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語り部

灼熱の砂漠の国にムジャーヒドと言う名の剣士がおりました。ムジャーヒドとは、聖戦を意味するジハードで、戦闘に身を捧げる者と言う意味であり、彼は非常に腕が立ち右に出る者はおらず、百年に一度の天才と謳われておった。

語り部

ムジャーヒドは子供の頃から強かったが、過去に一度だけ手合わせして、負けた事があった。それがランプの魔神である。いつか必ずランプの魔神に勝つ事を心に決めて、ランプの魔神を探して旅立ったのである。

それじゃモジャ、いってらっしゃい!お腹が空いたら帰ってくるのよ?

ムジャーヒド

かぁちゃん、オレ様は今日から旅に出るんだ!しばらく帰ってこねぇから、今晩はオレ様の飯の支度はしなくていいからな?

はいはい、わかりました。いつ帰って来ても良いように毎日モジャの分もご飯を用意して、待ってるわね?

ムジャーヒド

だから!オレ様は今日で16歳なんだって…。15歳までは子供扱いされても我慢してたけど、16歳からは大人の仲間入りだから、子供扱いすんなよ?嫌んなるぜ…

そう言えば今日はモジャの誕生日だったわ!うっかりしてた…。モジャの大好物たくさん作っておくわね?

ムジャーヒド

モジャって呼ぶのもやめてくれ!なんか弱そうだから、恥ずかしいんだよ?ムジャーヒドはジハード戦士って意味の名前だから気に入ってる。

お母さんの生まれ故郷だと訛ってるから、ムジャーヒドはモジャーヘドって読むのよ?だから愛称はモジャ!可愛いでしょ〜

ムジャーヒド

はぁ…、もうかぁちゃんはほっといてさっさと出かけよう。何、言っても無駄だからな!

ラーニヤ

……………………

語り部

ムジャーヒドが出かけるのを物陰から覗いている者がいました。こっそり跡を尾けています。ムジャーヒドは用を足す為にズボンを下ろすと、小便を勢い良く飛ばしていました。

ラーニヤ

父の仇!ムジャーヒド!!覚悟!?

語り部

その時、何者かが背後から襲い掛かって来たのです。ズボンを下ろしたままで、ムジャーヒドは背中の大剣を引き抜いて、軽くいなしました。

ラーニヤ

な、な、な、ズボンを履いてから反撃しろ!バカ!!そんな汚いもん、見せてくんな!?

ムジャーヒド

お前が襲ってくんのが悪いんだろ?

ラーニヤ

隙だらけだったから行ける!と思ってたのに…。やはり天才剣士と呼ばれただけの事はあるな?隙がない…

ムジャーヒド

お前も結構、良い太刀筋だったぞ?修行すれば強くなるかもな!て言うか仇って、オレ様はお前のとぉちゃんから恨まれる覚えなんてねぇぞ…

ラーニヤ

私の父は師範だったが、お前に負けたせいで、門下生が一気に辞めた。父は飲んだくれて死んでしまった…

ムジャーヒド

酒飲み過ぎたら早死にするから、あまり飲み過ぎない方が良いって、止めてやりゃ良かったんじゃねぇか?

ラーニヤ

うるさい、うるさい、うるさい!父が死んだのはお前が全部悪いんだ!?責任を取れ!!

ムジャーヒド

よくわかんねぇけど、お前の方がうるさいから、あっち行ってくんねぇかな?とぉちゃんが死んだのは可哀想だと思うけど…

ラーニヤ

お前に勝って私が父の跡を継ぎ、門下生たちを引き戻す!お前に勝たなきゃならない!って母が言ってた…

ムジャーヒド

まあオレ様もかぁちゃんには逆らえないから、お前の気持ちはわかるけど負けるわけにはいかねぇんだわ!

ラーニヤ

それなら一緒に旅をさせてくれ!お前の強さの秘訣を探る為にな…。それなら良いだろ?

ムジャーヒド

ん?一緒に来たいのか〜。強くなりたいって言うんなら別に構わねぇ!

