「ブラックな兄貴」まろにき

何が起こっているのだろう

いふは冷や汗をかきながら立ち尽くした

そこら中に散りばめられた大量の資料

大量の空き缶

血まみれのベット

紙切れに殴り書きされている「死ね」

部屋のパソコンに突っ伏す悠佑

何が起こったんだ....？

眉間に皺を寄せ苦しさにもがく様な表情の兄貴

なんで気づけなかったんだろう

大切な恋人の異変になんで気づけなかったんだろう

そんな後悔が頭の中を過ぎる

何日も寝てなかったであろう兄貴の頭を優しく撫でる

苦しいのだろうか

顔を歪める兄貴

兄貴の体がいふによって持ち上げられた

軽い

軽すぎる

小さいけれど筋肉質の彼の体は痩せ細り簡単に持ち上げられる程

悠佑の部屋には食料は見当たらずモンスターの空き缶だけが散らばっている

汚れていない綺麗な部分のベットに兄貴の身を置く

悠佑の体から無数の切り傷が覗いた

カッターの刄

それが悠佑の体に確実に痕をつけていた

ふと、ベットの上に破られた何かがあることに気が付いた

......願

封筒にそう記されていた

恐る恐る中を開いてみる

....度.......を.....ました......

上の方は切れていて読めないが

悠佑も悠佑なりに決意は固めていたらしい

それも叶わなかったが

目を細めながらゆっくりと視界を捉えていく悠佑

いふの目から大粒の涙が零れた

こんな時にも他の人思いな悠佑

こんな所に

惹かれたんだ

俯いていた顔を上げ悠佑の顔を覗くいふ

兄貴が泣いていた

声は漏らさず

泪だけ流して

いふはへらっと笑う悠佑を優しく包み込んだ

その言葉に弾かれたように悠佑の瞳から涙が流れる

久しぶりに兄貴の弱い所を見た

兄貴は強がりで

かなりの照れ屋で

隠し事も多いけど

そんな兄貴が大好きだ