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佐伯 友也
都内からは少し外れた場所。
そこには【世界に出現するモンスターを討伐する職業・討伐者】になる為の試験会場があった。 今日はそれの合格発表の日だ。
佐伯 友也
俺は空に向かって呟く、そう、あの日あの時、順調だったはずの全てが崩れた。
【数年前】
佐伯 友也
佐々木 愛莉
佐伯 友也
燃え盛る炎の中、相棒の愛莉に俺は叫ぶ。
佐々木 愛莉
泣きそうな顔で、でもいつもの彼女の笑顔。 その笑顔も炎の奥でゆらり揺れていた。
佐伯 友也
確かに、愛莉の言う通りあの柱が倒れれば今いる建物は半壊し、俺も只では済まないだろう
佐伯 友也
危険度S、突然現れた最高危険度のモンスター。 それから犠牲者ひとり出さずに救い切った愛莉がなんでこんな最期を迎えないといけないんだ。
佐々木 愛莉
佐伯 友也
あの日、星が綺麗な夜に誓った約束。
【二人で最強の「タッグ《エレメント》」になる】
それは幼い日からモンスターによる災害で両親を失い、孤児センターで出会った俺と愛莉の約束、誓いだった。
佐々木 愛莉
佐伯 友也
愛莉がなんとかサイコキネシスで支えていた柱が僅かに軋む、それと同時に彼女の伸ばしていた手も下がっていく。
国内で見てもトップレベルの魔力量、技術を持っていた愛莉。
だが、最高危険度のモンスターと戦い、そこに居た人間を全員避難させる為に魔力を使い果たしていたのだ。
佐伯 友也
佐々木 愛莉
佐伯 友也
その瞬間、愛莉の手は柱を支えるのを止め、俺の方へと伸びる。
俺の身体は愛莉のサイコキネシスにより建物の外へ吹き飛んだ。
佐々木 愛莉
倒れる柱でぐしゃりと潰れる愛莉の姿。 それがその時最期に見た光景だった。
佐伯 友也
まあ当然と言えば当然だ。 法律で討伐者は2人1組タッグ、【エレメント】を組まなければならない。
相棒の愛莉が死んだ今、俺に討伐者としての未来など残っていないのだ。
佐伯 友也
どうやら討伐者試験の合否が出たらしい。 ぞろぞろと若い男女が会場から姿を見せる。
その表情は様々。笑顔の者、悔し涙を見せる者、両親と抱き合う者など。
佐伯 友也
俺と愛莉も、合格したと分かった瞬間は抱き合い喜んだ。
佐伯 友也
こうしてまた、新たな討伐者が生まれていく。 皆、かつての俺と愛莉のようにそれぞれの夢を思い描きながら。
佐伯 友也
そうして試験会場の方から目を落とし、討伐者時代の稼ぎでなんとか住めている安アパートへと帰ろうとした瞬間
佐伯 友也
俺は見つけたのだ。 かつての相棒、愛莉と瓜二つの彼女を。