ラーニヤ

私の名はラーニヤ。見つめる者と言う意味の名だ。どんな時でも、お前を見つめ続けるから覚悟しておけ!

ムジャーヒド

わかった、ラーニヤ!女みてぇな名前だけど男なのか?まあ、いいや。

語り部

ムジャーヒドはズボンを履いてから、ラーニヤと親愛の握手を交わす。

ラーニヤ

お前、今…手を洗わずに私の手を握ったな?汚いから、そこの河で洗って来い!こんな奴に父が負けたなんて思いたくない…

語り部

こうしてムジャーヒドと旅に出たラーニヤだったが、ラーニヤが男の服を着ていたので、ムジャーヒドはラーニヤが男だと思い込んでいた。剣士を目指すのは、ほとんどが男なので女のわけがないと思っておった。

ムジャーヒド

ったく!かぁちゃんみたいにうるせぇ奴だなぁ。剣の腕はそこそこ立つから、手合わせの相手には持って来いだけど、まあ暇つぶしにはちょうどいいから、仲間にしておくかぁ。

ラーニヤ

ちゃんと綺麗に洗ったか?飯の支度をしておいた。これから一緒に旅をするんだから、これくらいの事はしてやる。感謝しろ!さっき仕留めた鳥の肉を焼いた。

ムジャーヒド

おお!気が利くなぁ。感謝するぞ?この肉、うめぇ〜

ラーニヤ

秘伝のタレで味付けしたからな!この水筒の中に秘伝のタレを入れて持ち歩いているのだ。鳥の肉を美味しくする配合だぞ?

ムジャーヒド

お前、剣士より料理人を目指した方が良くねぇか?かぁちゃんの料理よりうめぇんだが…

ラーニヤ

そ、そんなに褒められると照れるではないか!本当は料理人になりたかったが、父が死んで…母が無理やり…後継者に私を…

ムジャーヒド

そっかぁ。かぁちゃんって人の話、聞かねぇもんなぁ。オレ様も苦労したぜ?少しはこっちの話も聞けっつーの!親はどこも同じなんだなぁ。

ラーニヤ

わ、わかってくれるのか?お前…結構、いい奴なのかもしれないな…。いや!お前は父の仇だ!!こんな事で心を開くと思うな?騙されんぞ…

ムジャーヒド

そろそろ寝る場所を探すか?荷物の中にテントがあるから、組み立てるの手伝ってくれ!

語り部

ムジャーヒドとラーニヤはテントを組み立てて中で一緒に横になった。

ラーニヤ

ど、どこを触っている?この変態!

ムジャーヒド

ん?お前、なんか柔らけぇな!かぁちゃんみたいな触り心地なんだが…

ラーニヤ

わ、私は女だ!それ以上、私の胸を揉むんじゃない?

ムジャーヒド

えっ、お前…女なのに剣士になるのか?てっきり女みたいな男かと思ってたんだけど本当に女だったとは…

ラーニヤ

女が剣士を目指して何が悪い!女だからって手加減はするなよ?私に負けた時に手加減したと言い訳されても困るからな!!

ムジャーヒド

女だからって手加減はしねぇけど…

ラーニヤ

なんだ?その目は…。さっきまでと明らかに違うぞ!

語り部

ムジャーヒドは母から言われた事を思い出していた。

良い?モジャ。男の子は女の子の胸を揉んだりしたらダメよ!もし揉んでしまったら…責任取ってお嫁さんにもらいなさい?

語り部

ムジャーヒドは悩んだ。まだ嫁をもらう気はないのに、うっかり間違えて胸を揉んでしまったからである。

ムジャーヒド

どうしたらいいんだ!このうるさい女を嫁にもらうなんて、オレ様は絶対に嫌だぞ?でもかぁちゃんの言い付けは守らないと、飯抜きにされるからな。いや、この女がいれば飯は作ってくれるし…

ラーニヤ

何をぶつぶつ言っている?隙があればお前を倒すからな!覚えておけ…

語り部

その晩、寝ている時もラーニヤはムジャーヒドに襲い掛かったが、枕元に置いてあった護身用短剣で軽くあしらわれてしまった。殺気があれば、すぐに目を覚まして反撃される。

ラーニヤ

ぐぬぬ…強い!どうすれば奴を倒せるのか?隙だらけなのに勝てない…

語り部

オアシスの近くにある大きな街に着くと露店商がたくさんあった。ムジャーヒドは金物屋でランプを探す。

ムジャーヒド

う〜ん、これも違う…。あれも違う…。見つからん!

