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ねこねこにゃんこ
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#〔インターネット少年/少女〕
狸野 ゆゆせ
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夜の部屋は、静かすぎた。 朝比奈ひかりはベッドの上で膝を抱えたまま、手の中のスマートフォンを見つめていた。 画面には、月城レイとのトーク画面が開かれている。 最後のメッセージは、さっき自分が送ったものだった。
朝比奈ひかり:今日はありがと。ちょっと嬉しかった
送ったあと、少しだけ後悔した。 “ちょっと”って何だろう。 “嬉しかった”って、なんだか変に重くないだろうか。 レイは、これをどう思ったのだろう。 そんなことを考え始めたら、もう止まらなかった。 既読は、思ったより早くついた。 でも、返事はまだ来ていない。 ひかりはスマートフォンを持ったまま、そっと息を吐いた。
朝比奈 ひかり
声に出してみると、余計に胸の奥がざわつく。
レイが、少しだけ独占欲を見せた日。 「気になるってだけ」と言っていたのに、あの声は確かに少しだけ違っていた。 ひかりが他の人と話しているのを見て、ほんの少しだけ落ち着かなくなっていた。 あれを思い出すたび、胸の中がむずむずする。 気にしてくれている。 それは、嬉しかった。 すごく。
でも、その嬉しさがどうしてこんなに大きいのか、ひかりはまだうまく言葉にできなかった。
朝比奈 ひかり
ひかりは、スマホの画面を見つめたまま呟く。 名前を口にするだけで、少しだけ胸が熱くなる。 こんなの、前からあっただろうか。 いや、あったはずだ。 だって、ずっと同期で、仲がよくて、配信でもオフでもたくさん話してきた。 最初から息が合って、気まずくなることなんて少なかった。 でも今は、違う。 “ただの同期”という言葉を、少しだけ遠く感じる。 スマートフォンが震えた。 ひかりは、思わず手元を見た。
月城レイ:ひかり、まだ起きてる?
朝比奈 ひかり
心臓が、ひとつ跳ねた。 たったそれだけの通知なのに、どうしてこんなに嬉しいのだろう。 ひかりは一度深呼吸してから、返事を打つ。
朝比奈ひかり:起きてるよ。どうしたの?
すぐに既読がつく。 少しだけ間があって、返事が来た。
月城レイ:いや、別に。今日のこと、ちょっと気になっただけ
朝比奈 ひかり
ひかりは、その文字を見つめたまま、少しだけ考え込む。 あのやり取りのことだろうか。 それとも、今日の配信でのことだろうか。 ひかりが他の人と話していたのを、レイが気にしていたことだろうか。 分からない。 けれど、気になっただけ――その言い方が、ひかりには妙にやさしく聞こえた。
朝比奈ひかり:私も気になってた
送ってから、すぐに補足を入れる。
朝比奈ひかり:レイのこと
送信。 その瞬間、ひかりはスマートフォンを持つ手に力を入れた。 ……何を送っているんだろう。 でも、送ってしまったものはもう戻せない。 数秒後、画面が動く。
月城レイ:は?
朝比奈 ひかり
ひかりは、思わず身を起こした。 え、今のは、なに? 怒ってる? それとも、驚いてる? 慌ててメッセージを打つ。
朝比奈ひかり:え、違う! 変な意味じゃなくて! 朝比奈ひかり:その、今日のこと思い出してたら、レイの言葉とかずっと気になってて……
送ったあとで、ひかりはまた顔を赤くした。 気になってた。 ずっと。 そう、気になっていた。 何が、とはうまく言えない。 でも、レイのことを考えない日は、最近ほとんどなかった。
月城レイ:……そうか
返事は短かった。 それだけなのに、ひかりは少しだけ息を止める。
朝比奈ひかり:変かな
すぐに返事は来ない。 ひかりは、スマートフォンを胸元に抱えた。 ……変かもしれない。 いや、変じゃないかもしれない。 でも、こんなふうにレイのことばかり考えてしまうのは、さすがに少しおかしい気がする。 自分で自分をそう思った瞬間、ふと胸の中に小さな言葉が落ちてきた。 ――好き、なのかも。 ひかりは目を瞬かせた。
朝比奈 ひかり
今、なんて思った? 好き。 レイを。 ……それって。 ひかりは、スマートフォンを握る手を少しだけ震わせた。 まさか。 でも、まさか以外に何があるだろう。
レイが他の人と話しているのを見ると、少しだけ嫌だった。 レイが自分を気にしてくれると、嬉しすぎた。 レイの声が少しやわらかいだけで、胸がうるさくなった。 配信が終わったあとも、メッセージを待ってしまう。 名前を見るだけで、気になってしまう。 全部、全部。 ただの同期に向ける気持ちって、こんなだっただろうか。
