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彼女が遺した花

第1話 - 彼女が遺した花

550

2018年08月27日

#恋愛

#中編

#友情

🍎林檎🍎

？？？

こんにちは😃

春輝

え、どちら様ですか

？？？

私は人々の願いを叶える仕事をしております。

春輝

はあ…

春輝

宗教の勧誘とかだったら間に合ってるんで

？？？

今まで、たくさんの方々の願いを叶えてまいりました。

？？？

私を本当にご必要となさっている人だけの前に私は現れます。

春輝

あの、マジで迷惑なんで

春輝

他当たってください

？？？

本当にいいんですか？

？？？

願いが叶うんですよ

春輝

胡散臭いんですよ

？？？

じゃあ、何か質問をしてみてください。

？？？

私はなんでも知っておりますから

春輝

じゃあ

春輝

昨日僕がどこに行って何を食べたか

？？？

△△カフェに秋弥様とお行きになり、春輝様はデミグラスソースonハンバーグ、秋弥様はミートソーススパゲティを召し上がられました。

春輝

え

春輝

あの、ストーカーですか

？？？

違います。

？？？

秋弥様とはよく色々な場所を訪れ、親しくなさっているようですね。

春輝

なんで秋弥のことまで知ってんですか

春輝

ほんとに気味悪いですよ

？？？

他にお尋ねになりたいことはございませんか。

春輝

ございません

春輝

もういいです

春輝

通報します

？？？

そうなさりたいならご自由にどうぞ。

？？？

しかし、後悔するのは恐らく貴方様になるかと

春輝

後悔なんてすることないです。

？？？

胡散臭いと思われるのは承知で申し上げますが

？？？

鈴花さんのことはよろしいのですか。

春輝

は？

？？？

鈴花様は春輝様と会いたがっておりますよ。

春輝

？？？

会話が出来ます。

？？？

それがいまの貴方様の一番の願いでしょう？

春輝

黙って聞いてれば

春輝

いい加減にしてください

春輝

鈴花のことを口にしないでください

？？？

会話なさいますか？

春輝

信用できるわけないじゃないですか。

春輝

マジで胡散臭いです。

？？？

どうすれば信じて頂けますか。

春輝

どうやっても信じられません

？？？

鈴花様が最期に言い遺したお言葉を覚えておられますか。

春輝

？？？

覚えておられるはずです。

？？？

不思議なお言葉だと思いませんでしたか。

春輝

？？？

こう仰った筈ですよ。

？？？

「ダイヤモンドリリーだよ。春輝」

春輝

？？？

ご理解に苦しみましたでしょう。

？？？

でもよくお考えください。鈴花様のお好きなものと言われて一番最初に浮かぶものは何ですか。

春輝

花

？？？

左様でございます。

？？？

鈴花様はお花がお好きでした。花言葉もよく知っておられた。

？？？

彼女が最後になぜ花の名前を呟いたのか、

？？？

春輝様はお考えになりましたか。

春輝

まだ鈴花がいなくなって一ヶ月だから

春輝

そんなこと考える余裕がなかった

春輝

です

？？？

やはりそうですか。

？？？

花言葉ですよ、春輝様。

春輝

え

？？？

ダイアモンドリリーの花の花言葉をご存知ですか？

春輝

いや…

？？？

「また逢う日を楽しみに」

春輝

？？？

鈴花様は、私の存在を生前知っておられました。

？？？

春輝様が私を必要とする日が来ると確信しておられたのでしょう。

？？？

だから、こんな言葉を遺したのですよ。

？？？

また逢える、と

春輝

嘘、ですよね

？？？

今から鈴花様との心と春輝様の携帯を接続いたします。

春輝

え、ちょ、待ってください！まだ心の準備が！

３分後

鈴花

やっほ

鈴花

元気だった？

春輝

鈴花

言葉が出ない？笑

鈴花

まあ当たり前か😅

春輝

なりすましじゃないですよね？

鈴花

まだ信じてないの？笑

鈴花

うーん🧐そうだなあ…

鈴花

じゃああたししか知らない春輝の秘密をひとつ。

鈴花

春輝は、蚊が怖い！笑笑

春輝

なっ！

鈴花

ふっふっふ😎

鈴花

信じたか！

春輝

本当に、こんなことがあっていいの

鈴花

いーの🎶

鈴花

せっかくまた会えたけどあんまり長くは話せないんだ

春輝

そう、なんだ…

鈴花

もうちょっとで輪廻の輪で転生するの

春輝

輪廻の輪って実在するの！？

鈴花

うん😁

鈴花

眩しくて直視できないよ笑

春輝

それは…やばいなw