ラーニヤ

さっきから、何を探しているんだ?

ムジャーヒド

魔法のランプだよ?魔神が出て来て願いを叶えてくれると言うあれさ!

ラーニヤ

そんな子供騙しな御伽話を信じているとは…。願い事を3つ叶えてくれるとか言う話を子供の頃に聞いた。

ムジャーヒド

本当にあるんだ!ガキの頃に魔神に会った事がある。

ラーニヤ

願い事は何をしたんだ?3つまで叶えてくれるはずだが、御伽話では確か金銀財宝と、空飛ぶ魔法の絨毯と、お姫様を嫁にもらっていたはず…

ムジャーヒド

金銀財宝はいらねぇし、空飛ぶ絨毯もいらん。お姫様もいらねぇ!オレ様が願ったのは魔神に手合わせして欲しいって事さ?

ラーニヤ

そんなくだらない事を願ったのか…

ムジャーヒド

くだらなくねぇよ!しかもめちゃくちゃ強くて勝てなくてさ。だから最後の願い事は、オレ様が大人になって強くなったら、もう一度手合わせしてくれってな?

ラーニヤ

二つも願い事を無駄遣いするとは…

ムジャーヒド

そう言うお前はランプの魔神にどんな事を願うんだ?

ラーニヤ

私か?まず一つ目は金銀財宝だな。それでレストランを開業する。二つ目は魔法の絨毯だ。料理の配達が出来るからな。三つ目は…別に王子様はいらんが…どうするべきか悩む…

ムジャーヒド

オレ様も最後の願い事は相当悩んだよ?でもやっぱりもう一度手合わせしたくてさ!あんな強い奴、初めて会ったから、また会いたいんだよ?

ラーニヤ

その願い事がもし叶うとすれば、お前がわざわざ探さなくても、ランプの魔神の方から会いに来るのではないか?最後の願い事を叶える為に…

ムジャーヒド

そう思って待ってたんだけど、なかなかこねぇから自分で探そうと思って旅に出たんだ。

ラーニヤ

そう言えば二つ目の願い事は何を願ったんだ?手合わせしたいと言うのは一つ目と三つ目の願い事だろう?二つ目の願い事を聞いていないが…

ムジャーヒド

何だっけ?忘れちまった…。ガキの頃の話だからなぁ。かぁちゃんなら多分そばで魔神を見てたし、覚えてるかもしれねぇ。

ラーニヤ

お前の母親はその魔神を見たのか?

ムジャーヒド

多分、一緒に見てたと思う。ガキだったから、あまりよく覚えてない…

ラーニヤ

ふ〜ん、それならお前の母親に聞けばわかるんじゃないか?ランプの魔神の手掛かりが…

ムジャーヒド

そう言われてみればそうだな…。かぁちゃんに魔神の手掛かりを聞く為に戻るとするか!

語り部

こうして二人は元来た道を戻って最初の小さな集落に帰って来ました。

ムジャーヒド

かぁちゃん、帰ったぞ?ただいま!

ふふ、やっぱりすぐに帰って来たわね。あら?女の子のお友達も一緒なの…。モジャが女の子連れてくるなんて初めてだわ!

語り部

家に入るとムジャーヒドは、今までの経緯を掻い摘んで母に説明した。

そう、ラーニヤちゃんは料理が上手くてお嫁さんに向いてるって事ね?

ムジャーヒド

相変わらず、人の話を全然、聞いてねぇな…。どこをどう解釈したら、そうなるんだよ!

あら?鳥の肉を秘伝のタレで焼いてくれて私の料理より美味しかったと言ったじゃない!

