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ガラガラ、..ガシャンっ
重たい扉が開き、檻が会場の中央へ押し出された。
司会
司会者が淡々と告げる。
中にいる男は、ただ立っているだけだった。名前も、過去も呼ばれない。
ただの「商品」だからだ。
客席から声が上がる。
「五十万」
「六十万」
数字が重なるたび、男は小さく息を呑んだ。
司会
槌の音が響く。
男はすぐに連れていかれ、そこには何も残らなかった。
さっきまで人が立っていた場所は空っぽで、すぐに次の準備が始まる。
主人公の檻が前へ押し出された。
――次は俺か。
胸の奥がひやりとしたが、主人公は表情を変えなかった。
背筋を伸ばし、ただ前を見つめる。
震えそうになる手は、檻の柵を強く握って抑えた。
司会
司会者の声が響く
視線が一瞬で集まるのを感じても主人公は前を向いたままだ
彼が壇上に上がった途端、さっきの男とは比べ物にならないほど値段が急激に跳ね上がっていく
「一千万!」
「三千万!」
「1億!」
今までにない桁違いの金額に会場の全員が息を呑む
金持ちたちの歓声が1億、という桁違いの額を出された途端消えるように静まる
誰もが落札だと、司会も、本人でもそう察してしまう
司会
その時だった
その沈黙を切り裂くように、彼は口を開いた
耳を疑う数字に、ざわめきが完全に泊まる
司会者が一瞬目を見開くと、落ち着いた声で繰り返した
司会
自分の目でも、思わずその声の主を探した。
場内の空気が、一瞬で凍りつく。
この機を逃すまいと、司会者が急いで槌をならした
司会
落札者を庭園で待てと指示を出された
自分に二百十億という価値が着いたこと
自分をそこまで必要としてくれる人物がいること
頭の中が訳の分からない感情でごちゃごちゃだ
今まで自分の世界は檻の中だけだった
今じゃこんなにも世界が広い、
一輪の花を見つめそう呟く
その時、後ろから足音が近づいてくる
振り向くと、落札者___あの高額で自分を買った人物が静かに立っていた
なんでだろう、こんな中身のない会話なのに、この人とだと楽しい、そう感じてしまう
言葉は少ないけれど、会話のテンポがぴったり合う。
でもどうせ、この人だって今までの人と同じなんだ
とうせやる事やってすぐ捨てられる。
今までの落札者のように、__
俺はまた、あの冷たくて寂しい場所に戻らないと行けないのか_?
しばらく立ち尽くしていると、彼は何も言わずにそっと手を取った。
彼の目を見上げる間もなく、彼は軽やかに手を取り庭園の小道を駆け出した
久しぶりの運動ということもあり、足が追いつかない
呼吸も乱れてくるしい
でも、...そのはずなのになんで
...なんでこんなに
彼の笑顔を見ると、涙が出てしまうんだろうか
夜な夜な書いた作品なので多分気付いたら消してるかリメイク版出してると思います。 飽きるまで書き続けますのでぜひご愛読を