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夏都side
赤暇なつ
赤暇なつ
雨乃こさめ
移動教室から帰ってきた 雨乃 恋醒 を捕まえ 俺は2度目の会話をした。
もっとも恋醒の方は無言だったから 会話と言えるのかは分からない。
けれど、確かに俺の言葉に 頷いてくれたのだ。
SHRが終わっても まだ約束の時間にはならない。
赤暇なつ
赤暇なつ
時計ばかりが気になって そわそわしてしまう。
恋醒に声をかけた後授業の内容は ちっとも頭に入ってこなかったし 心臓の音が五月蝿く 鳴り響いて止まない。
赤暇なつ
... ブー、ブブー。
赤暇なつ
セットしておいたアラームが鳴り 俺は椅子から腰を浮かせた。
赤暇なつ
スマホを操作する手は 微かに震えていて アラームを止めるのもやっとだった。
赤暇なつ
目を閉じ、息を吸って、 吐いてを繰り返す。
脳裏に浮かぶのは遠巻きに見てきた 恋醒の笑顔だ。
あの笑顔が俺だけに向けられたのは これまで1回しかなかった。
勇気を出さない限りこの先も 次の機会が訪れる事は望めない。
緊張で冷え切った手で バシンッと両頬を叩く。
赤暇なつ
時計を見ると針はまもなく 5時20分を示す所だった。
少し早いが自分で呼び出しておいて 待たせる訳にはいかない。
俺は約束の場所、 恋醒のクラスを目指して歩き出す。
階段を1段降りるたび
廊下を1歩歩くたび
心臓が高鳴る。
ドアの前まで辿り着いた時には 痛いくらいになっていた。
赤暇なつ
胸に手を当て今にも 爆発しそうな心臓に語りかける。
ちらりと腕時計を確認すると 5時27分になっていた。
赤暇なつ
俺は徐に拳を握り ワイシャツの上から胸に押し当てた。
いつもは意識なんてしないのに 心臓が緊張と不安と期待と いろんな感情で煩いのが分かる。
頭だけじゃなくて 人は全身で恋をするみたいだ。
赤暇なつ
赤暇なつ
ギュッと目を瞑り 俺は自分を奮い立たせる。
最後にもう一度深呼吸をして 俺はドアへと手を伸ばした。
赤暇なつ
普段より重く感じるドアを横にひき 変わる為の1歩を踏み出した。
コメント
1件
赤水きたー!!!✨ 続き楽しみですっ!