ムジャーヒド

そこは重要じゃないから忘れてくれても良いのだが…

そこかなり重要だと思うのだけど?

ラーニヤ

お母様、魔法のランプはどこにあるかわかりますか?

魔法のランプ?そう言えばモジャが子供の頃にそんなものを買って来てたわねぇ。中から素敵な魔神さんが出て来て、ビックリしちゃったわ!

ラーニヤ

やはり本当だったのか…。ムジャーヒドがホラを吹いてるのかと思っていたのだが、御伽話の魔法のランプが実在したなんて、信じられない!

魔神さん、本当に良い人だったからまた会いたいわねぇ。モジャと約束してるから、いつか必ず手合わせにくるって言ってたと思うけど、いつになるのかしら?

ムジャーヒド

それがわかんねぇから、かぁちゃんに聞きに来たのに、結局、振り出しに戻っただけか…

ラーニヤ

魔法のランプが実在したのが、わかっただけでも収穫はあったと思う。

ムジャーヒド

お前はオレ様の話は信じないけど、かぁちゃんの話は信じるのか?なんか腑に落ちんな…

語り部

その時、ドアをノックする音がしたので母が、ドアを開けに立ちます。

はいはい、どちら様ですか?今、開けますから、ちょっと待っててね〜

魔神

お久しぶりです。最後の願い事を叶える為にムジャーヒドに会いに来たのですが、覚えておられますかね?

あらあら、魔神さん!ちょうど今、あなたの話をしてたところなのよ〜

ムジャーヒド

おお!ちょうど噂をしてたら、魔神じゃねぇか?久しぶりだなぁ。あれから魔界に帰って元気にしてたか?

魔神

ああ、お主が魔法のランプの呪いを解いてくれたから、我は自由になれた。お主には本当に感謝している。

ラーニヤ

ほ、本物の魔神…と言うか、魔法のランプの呪いを解いたってどう言う事なの?説明して、ムジャーヒド!

ムジャーヒド

なんか3つの願い事を333人から聞くまで呪いが解けないって言っててさ、オレ様がその333人目だった。

魔神

333人目が999個目の願い事をしてくれたら我はランプの呪いが解けるのだが、ムジャーヒドは願い事がないと言うのでな…

ラーニヤ

それで願い事を無駄遣いしたのか…

ムジャーヒド

無駄遣いはしてねぇよ?魔神、約束通り手合わせしようぜ。表に出ろ!

ラーニヤ

ちょっと待て!まだ聞きたい事が…

魔神

聞きたい事は何ですか?お嬢さん。

ラーニヤ

三つの願い事は同じ願い事は出来ないはずだ。他の二つの願い事は何を願ったのか教えてくれ?気になる…

魔神

その通りです。一つ目は手合わせして欲しい。二つ目は空を飛びたい。そして三つ目は友達になってくれ、と言われました。

ラーニヤ

三つとも全部くだらない。二つ目はマシだが、本人は忘れていたがな…

魔神

だから今日は友達に会いに来たのです。手合わせするのは友達だから。

語り部

手合わせする為、砂漠の荒野に出ました。空は青く澄み渡っています。

ムジャーヒド

手合わせが終わったら、ラーニヤを魔法の絨毯に乗せてやってくれ。なんか魔法の絨毯に乗りたがってて。

ラーニヤ

私はそんな事は頼んでいないが…。まあ良いか。手合わせは見学させてもらうとしよう。

語り部

魔神とムジャーヒドの闘いは一進一退の攻防が続き、剣は火花を散らしていました。両者、一歩も譲りません。魔神とムジャーヒドの強さにラーニヤは圧倒されてしまいます。とても自分は勝てそうにありません。

ラーニヤ

次元が違う…。今までムジャーヒドは本気を出していなかったのか?それにあの魔神の強さは尋常ではない。流石、魔界からやって来た魔神と言ったところだろうか…。この世の者とは思えない強さだが、一歩も引けを取らないムジャーヒドも強い…

みんな〜!ご飯できたわよ〜?冷めないうちに食べましょう。早く家に帰って来なさい。

語り部

決着がつかないまま、手合わせは終了。飯が終わると約束通り、魔神は指をパチンと鳴らし、煙と共に魔法の絨毯が現れた。

魔神

さあ、二人とも魔法の絨毯に乗ってください。空を飛んで遊びましょうか?落ちないようにしっかりと掴まってくださいね!

