そこから数日経って
あやめは結核のため
この世を去ってしまった
那月
せんせい、…
俊
……
那月
せんせい、?
俊
あ、
俊
ごめん
俊
どうしたんだい?
那月
少し体を休ませてください
那月
きっとお疲れでしょう
那月
こちら、桜餅です…。
那月
良ければ食べてください
俊
ありがとう、心配かけてすまないね
那月
いえ、私は大丈夫です
那月
では、…。
雅二郎
桜、綺麗だな、。
那月
え、
那月
あ
那月
そうだね__。
雅二郎
お前、まだ…。
那月
あやめちゃんと約束したのに
那月
どうして…。
雅二郎
那月…
雅二郎
人の死はいずれやってくるものだ
雅二郎
ただあやめは…
雅二郎
俺らより早かっただけなんだよ…。
那月
……
那月
早すぎるよ…あやめちゃん。
那月
元気にしてるかな…。
桜は
ただ
舞い降りていくだけでした。
那月
ただいま…
那月
あれ先生は…
那月
どこか行っているのかな
那月
先生?
那月
入りますよ、?
那月
やっぱりいない…
那月
?
那月
なにこれ
ボクノ イモウト
那月
!?
そこには原稿用紙と
万年筆で書かれた
綺麗な文字だけが
書かれてあった
那月
……
那月
せんせい…!
雅二郎
おい、どこいくんだよ
那月
先生のところへ
那月
行ってくるの
雅二郎
行ってくるって言ったって
雅二郎
どこにいるか分からないじゃないか
那月
探しに行くの
雅二郎
は!?
雅二郎
お前…
那月
帰りが遅くなるかもしれない…
那月
だから…!
雅二郎
お前がもし
雅二郎
道に迷って
雅二郎
帰れなくなったらどうするんだ
雅二郎
先生に迷惑かけるんじゃ…
那月
ちがう
那月
私はいいたいことがあるだけ
那月
ただひとつ。
那月
だからいく
雅二郎
……
那月
じゃあ
”行ってきます”