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〜今度桜が咲いたら〜

第3話 - 〜今度桜が咲いたら〜“第三話”｢自覚｣

152

2022年04月11日

#刀剣乱腐

#くりんば

#ブラック本丸

#BL

とある審神者

菫本丸へ転移されてから一週間程経ち、体調も回復してきた

この一週間程、手入れ部屋から全く出ていない

理由は単純で身の回りの世話や飯の管理、何から何まで、審神者と大倶利伽羅がやっていたからだ

山姥切国広

...いくら何でも過保護すぎだろ

大倶利伽羅

あんたのことが心配だからだ

山姥切国広

うわｯ！？

山姥切国広

...あのな...何度も言うが、気配を消して出てくるのはやめてくれ...

大倶利伽羅

......次からは気を付ける

審神者(華)

切国さん。ご飯、持ってきました。

山姥切国広

......ああ、有難う。

大倶利伽羅

......なあ、主、俺もここで食べていいか？

山姥切国広

は！？

審神者(華)

ええ、勿論。

大倶利伽羅

じゃあ、取ってくる

そう言うと大倶利伽羅は厨へ向かった

山姥切国広

...なあ、主

審神者(華)

何でしょうか？

山姥切国広

...｢大倶利伽羅｣って...馴れ合わない刀の筈だよな？

審神者(華)

ええ。この本丸の個体は特に。

山姥切国広

...じゃあ何故...あんな、馴れ合いとしか思えないことをするんだ...？

審神者(華)

さあ...？

一方その頃厨では

大倶利伽羅

......(厨に入る)

燭台切光忠

あ、伽羅ちゃん！！

大倶利伽羅

ああ、光忠か

燭台切光忠

また切国君のところ行ってたの？

大倶利伽羅

...まあな

燭台切光忠

本当...伽羅ちゃんがそこまで興味を持つのも珍しいよね

大倶利伽羅

そうか？

燭台切光忠

うん。｢いつも馴れ合わないとか言ってるのにすごい馴れ合ってる｣って本丸内で噂されてるよ？

大倶利伽羅

...勝手に言ってろ

燭台切光忠

ふふ。変わらないなぁ...伽羅ちゃんは

燭台切光忠

あ、朝餉、どうする？

大倶利伽羅

...手入れ部屋で食う

燭台切光忠

...そっか...じゃあ用意しとくね

大倶利伽羅

？...ああ

審神者(華)

...それで、その後はどうなったんですか？

山姥切国広

元凶の二人が厨当番だった歌仙にこっぴどく叱られ、巻き添いをくらった俺たちはその日の夕餉が豪華になった

審神者(華)

とても...楽しそうな本丸だったんですね

山姥切国広

ああ。あの頃は毎日楽しかった

大倶利伽羅

...あんたら、何の話をしているんだ

山姥切国広

ああ、大倶利伽羅か。...いや、前の本丸であった面白いことを話していた

大倶利伽羅

面白いこと？

山姥切国広

...あんたも聞くか？

大倶利伽羅

...ああ。朝餉のついでにな

山姥切国広

あれは確か...三年ほど前の夏なんだが...

山姥切国広

突然、俺たちのいた本丸の厨が爆発しかけてな...

大倶利伽羅

...は？

大倶利伽羅

厨が...爆発...？

山姥切国広

ああ。あれは流石に驚いた

大倶利伽羅

いや...驚くどころの話じゃないだろ...

山姥切国広

まあ、あの頃は楽しかったしな

審神者(華)

......(空気を読んで静かに部屋を出る)

審神者(華)

...あの二人だったら、回復も早そうね...

鶴丸国永

お、主じゃないか！！

審神者(華)

鶴丸。どうかしましたか？

鶴丸国永

いやなに、少し提案があってな

審神者(華)

提案？

鶴丸国永

ああ。

鶴丸国永

次の出陣の編成で、俺と切国を交換して欲しい

審神者(華)

次の出陣...確か、編成は...

部隊長　加州清光

二番手　和泉守兼定

三番手　山姥切長義

四番手　太鼓鐘貞宗

五番手　燭台切光忠

六番手　鶴丸国永

審神者(華)

えっと...すでに編成は決まっているのですが...

鶴丸国永

俺の所を切国に変えて欲しいんだ

審神者(華)

...わかりました

審神者(華)

では、その編成で向かいましょう

鶴丸国永

有難うな。主

山姥切長義

おや、主に鶴丸じゃないか

審神者(華)

ああ、山姥切ですか

鶴丸国永

お、山姥切。ちょいと相談があるんだが、いいか？

山姥切長義

相談？俺でいいのなら、いつでも

鶴丸国永

実はな、ちょいと用ができて次の出陣に行けなくなってな...

鶴丸国永

それで、次の出陣、切国に行ってもらうことにしたんだ

山姥切長義

へぇ...

