誰もいない教室
わたしひとりだけ。
今日で、わたしは
此処に来るのを終わりにしよう。
大嫌いだった
毎日毎日、うるさいって
死んでって
消えろって。
其れはわたしの心を傷つけていた。
なんともないつもりだった。
だけど、気がついたんだ。
わたしはずっと
死にたがってるんだって。
涙はもう、溢れなかった。
くやしいな。
でも、「其れ」はきっと
わたしを彼に出会わせるための措置だったのかもしれない。
神様が用意した。
目を伏せた。
───さよなら。
それだけ言って。
静かな音楽室で、ふたりきり
ふたりだけの世界
ふたりだけの音
わたしは、少しだけ手を止めて
今日で終わり。
それだけ言った。
それだけ?
おかしいね
少しだけ、其れに感謝した。
君はもういない
それでも
ふたりだけの世界で
鳴らせたこと
何も聞かれなかったこと
好きでした。
それだけ
君に伝えたかったって。
夏休み、君は
わたしのために毎日此処に居てくれた
───さよなら。
君はもう、いなかった
夏休み最終日。
わたしたちは、また出逢えた
夏休みだけ逢える君は
もういなくなるんだってさ
ふたりの音
音楽室には、誰もいない。
ただ、音だけが響いた。
ふたりだけの音楽室