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一番星のキミに恋するほどに切なくて

第1話 - 一番星のキミに恋するほどに切なくて

286

2023年06月06日

#SnowMan

#だてあべ

ぴな

亮平

｢……ん……｣

亮平

目を覚ますと、見慣れた天井が視界いっ
ぱいに広がった。

亮平

｢ここは……｣

亮平

僕、涼太さんの家に帰ってきたんだ…。
じゃあここまで涼太さんが運んでくれ
た？

涼太

｢目……覚めたか……？｣

亮平

すぐ隣から聞こえた声に、僕はうなずく

亮平

｢うん……｣

亮平

横を向けば、涼太さんが心配そうに僕を
見つめていた。
ずっと寄りそってくれたんだね……。
ふと｢なんで来てくれなかったの!!｣と
涼太さんを責めたことを思い出す。
僕……気を失う前、涼太さんにひどい
ことを言った。
涼太さんは助けてくれたのに……。

亮平

｢……涼太さん……ごめんなさい。｣

亮平

｢ひどいこと言って……｣

亮平

そう言う僕を、涼太さんは抱きしめた。
涼太さん……涼太さん、あったかいや…

涼太

｢俺が……守れなかったのが悪い……。｣

涼太

｢怖い思いをさせて悪かったったな…。｣

亮平

ひどく悲しい声で謝る涼太さんの声が、
胸を締め付ける。
なんだか涼太さんが泣いているような気
がした。

亮平

｢……涼太さん……。僕、汚いよね。
お風呂……入ってくる｣

亮平

あの男の人に触れられたところが気持ち
悪い。
すべて洗い流したかった。
汚い……。
このままの姿で、涼太さんには近づけない

涼太

｢亮平、お前は綺麗だ。汚れてなんかな
いし、俺が消してやる｣

亮平

そう言って涼太さんは、横になっている
僕を押し倒すような格好で見おろした。

亮平

｢涼太……さっ……｣

亮平

驚きながら、涼太さんを見あげる。
でも……涼太さんを見た瞬間、何も考え
られなくなった。
涼太さんは綺麗で、それでいて猛獣の
ような熱を宿した瞳で僕を見ている。

涼太

｢これ……クソッ!!｣

亮平

涼太さんが僕の首筋を見て顔をしかめた
……あの男の人に舐められたところだ。
思い出すと気持ち悪くなってくる。

涼太

｢アイツ!! 俺が1番大事にしてるモンに
手を出しやがった｣

亮平

低く怒りを表した声でそうつぶやき、
僕の首筋に荒々しく口づけた。

亮平

｢涼太さっ!?｣

亮平

荒々しいのに、男の人とはちがう。
触れられて、うれしいとさえ思う。
涼太さんに触れられるたびに、冷たく
なった体が温かくなっていく。

涼太

｢……さわられた……だけか？｣

亮平

涼太さんの問いに無言でうなずく。
涼太さんの吐息(といき)が肌に触れてい
るのがはずかしい。

涼太

｢…こんなやり方でしか……お前を
なぐさめてやれない｣

亮平

涼太さんは切なそうに僕に口づける。

亮平

｢んっ……り、涼太さんっ……？｣

亮平

嘘、えっ……どうして!?
頭の中がパニック状態で、涼太さんの
顔を驚きながら見つめる。

涼太

｢悪い、俺はもう……｣

亮平

涼太さんは僕の首筋に顔を埋(うず)めた
まま、つぶやく。

涼太

｢もう、お前を彼女としてみてる……｣

亮平

｢え……？｣

亮平

涼太さんの言葉に耳を疑った。
涼太さん、僕のこと……彼女って……。
いつもガキとか、子供扱いしかしてくれ
なかったのに……？
しかも男同士だよ？

涼太

｢亮平、お前が好きだ｣

亮平

今度は顔をあげて、僕の目を見てそう
言った。
そして、優しく頬をなでられる。

涼太

｢たぶん、お前とはじめて会ったあの日
から……俺はお前を……好きになって
たかもしれない｣

亮平

涼太さんが……僕を……。
信じられない……これは夢？
そんな、切なそうに見ないでほしい。
僕まで胸が苦しくなる。

涼太

｢亮平、俺を拒(こば)むな。
……好きって……言ってくれ……｣

亮平

そう言って近づく唇に、僕は目をつぶる
拒否なんて、できるわけない。
だって、僕も……。

亮平

｢僕も…好き……｣

涼太

｢っ!! ……好きだ……亮平｣

亮平

そしてふたたび重ねられる唇に、僕は
泣いた。
好きな人ができた。
そして、その人……涼太さんも、僕の事
を好きだと言ってくれた……。
こんなに満たされてるのに……。
幸せなのに……。
なのに僕は、無責任にももうすぐ消えて
しまう。
僕は、してはいけない恋をしてしまったのだと思った。
でももう、止められないほどに、涼太さん
が好き。
もう、その温もりを拒絶する事はできない

僕がいなくなったら、きっと……ううん、
絶対に涼太を傷つける。
それでも……僕は涼太さんのそばで、この
幸せに浸っていたい。

涼太さんの唇がくれるぬくもりを受け入れ
、僕はそっと瞳を閉じた。