警察の方から連絡が行くと思うから、その指示に従ってくれる？

マユ

困るわ！

マユ

本当に困るから、すぐにやめて！

マユ

被害届も取り下げて！

マユ

逮捕されたら会社にもバレるでしょ？

アヤミ

そりゃあ、そうでしょう…

マユ

お願いよ…

マユ

お金が欲しいならあげるから…

アヤミ

散々、バカにしといて…

アヤミ

私によくそんなお願いができるわよね

アヤミ

本当にあなたってどういう神経しているの？

アヤミ

どういう思考回路なの？

マユ

最近、会社でやっと仕事が上手く回り始めたのよ

マユ

出世街道に乗ってきたなって言われるのよ

マユ

わかってくれるわよね…？

マユ

会社の中で女が上に立つっていうことがどれほど大変なことか

アヤミ

たしかに会社では男が優位っていうことはわかるよ？

アヤミ

でも、あなた学生の頃から他の人の気を惹くために色んな男の人と寝てたんでしょ？

マユ

え…

アヤミ

それが原因で他の男性陣や女性陣から嫌われてたって分かってなかったの？

アヤミ

リョウマは付き合ってから知って

アヤミ

そのことを気味悪がって別れたんだってさ

マユ

嘘でしょ…

アヤミ

本当だよ？

マユ

これからは、リョウマじゃなくて他の男と一緒になりなよ

マユ

モテるから大丈夫でしょ？

マユ

体使うことは得意みたいだからさ

〜後日談〜

アヤミ

その後、マユのご両親から謝罪があり和解を求められました

アヤミ

今後一切関わらない接近禁止命令が裁判所より下され、この一件は終わりました

アヤミ

マユは今回の件が社内で広まって出世街道から外されました

アヤミ

でも、得意の処世術でお金には困ってないみたいですけど…怖い怖い

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タナカトシキ

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