桃赤

桃赤 無言系❌

昔は、昔はね

｢逃げられないからな｣

なんて、言ってくれてたっけ？

ぇ、へへ

なんで？

話しかけるとため息つくの？

なんで、

一生懸命に作ったご飯食べてくれないの？

なんで

すきって言ってハグしてよ、

忙しいもんね、

仕方ない、仕方ないよね

1人で2人分の買い出しに行く

どーせ、食べてくれないのにな、

それでも作っちゃうのは食べてくれるかもしれない願望があるから

遠くからでもわかる

あの、ガザガサな声はころちゃんだ

ぶんぶんと手を思いっきり振ってその後に少し駆け足で近づいてきた

いーよ、貸してってさっきまで持っていた俺の荷物を奪われた

結局家まで来てくれた

どーせ、食べてくれないならころちゃんに練習して美味しくなったハンバーグ食べて欲しいもん

なんだか今日はうるさいな、

はぁ、誰かきてんのか、

そう思ったが誰かはすぐ分かった

馬鹿でかい声で何かを叫んでいる

その声で誰かは分かった

そして聞こえる、莉犬の笑い声、

おれ、莉犬の笑い声聞いたのいつだ？

いつも、お互い自分のすることをしてるからはなさない、

ちがう、おれが用がないなら話しかけるなって言ったんだ…ｯ

うんっま！って俺の作ったはんばーぐを褒めてもらった

でもその美味しいハンバーグさとみくんに食べて欲しかった、なぁ

俺そんな顔してた、？

さっきのふざけた雰囲気とは違って優しくて暖かい雰囲気になった

ぺたん、ぺたん

2階の方からなにか降りてくるような音が聞こえてその方を見る

誰かはわかっていた、

でも、改めてその人だって思うと顔を俯かせてしまった

ぴんっとした雰囲気を感じたのかころちゃんがそう発する

急にそうさとみくんが言う

作ってないってことを知らせるために顔を横に振る

なんで、今まで食べようとなんかしてこなかったのに…っ、

その一言に胸がぎゅーってなって目頭が熱くなった

ずっと聞きたかった言葉、

さとみくんに言って欲しかった言葉

2人になってもなお涙は止まらずあふれてくる

さとみくんの声が震えてるのが分かった、

限りなく没に近い没(?)

でもね、個人的に結構好きかも