語り部

ムジャーヒドとラーニヤが魔法の絨毯の上に乗り込むと、魔神はまたパチンと指を鳴らした。ふわりと宙に浮かび上がる。ぐんぐん上昇して、家が小さく見える。ムジャーヒドの様子がおかしい。

魔神

やはりムジャーヒドは高所恐怖症が治ってなかったようですな。以前も怖がってましたが、大丈夫ですか?

ムジャーヒド

べ、べ、べ、別に怖がってなんか…

ラーニヤ

嘘をつけ!震えてるぞ?お前にこんな弱点があったとはな…。意外だ…

ムジャーヒド

こ、怖くなんかない!怖くない…。怖い…。もう降りたい…。ガクガク…、ブルブル…。もう地面に降ろしてくれ…。魔神…

ラーニヤ

ハハハ!ムジャーヒド、お前に勝てる時が来たようだな…。覚悟しろ?

語り部

ラーニヤが剣を構えて立ち上がると突風で揺れて真っ逆さまに落ちる。ムジャーヒドは慌てて手を掴んだ。

ムジャーヒド

手を離すなよ?落ちたら…死ぬぞ!

ラーニヤ

お前、高所恐怖症だったんじゃなかったのか?なんで平気な顔で手を伸ばしているんだ…

ムジャーヒド

今はそんな事、言ってる場合じゃねぇだろ!お前が死んだら、天国のとぉちゃんが哀しむだろ?離すなよ…

語り部

魔神は揺れないようにゆっくりと地面に魔法の絨毯を着地させました。

魔神

二人とも無事で良かった…。言い忘れてましたが、空を飛んでる時に立ち上がると危険ですので、次からは気を付けてくださいね?お嬢さん。

ラーニヤ

私にはムジャーヒドに勝つ事は出来ないと悟ったよ。どんな状況にいても奴は冷静さを失わず、敵に情けをかける余裕さえある。私の完敗だ…

魔神

彼ほど純粋な男を我は他に見た事がない。金銀財宝も地位も名誉も美しい女もいらないと彼は言った。最後の願い事をしてもらえなくて、本当に困ったが、それでも我の為に最後の願い事をしてくれた彼の優しさ…

ラーニヤ

私もこんな強くて優しくて良い奴に会った事が今まで一度もない。何度も命を狙っていた私を助けようとするなんてお人好しにもほどがある。

ムジャーヒド

責任は取らないとダメだからな…。お前は一生守らないと、かぁちゃんに怒られるから…

魔神

ふむ、よくわからぬが、お主にとってこのお嬢さんがとても大事な存在なのはわかった。

ムジャーヒド

まあ、男だと勘違いして触っちまっただけだから不可抗力なんだけど、かぁちゃんが知ったらどやされる…

魔神

母上殿には頭が上がらないのは、以前と変わらないようですな。しかし手合わせをしてわかったが、前よりも一段と剣の腕は強くなっている。

ムジャーヒド

ハハハ!かなり修行積んだからな?

魔神

お主はこれからもっと強くなるであろう。また会えるのを楽しみにしてる。さらば友よ!

語り部

魔神は煙のように消えていなくなりました。ムジャーヒドは空に向かって手を振ります。

ムジャーヒド

魔神!また遊びに来いよ?腕磨いて待ってるからな〜

魔神さん、もう帰っちゃったの?ご飯、魔神さんの分も作ってたのに…

ムジャーヒド

どうせいつも余分に作って近所の奴に配ってんだろ?

ええ、モジャの誕生日にも奮発してご馳走を作ったのだけど、モジャが帰ってこないから近所の皆さんにお裾分けしたのよ?

ムジャーヒド

だから…、帰らないって言ったのに、聞いてねぇし!

