澤部 美月
せっ、先輩っ……!私と、その、つ、付き合ってくださいっ……!!
小阿野 大和
うん。いいよ
澤部 美月
やっぱダメですよね、ってえ!?いいんですか!?
小阿野 大和
うん。今日一緒に帰る?
澤部 美月
はっ、はいっ……お願いします!
夕日が、真っ赤な私の顔を余計に赤くした
澤部 美月
(……なんてことも、あったなぁ)
女生徒
ねぇねぇ聞いた?小阿野先輩、桜雅先輩と付き合ってるらしいよ!
澤部 美月
(付き合ってんの私なんだけど)
女生徒
え、まじー?うそーん。私小阿野先輩好きだったのにぃ……げんめつ
澤部 美月
(……あんな人、)
四宮 紬
あんな人、幻滅して正解だと思う。でしょ?
澤部 美月
うわっ!?つっ、紬っ!
四宮 紬
ふふっ、当たり?
澤部 美月
……まあね
四宮 紬
いつ振るの?小阿野先輩
澤部 美月
直球ね……
四宮 紬
だって今日振るって昨日の帰り道言ってたじゃん
澤部 美月
……放課後、告ったとこと同じとこで振る
四宮 紬
ふーん、なんか切ないね
澤部 美月
なにがよ
四宮 紬
わかんない。あ、3時間目始まる。またね
澤部 美月
……うん
きっと、小阿野先輩は優しいから、笑っていいよって、言うんだ
四宮 紬
美月ー?美月、放課後だよ
澤部 美月
ふぁっ!?んぅ……6時間目寝てたからわかんなかった……
四宮 紬
寝るなよ。そんなんだから内心だだ下がりなんだぞー
澤部 美月
んー
四宮 紬
ほら、振りに行くんでしょ。早く立って。小阿野先輩待たせてるんだから
澤部 美月
あんな人少しくらい待たせといてもバチは当たんないわよ……
四宮 紬
はいはい。ほら、早く関係断ち切らないと
澤部 美月
んー
その後10分くらいして紬が小阿野先輩と付き合ってんのみんなにバラすよなんてことをほざいたので一瞬で起きた
紬は校門前で待ってるって言ってた。理由は私を慰めるためらしい。ふざけんな←
そう思いながら私は、ポケットから血みたいな色の口紅を出す
澤部 美月
これ、似合うって言われたけど、絶対似合わない
澤部 美月
(小阿野先輩からの贈り物で、全く使わないつもりだったけど結構高そうだしもったいないから)
澤部 美月
……1回くらい使って返すか
そう言って口紅を塗る
童顔の私が塗ると唇噛みすぎて血出てる子供にしか見えなかった←
澤部 美月
あれ、なんか、水、が
ダメじゃん私、ここで泣いたら私の負けじゃん
あいつなんかに泣かせられてたまるか。私が捨ててやるんだ
そこに着くと、もう小阿野先輩はいた
澤部 美月
……遅れてすみません。先輩
小阿野 大和
うん。いいよ。大丈夫
澤部 美月
(そうやって)
澤部 美月
(そうやって、私以外の女の人にも接したんですね)
私は目から溢れそうになる水をグッと堪えて
澤部 美月
私と、別れてくれませんか先輩
ちょっと早口になっちゃったかな、なんて
ほら、先輩はまた笑っていいよって、言うんでしょう───?