鈴花

春輝

ん？

鈴花

あたしがいなくなって、悲しかった？

春輝

悲しいっていうか、実感がない。

春輝

それでも、急に現実感とか鈴花がもういないって感じを実感すると、苦しくて息ができなくなる。

鈴花

なんだお主やけに素直だな？笑

春輝

もしこれが嘘でも、もういいんだ。

春輝

本当のことだったときにもったいない。絶対後悔する。

春輝

これが、最後になるんだろ？

春輝

もうこれっきり、こんなこともないんだよね？

鈴花

うん…。

春輝

だったら言いたいこと全部言う。

鈴花

うん😄

春輝

…て言っても、何言っていいかよく分かんないんだけどねww

春輝

なんかいろんな感情が湧き上がりすぎて言葉になんない。

鈴花

そっか

鈴花

あたしね、春輝とこうやって話せるようになるまでに何を言うか内容をまとめておこうと思って、ずっと考えてたんだけど

鈴花

やっぱ伝えたいことが多すぎたんだ笑

鈴花

ひとつひとつ伝えていくね

春輝

うん

鈴花

まず、病気なんかに負けてしまってごめん

鈴花

最後まで負けるつもりなかったんだけど、

鈴花

強敵だった笑

春輝

鈴花を倒すなんて強敵だもんな

鈴花

春輝はいつも気を遣ってくれて、優しくしてくれたから、あたし嬉しかったよ。

春輝

当然のことだよ。

鈴花

春輝に何も返せないまま、側にいられなくなってごめんなさい。

鈴花

これから言うことは、病人の遺書とかにありがちなことしか言えないんだけどね

鈴花

春輝、あたしは春輝が大好きだったよ。

鈴花

普段恥ずかしくて言えなかった。最後まで恥ずかしくて言えなかった。

鈴花

あたしは、人の心の弱い部分にそっと触れて、寄り添える春輝が、

鈴花

あたしに生きる力を毎日与えてくれた春輝が、

鈴花

辛くてたまらなかった闘病生活に色を与えてくれていた春輝が、

鈴花

あたしのことを大好きだと言ってくれた春樹が、

鈴花

そのままの春輝が、大好きなんだ。

春輝

鈴花

ありがとうなんてたった平仮名５文字じゃ全然足りない。

鈴花

もっと日本語豊富だったら良かったのにね笑

春輝

鈴花

春輝

…なに？

鈴花

あたしのことは忘れて欲しいんだ。

春輝

無理。

鈴花

言うと思ったよ笑

鈴花

…ごめん、春輝、嘘なの。

春輝

え？

鈴花

よくドラマとかで、私のことは忘れて他の人と幸せになってねなんて、いうじゃん？

春輝

うん、いや、僕は無理だよ。

鈴花

だから嘘なの

春輝

何が？

鈴花

本当はあたし、忘れて欲しいなんて一ミリも思ってない。

鈴花

忘れて欲しくない。ずっと覚えてて欲しい。春輝とずっと一緒にいたい。

春輝

そんなの、俺だって

鈴花

しかぁし！

春輝

は？

鈴花

突然ですが、あたしには目標があります！

春輝

はあ…

春輝

鈴花

春輝があたし以外で、本当に愛した女性との子供として生まれてくるよ😁

鈴花

春輝はまたあたしに会いたくない？

春輝

会いたいに決まってる

鈴花

でしょ？

鈴花

未来の奥さんに言っといて！娘をうんと可愛く産んでって！

鈴花

あたし超美少女で生まれてくるから😎

鈴花

愛情たっぷりで育ててね😎

春輝

僕は、鈴花以外を好きになれないよ。

鈴花

ううん、なれるよ。

鈴花

あたしが保証する。

鈴花

きっととっても素敵な人と一緒になるよ😊

春輝

嫌だ。

鈴花

…聞き分けが悪いなあ笑

鈴花

私は春輝に会いたいが為に再び地上に降り立つと言うのに

鈴花

…本当なら春輝のお嫁さんになりたかったんだけど、今すぐ生まれても２５歳差だよ？笑笑無理じゃん。

鈴花

だからあたしは春輝の娘さんになるの！

春輝

ほんとに娘になってくれる？

鈴花

もちろん！100パー！

春輝

……わかった。

春輝

じゃあ僕のお願いも一個聞いてよ。

鈴花

なに？

春輝

鈴花の声が聞きたい。

鈴花

……無理だよ……。

春輝

会いたい。

鈴花

ごめん

春輝

ねえ、

春輝

なんでいなくなるんだよ

春輝

まだ連れて行きたいところあったよ

春輝

一緒に見たい景色だってあった

春輝

食べたい料理だってあった

春輝

ずっと一緒にいるって約束したじゃねえか

春輝

破ったら、鷹の爪食うって言ったよな

春輝

鈴花に鷹の爪食べさせてないよ、僕。

春輝

まだ鈴花の声聞き足りない。

春輝

忘れそうで、怖い。

春輝

大好きな鈴花の声を、笑顔を、優しさを、匂いを、話し方を時間と一緒に忘れていきそうで怖い。

春輝

まだ受け入れらんない。