ラーニヤ

うちの母よりも人の話を聞いてない母親だな。ムジャーヒドが苦労しているのがわかる…

ムジャーヒド

わかってくれんのはお前だけだ、ラーニヤ。近所の奴らはみんなかぁちゃんが可哀想とか言ってくるから、うんざりしてる…

ラーニヤ

私は何度も料理人になりたいと言ってるのに剣士になれと言われてうんざりしてたが、周りは私の味方をしてくれたからまだお前よりマシだ…

ムジャーヒド

そう言えばお前のかぁちゃんにも会いに行かねぇと…

ラーニヤ

ん?私の母に何か用でもあるのか…

ムジャーヒド

色々と言わなきゃならねぇ事があるからな…。とぉちゃんは死んじまっていないんだろ?

ラーニヤ

ああ、今は母一人だけで生活してるから、たまには帰ってやらんとな…

ムジャーヒド

それじゃまた旅に出るとするか?かぁちゃんと一緒にいると疲れるし…

語り部

ムジャーヒドは母を残してラーニヤの故郷へ向かう。

ラーニヤ

そう言えばお前の父はどうなった?

ムジャーヒド

聖戦で死んだ。名誉の戦死だから、金は結構もらったみたいだけどな。

ラーニヤ

私の父より悲惨な最期じゃないか?

ムジャーヒド

そうか?急性アルコール中毒で死ぬよりカッコいいと思うが…。オレ様も死ぬなら戦死したいと思ってる。

ラーニヤ

お前なんかの妻になったら、大変そうだ。絶対に嫁に行きたくないぞ?

ムジャーヒド

オレ様もお前なんか嫁にもらいたくないんだ!はぁ…

語り部

ラーニヤの家に着く。気難しそうな顔の女が出て来た。ムジャーヒドを見ると更に顔を顰めて皺が増える。

こ、こいつは…!夫を死に追いやった憎き、ムジャーヒドじゃないか?

ムジャーヒド

それオレ様のせいじゃないし、逆恨みすんのは辞めてくれ…。娘の気持ちも考えろや!料理人になりたがってんだから、剣士にはさせんなよ?

お前のせいで門下生がみんないなくなって、夫は酒を飲み過ぎて死んでしまった…。どうしてくれるんだ!

ムジャーヒド

オレ様が代わりに後継者になる!それで文句ねぇだろ?娘は嫁にする。

何をふざけた事を…ラーニヤ!こんな男と仲良くするんじゃないわよ?

ラーニヤ

すまない…何がどうなってるのか私にも理解できない。どう言う事だ?

ムジャーヒド

胸を揉んじまったから責任取らないと、かぁちゃんにどやされんだよ!

む、胸を揉んだですって?あなたたち、もうそんな深い仲の関係だったの…。不純だわ!

ラーニヤ

お母さん、誤解しないで…。そんな仲じゃないから!

ムジャーヒド

とにかく嫁にもらわねぇと、うちのかぁちゃんが許さないから嫁にもらいに来たんだよ?

ラーニヤ

そんな話は聞いてない。一体、お前はいつ母親とそんな話をしていた?

ムジャーヒド

ガキの頃だよ?胸を揉んだら責任取って嫁にもらえってな。不可抗力だが仕方あるまい…

ラーニヤはどうなの?こんな男と結婚したくないわよね…。そうに決まってるわ!あなたがハッキリしないからこんな事に…

ラーニヤ

私は…嫁になるのは嫌だが、ムジャーヒドは剣士として尊敬している。父を倒した男だ。

ムジャーヒド

オレ様だってこんなうるさい女は嫁にしたくねぇんだ!でも揉んじまったもんは仕方ないから責任は取る…

ラーニヤ

お母さん、ムジャーヒドが師範になれば門下生は戻って来る!それで良いではないか?私は料理人になる…

ああ、どうしてこんな事に…。天国であの人はどう思ってるのかしら?

ムジャーヒド

娘の幸せを願ってるはずだ!料理人になるのが、ラーニヤの幸せだよ?

語り部

ムジャーヒドの話はこれにて終了。今回は趣向を変えてギャグにしてみましたが、受けてないので反省中…

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