山姥切長義

主の許可は？

鶴丸国永

勿論、取ってある。な、主？

審神者(華)

ええ。先程、許可しました

山姥切長義

そうか。なら、俺がどうこう言う問題じゃないよ

山姥切長義

それに、この前来た偽物くんには会ってみたかったんだ。丁度いい

審神者(華)

そうでしたか...では、次の出陣、期待していますよ

山姥切長義

ああ、勿論

鶴丸国永

じゃ、頼んだぜ！！

ﾀﾀﾀｯ

山姥切長義

さて...俺も少し用があるから、これで失礼するよ

審神者(華)

わかりました。忙しい所有難うございます

山姥切長義

いや、こちらこそ。事前に教えてくれて有難うね

山姥切長義

それでは

審神者(華)

ええ、また...

大倶利伽羅

それで、その後はどうなったんだ？

山姥切国広

二人がふざけたせいで、厨が爆発しかけた

山姥切国広

厨当番だった歌仙が怒り、二人はこっぴどく叱られ、巻き添いになった俺たちはその日の夕餉が少し豪華になった

大倶利伽羅

良かった...のか...？

山姥切国広

...まあな

大倶利伽羅

...あんたは、昔に戻りたいとは思わないのか？

山姥切国広

...時々思う

山姥切国広

でも、｢あいつら｣から後のことを頼まれたし...

山姥切国広

それに...俺も少しはこの本丸を気に入ってるからな

大倶利伽羅

......そうか

山姥切国広

......感謝している

切国がそうぽつりと言った後、ほんの少しだけ微笑んだ

大倶利伽羅

ｯ！！

山姥切国広

どうかしたか？

大倶利伽羅

...いや、何でもない

大倶利伽羅

食器、片付けてくる

山姥切国広

え、あ、ああ。分かった...？

返事を聞くと俺は、いつもより少し足早に手入れ部屋を出る

そうでもしないと

何かが溢れてしまいそうだった

切国は何となく俺に似ている気がする

口下手で、あまり喋らない

俺があいつのことを何かと気にかけるのも恐らく、そのせいだろう

けど

大倶利伽羅

......あんな顔で笑うなんて...聞いてない...

気付くと俺の周りには桜がひらひらと舞っていた

こんなことで動揺するなんて俺らしくない

それに、さっきからあるこの気持ちは何なんだ

胸の奥で変な感じがして、落ち着かない

本当に...人間の体は厄介なものだ...

〜数日後〜

山姥切国広

......出陣...か...

急遽決まった部隊編成

出陣に対する苦手意識は無いが、今になると少し怖い

山姥切長義

おや、偽物くんじゃないか

山姥切国広

！！...本歌...

加州清光

(うわ〜...会っちゃったよ...どうしよう...(通りがかり))

山姥切長義

...まあ、そりゃ警戒するか...

山姥切国広

...？

山姥切長義

俺は、偽物くんにあーだこーだ言うつもりは無いよ

山姥切長義

それに、今は同じ本丸の仲間だからね

山姥切長義

出陣での成果、期待しているよ？

そう言い残し立ち去った本歌の背中を困惑しながらも眺める

どうやら、前の本丸とは違うタイプの本歌らしい

山姥切国広

え、あ...え？

加州清光

良かったじゃん。優しくしてもらえて

山姥切国広

わｯ！？

加州清光

あ、ごめんごめん。驚かせちゃった？

加州清光

俺、加州清光。この本丸の初期刀。遅くなっちゃったけどよろしくね(ﾆｺｯ)

山姥切国広

...山姥切国広だ...こちらこそ、よろしく頼む

加州清光

あ、そろそろ出陣の時間じゃん

加州清光

切国、行くよ〜

山姥切国広

...ああ...！！

拝啓折れた二振りへ

今俺は、転移先の本丸で前よりかは、幸せに暮らしてる

刀剣同士が笑い合い、審神者と一緒に暮らして、出陣も、手入れもする

今の俺はこの本丸の刀剣で、出陣も出来る

この景色を、あんたらにも見せたかった

山姥切国広

(...必ず、どこかで見ていてくれ)

そんなことを思いながら少し微笑むと、俺は五振りと一緒に

｢初めて｣の出陣をする

審神者(華)

...切国さん、来た時と随分変わられましたね

審神者(華)

あなたもそう思いませんか？大倶利伽羅

大倶利伽羅

ﾁｯ...気付かれてたか...

審神者(華)

やっぱり、切国さんが心配で？

大倶利伽羅

...まあな

審神者(華)

！？...素直に言うなんて珍しい...

大倶利伽羅

口に出てるぞ。口に

大倶利伽羅

...それに、最近、あいつを見てると変な気持ちになる

審神者(華)

変...とは？

大倶利伽羅

心の奥がざわめく様な...言葉に言い表せない気持ちだ

審神者(華)

...

大倶利伽羅

それに...気付くとあいつのことを目で追っている

審神者(華)

...知っていますか？大倶利伽羅

審神者(華)

その感情を、人間は

｢恋｣と言うんですよ

大倶利伽羅

......｢恋｣...か...

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とある審神者

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