朝比奈 ひかり
ひかりは、小さく呟いた。 でも、否定しきれなかった。 スマートフォンがまた震える。
月城レイ:変じゃない
ひかりは、その文字を見つめた。
月城レイ:むしろ、気になるのは普通だろ
朝比奈 ひかり
その言葉が、なぜか少しだけ救いだった。 普通。 気になるのは、普通。 そう言ってくれるなら、少しだけ安心できる。 でも、安心したのも束の間だった。 次のメッセージが届く。
月城レイ:……俺も、ひかりのこと気になるし
ひかりの指が止まる。
朝比奈 ひかり
見間違いかと思って、何度も読む。 俺も、ひかりのこと気になるし。 気になる。 俺も。 ひかりのこと。
朝比奈 ひかり
声が、少しだけ震えた。 それって、どういう意味? 今のは、ただの流れ? それとも、本当に? 考えれば考えるほど、胸の奥がうるさくなる。 ひかりは、スマートフォンを抱えたまま、しばらく動けなかった。
朝比奈ひかり:……それ、ちょっとずるい
やっと送れたのは、それだけだった。 すぐに既読がつく。
月城レイ:何が 朝比奈ひかり:そういう言い方 月城レイ:どういう言い方? 朝比奈ひかり:気になるって言われると、余計に気になるじゃん
送ってから、ひかりは自分で顔が熱くなるのを感じた。 ……何を言っているんだろう。 まるで、自分から「気にしてほしい」と言っているみたいだ。 でも、実際そうかもしれない。 レイに気にされると嬉しい。 レイの視線が自分に向いていると落ち着く。 レイが自分を見ていてくれるだけで、胸が満ちる。 それはもう、ただの同期ではない気がした。 少しして、レイから返事が来る。
月城レイ:じゃあ、気にしとく
ひかりは、それを読んでしばらく固まった。
朝比奈 ひかり
小さく呟いてしまう。 気にしとく。 その言い方が、あまりにも自然で、やさしくて、ずるい。 ひかりは、スマートフォンを抱えたまま、ベッドに横になった。 天井を見つめても、気持ちは少しも落ち着かない。 むしろ、さっきよりずっと。
朝比奈 ひかり
でも、もう気づいてしまった。 レイのことを考えるのが、やけに多い。 配信中の声、通話の短いやり取り、少しだけやさしい間。 全部が、いちいち胸に残る。 そして、レイが他の誰かに向けるものを見たときに、少しだけ苦しくなる。 それは、たぶん。 ひかりはスマートフォンを胸に抱いて、目を閉じた。
――私、レイのこと好きなのかな。 初めて、そう思った。 口に出すのは、まだ少し怖い。 でも、胸の中に浮かんだその言葉は、もう消えてくれなかった。 好き。 月城レイが。
朝比奈 ひかり
そう呟いたあと、ひかりは少しだけ笑った。 うそみたい。 でも、たぶん、うそじゃない。 そのことに気づいた瞬間、胸の奥があたたかくなる。 同時に、少しだけ苦しくもなる。 好きだと分かってしまうと、今までみたいにはいられない気がした。
レイと話すのが楽しい。 レイの声が好き。 レイが自分を見てくれるのが嬉しい。 全部、全部、もう誤魔化せない。 ひかりは枕に顔を埋めた。
朝比奈 ひかり
返事はない。 でも、スマートフォンを見れば、そこにレイがいる。 たったそれだけで、少しだけ安心する。 おかしい。 本当に、おかしい。 でも、嫌じゃない。 むしろ、嬉しい。 ひかりは、トーク画面を開いたまま、少しだけ指を止めた。 送るべき言葉が、ひとつだけ浮かぶ。
朝比奈ひかり:また明日話したい
送信。 すぐに既読がつく。 少しだけ間があって、返事が来た。
月城レイ:うん。俺も
ひかりは、その文字を見て、思わず笑ってしまった。
朝比奈 ひかり
誰に向けるでもなく呟く。 でも、少しだけ嬉しかった。 また明日話したい。 その気持ちが、もう隠せないところまで来ている。 それを恋と呼ぶのかは、まだ分からない。 けれど、もうただの同期ではいられない気がした。
ひかりはスマートフォンを枕元に置き、ゆっくり目を閉じた。 レイのことを考えるたび、少しだけ胸が熱くなる。 その熱が、たぶん答えだった。 ――好き、かもしれない。 今はまだ、“かもしれない”でしかない。 でも、ひかりの中でその言葉は、確かに形を持ちはじめていた。
コメント
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わかる〜!!🌈💕 ひかりがスマホ片手に「好きかも…」って気づくこの流れ、やばすぎない!?😭💖 「気になるってだけ」って言いながら独占欲見せちゃうレイも、それに対して「ちょっとずるい」って返すひかりも、両方とも可愛すぎて心臓持ってかれたわ…!! 友達から少しずつ変わる瞬間の描写がめっちゃリアルで、こっちまでドキドキが止まらんかったよ!📱💓 続き、待ってるね〜⋆♡