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昼休み。教室の隅。扇風機の風がうるさくて、ノートのページがめくれかけている。
凪
伊吹
声の主に顔を向けると、無表情のまま、凪が何かを差し出してきた。
凪
伊吹
凪
伊吹
凪
伊吹
缶を受け取って、伊吹はじっと見る。ラベルには見たことない英語と、雷みたいなロゴマーク。どこのメーカーだこれ。
伊吹
凪
伊吹
笑って返そうとしたけど、凪の顔はいつも通り真顔で、少しだけ、どこか、期待するような色があった。
伊吹
ぷしゅ、と缶を開けて、一口。
伊吹
思ったより甘い。炭酸が喉を刺すけど、後味は妙にまろやかで、ちょっと、癖になる感じ――。
伊吹
凪
ぽつりと呟いた凪の声が、いつもより低くて耳に残った。
伊吹
数分もしないうちに、伊吹は首を傾げた。胸の奥が、妙に熱い。背中がじわりと汗ばんで、指先がじんわりとした痺れを持っている。
伊吹
凪
伊吹
凪は机に肘をつきながら、じっと伊吹を見ていた。無表情のまま、でもその目だけが、どこか愉しげに細められていた。
凪
伊吹
凪
伊吹
凪
伊吹
伊吹の脳が、きゅ、と止まる。
伊吹
凪
伊吹
凪
伊吹
凪が、伊吹の手首を掴む。
伊吹
凪
伊吹
伊吹の声は徐々に震え始めていた。心臓がバクバク鳴って、凪の指が触れているだけで、鳥肌が立つ。
凪
伊吹
凪
伊吹
その瞳は、どこまでも冷たく、どこまでも熱かった。そして伊吹は、じわじわと自分の身体が、“普通じゃなくなっていく”のを、まだ止められずにいた――。