これは少し昔にあった 物語である
赤い満月の日の夜
村はずれに住んでいる夫婦に双子の男の子が生まれた
夫婦にとって初めての子供だったのでたいそう喜んだ
しかし、問題が1つ
村にはこんな言い伝えがあった
赤い満月の日に生まれる双子は「呪いの子」である
「呪いの子」がいる村には厄災が降りかかるだろう
もし、「呪いの子」が生まれたら森の奥深くに捨てていけ
そうすれば、平和が戻る
この言い伝えを信じている村人は赤い満月の日に生まれた双子を森の奥深くに捨てていたのである
このことを知っていた夫婦は双子を守るため、
村との接触を控えた
月日はたち 双子は成長していた
……
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……
双子は外に一歩も出させてもらえなかった
村人にバレてはいけないからだ
バレたら捨てられる
この子たちの未来はなくなる
自分たちだって殺されるかもしれない
そんな中、夫婦は双子を育ててきた
たまにこんな生活に耐えきれずに
“この子たちがいなければいいのに”
“いっそのこと殺してしまおう”
殺そうと思ったこともあった
けれど、双子と一緒に過ごす時間はとても幸せであった
殺意を忘れるほど幸せだった
この時間がずっと続いて欲しかった
だが、そんな時間もそう長くはなかった
ある冬の日
村人たちは夫婦に違和感を感じた
“昔より接触が少ない”
“怪しい”
“何か隠しているのではないか”
そう思い夫婦には秘密で村はずれの家へ向かった
家についた村人たちは驚愕した
知らない子供が二人おり
その二人は瓜二つだったのだ
この二人が「呪いの子」であると気づいた村人たちは
親子を無理矢理引き離し
双子を森の奥に捨てた
……
……
……
……
……
……
……
……
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……
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……
……
そうして双子は森をさまよい始めた
何とかなる、大丈夫
そう思ってるはずだった
けど、どんだけ歩いても暗い森は続いていた
……
……
……
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ポツポツ
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……
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……
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……
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……
……
……
……
洞窟
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……
……
ガダッ
……
……
……
二人は音の鳴った方を向いた
そこには二匹の大きなオオカミがいた
奥には子供のオオカミがいる
この洞窟はオオカミの親子のすみかだったのだ
狼
……
……
狼
狼
……
……
……
……
……
狼
……
……
狼
……
その後、洞窟には悲痛な声が響き渡った
双子は腹や足などを噛まれたが何とか洞窟を抜け出した
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
そうして片割れを背負い
雨が降る中、また暗い森をさまよい始めた
いつしか今まで降っていた雨がやみ、冷たい雪にかわっていった
地面も白く覆われていった
足にしもやけができ、雪には血がにじんでいた
……
……
……
……
そう思った瞬間だった
目の端に何かが写った
何かと思い見てみると
すこし大きな祠があった
……
……
そして最後の力を振り絞り祠の方へと向かった
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
死を覚悟した瞬間、何かが目の前に現れた
それは大きな“ケモノ”だった
“ケモノ”は全く得体の知れないものだった
白い姿に大きな尻尾が九つ
瞳にはまるで吸い込まれそうな赤色が宿っていた
先ほどのオオカミよりもはるかに大きい
……
……
……
ケモノ
……
ケモノ
……
……
ケモノ
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
ケモノ
ケモノ
……
ケモノ
ケモノ
ケモノ
ケモノ
ケモノ
“ケモノ”はそう言い残し、白い雪の中へ消えていった
しばらくしてもう一人の方も静かに眠りについた
その後、力を持ち生まれ変わった
しかし、そいつはどこの誰で今は何をしているかを知っている人は
誰もいなかった
コメント
10件
新しい作品待ってました!! 最初読んだだけでも面白そうです!続き待ってます!
めっちゃ面白い‼️楽しみなんだけど!双子…宮兄弟?なのか?わからんけど続きがめっちゃ気になる!待ってる!