春輝

無理だ。お別れなんて。

春輝

なあ、会いたいよ…

春輝

鈴花一緒にいられなくなってごめんって謝るけど

春輝

謝らなくていいんだ。

春輝

ごめんなんか聞きたくない。そんな言葉くそくらえ。

春輝

ごめんじゃなくて、横で笑っていて欲しいんだ。

春輝

ただ側にいるだけでもいい。

春輝

ありがとうだって、僕の方が言わないといけない言葉だよ。

春輝

僕の白黒の世界に鮮やかな色を教えてくれたのは鈴花なんだ。

春輝

鈴花が、大好きなんだ。

鈴花

春輝

なんだよ

春輝

電話くらいさせろよ。

春輝

さっき願い叶えるって言ったやつどこ行ったんだんだよ。

春輝

こんなメールなんかじゃないよ。

春輝

会いたいんだよ。

鈴花

春輝

なんだよ！

鈴花

言ったじゃない。ダイアモンドリリーだよ。

春輝

は？

鈴花

あたしは、春輝のことが大好き。

鈴花

ううん、25のくせにこんなこと言っていいかわかんないけど、愛してる。

鈴花

春輝だってそうでしょ？

春輝

うん。

鈴花

こんなにお互いを想ってるあたしたちが、赤い糸で結ばれてないと思う？

鈴花

きっとあたしたちは運命で結ばれてる

鈴花

切っても切れないよ。

鈴花

春輝が切りたくなっても、決して切れない縁なの。

鈴花

絶対、また逢える。

鈴花

それが、親子関係であれ、友達関係であれ、お互いがお互いを想ってる関係として、何度でも生まれ変わって何度でも出会えるよ😁あたし、春輝に会えてよかった。春樹を好きになって、幸せだよ。

鈴花

また逢える。だから、その時まで

春輝

………うん、分かった。

鈴花

「また逢う日を楽しみに」

５年後

秋弥

とうとう赤ちゃん生まれたか！

春輝

おう😁

秋弥

おめでとう🎉

秋弥

写真ねえの？

春輝

あるけど、やたらめったら見せないよw

秋弥

ええ！なんでだよ！いいだろ！減るもんじゃねえし！

春輝

美少女だから、面食い秋弥には見せたくないなぁ

秋弥

そんな面食いじゃねえし！

秋弥

てか赤ん坊相手に恋愛感情とか変態じゃねえか！

春輝

え、違うの？

秋弥

春輝、お前なあ💢

春輝

ごめんって笑笑

春輝

それはそうと秋弥

秋弥

ん？

春輝

五年前のあれ、全部お前の仕業だろ？

秋弥

あれ？

春輝

とぼけなくていいよ

春輝

実際あんなこと有り得るはずがないんだよ

秋弥

いつから気づいてた？

春輝

あの出来事があって、一年経ってから思い直したんだよ。

春輝

やっぱありえねえなってなった

秋弥

春輝お前、夢も希望もクソもねえな…

秋弥

頼まれたんだ。

春輝

鈴花に？

秋弥

そう。あの子が亡くなる一ヶ月前くらいだったっけな。

秋弥

鈴花ちゃんのお見舞いに行った時に、封筒渡されて

秋弥

パンパンに膨れた封筒だったんだ。紙がいっぱい入ってて

秋弥

秋弥君に迷惑かけて本当に申し訳ないんだけど、こういう風にして欲しいんだって言って渡されて

秋弥

家に帰って読んだら？？？のセリフまで全部書いてあった笑

秋弥

あたしがこうやって言ったら春輝きっとこういうだろうから、こういう風に返してってそれこそ完璧にww

春輝

秋弥

ただ予想外が一個だけあった。

春輝

なに？

秋弥

手紙の中には、春輝が最後にあんなに駄々こねるかもとか書いてなかったんだ。

秋弥

焦ったよww

秋弥

でも、よく見たら手紙の最後に、小さく書いてあったんだ。彼が駄々こねた場合ってww

春輝

マジかよ…

秋弥

で、その後矢印引いて、ダイアモンドリリーだって言ってあげてって

秋弥

絶対何度でもあたしたちは巡り会うって、そう伝えてって

秋弥

それと愛してるって伝えてってw

秋弥

次の日病室で愛してるは自分で言えよって言ったら

秋弥

照れ臭いじゃんって枕投げられたww

春輝

……ほんとに僕は最後まで鈴花に感謝してもしきれないな…

秋弥

あんまりにも完璧にお前がいうこと予想してるもんだから俺鳥肌たったよww

秋弥

お前らの愛には完敗だなww

秋弥

ほんとに娘生まれてくるとか思わなかったし

春輝

俺は信じてたよ。

春輝

鈴花を信じてた。

秋弥

名前は、なんてつけんの？

春輝

蘭にしようと思ってる

秋弥

マジで言ってんの！？

春輝

うん、なんで？

秋弥

俺が貰った手紙、ちっさなメモ帳が入ってて、そこにさ、

秋弥

春輝の娘になったら、名前は蘭がいいなだってさ

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