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大飛

……ん

目を覚ました大飛 そこに優太の姿は無かった 大飛に掛けられていた ブランケットがパサッと床に落ちる

 

テーブルには置き手紙と 鍵が一つ置かれている

 

『ポストに入れておいてくれ』

 

たった一言だけ書かれた紙

 

大(あの夢は何だったんだろ…)

 

ぽろっと落ちる水滴

頬を流れる涙に気付く

 

大(泣いてたんだ…)

 

大飛

…ちゃんと、

大飛

話さなきゃ…

 

携帯を取り出して電話をかける 長い呼び出し音の後、聞こえる声

 

優太

『……はい』

大飛

ちゃんと…話をしよう……

優太

『……』

大飛

…帰ってきて……

優太

『…わかった……』

 

案外、すぐ近くに居たのだろう 電話を切って数分後に帰ってくる優太

 

大飛

優太

 

向かい合わせにテーブルに座る 顔を見合わせた2人は それぞれ視線を逸らして 長い沈黙が流れる

 

大飛

…何で…あんなことしたの?

優太

……ごめん

大飛

…理由は?

優太

…ごめん

テーブルの下で拳をギュッと握りしめる大飛

大飛

…ごめんじゃ無くて……理由を聞いてるんだろ…

優太

ッ……ごめん

大飛

だからッ!…

 

ぽた…ぽた…とテーブルに落ちる水滴

 

優太

ッ…ごめん…ッ…ごめんな、大飛…ッ…

 

大飛

なんで、なんで…お前が泣くんだよ……

大飛

泣きたいのは……俺の方だ…

大飛

俺は…ッ…今の時代を生きてるんだよッ!…

大飛

前世がどうとか…ッ…んなの分かるわけないだろッ!…

 

大飛がそう言うと優太の瞳が 悲しみに揺れる

 

大飛

それなのにお前は…ッ……あの日…ッ…無理矢理……

 

そこで大飛は口を噤んでしまう

 

震える手をギュッと握り締めて 落ち着けと心の中で自分を制する

 

大飛

はぁ…ふぅ…、

大飛

俺には知る権利がある…

大飛

お前には答える義務があるッ!

 

優太の目を見て強く話す大飛

 

優太

…夢を…見た……

大飛

夢…?

優太

何でこんなに同じ夢を何度も何度も繰り返されなきゃならないんだって…

優太

何でこんなにも苦しいんだって…

優太

ずっと考えてた…

優太

けどいつしか、これは夢じゃなくて記憶だって思うようになって…

優太

じゃないと…この痛みの説明がつかないッ…

大飛

痛み…

優太

心の底から会いたいと願う人が大飛だと分かったとき…全身が震えた

優太

すぐ近くに居たんだって…お互いに…何も知らない時から俺達は出会ってたんだって……そう思ったら…どうしようもなく手に入れたくなった…

優太

縛り付けてでも手に入れたい…でも……ッ…今世では…ッ…俺との人生じゃなくて大飛の人生を歩んで…今度こそ…幸せに…ッ…なってほしい…

優太

その狭間で揺れてる時に、飲み会で大飛が潰れて…
誰かに任せるくらいならって家に連れてきた……

優太

一晩泊めて朝になったら返せばいいって浅はかに考えてた…

大飛

ッ…

 

キーンと耳鳴りがして目を閉じると 大飛にその日の記憶が戻ってくる

 

優太

おい?大丈夫か?

大飛

ん~ふふッ…だいじょ~ぶだいじょ~ぶ

優太

はぁ…飲み過ぎだろ…チッ…何杯飲まされたんだよ………水、飲んで?

大飛

ん~やぁだ

優太

駄目、1杯でいいから飲んで

大飛

え~?…ん~……

優太

寝るな?!おい!鈴木?!

大飛

ん~ふふwなぁに?

優太

水飲んで、頼むから

大飛

はぁい…ん……もてなぁい

コップを受け取ろうとすると 泥酔して力が入らない大飛の手

優太

も~…はい

大飛

んっ、っ、はぁ、…

コップを口まで運ぶと ごくごくと飲み干す大飛 口の端からツーと溢れる水滴に ザワリと体が震える優太

 

優(まずい…)

 

大飛から距離を取って 視線を逸らす優太

 

大飛

ん~おしゃれないえだねぇ~?だれんち~?

優太

いや…俺だろ…

大飛

あ~きみねきみwww
どっかであったっけ~?

優太

誰かも分かってねぇのかよ…はぁ……どんだけ酔わされたんだよも~……

頭を抱えて座り込む優太

優太

?!

大飛

ど~したの~?いたいの~?よしよし~いたいのいたいのとんでけ~!

優太のもとまでふらふらと 辿々しく歩いて来た大飛は 優太を抱きしめると背中を撫でる

 

ドクン…ドクン…

優太

ッ…

 

優(……少しだけ)

 

大飛の背中にそっと手を回す優太

優太

ッ…少し…だけ……このまま

 

大飛

くるしいの~?だいじょうぶ~?

大飛

だいじょうぶだよ~おれがいるからね~?ひとりじゃないよ~?だいじょうぶ~

優太

ッ!やまとッ!!

大飛

んン…っ…ふ…ん……ぁ

 

記憶はそこで途切れた

 

大飛

ッ~…

優太

大飛…?

大飛

あ…大丈夫……続けて…はぁ…

優太

……一度触れたら…止まらなくて……その日はそのまま…

大飛

はぁ、は、…じゃあ…あの日は?……

鳴り止まない耳鳴りと頭痛に 大飛は顔を歪ませる

優太

おい…大丈夫か…?

大飛

はぁ、ふ、いいから…は、続けて…

優太

……少し…休もう

大飛

い、いからッ……ああッ!

優太

おいッ!

キーンと響く音と強烈な頭痛に 頭を抑えて耐える大飛

大飛

は、ぁ…ううっ…

 

『もう嫌だッ!!』

『〇〇が消える…』

『誰だっけ?…』

『幸せって何?』

『何で分からないんだよッ!!』

『怖い…』

『死にたくないよ……』

 

繰り返し頭の中で響く声

その声は大飛自身の声なのに

言った覚えのない言葉達

優太

大飛?!おい?!

大(やめて…)

優太

大飛?!しっかりしろ?!

大(やめろって…)

優太(前世)

大飛ッ!!

大(やめてくれ…)

優太

大飛!

優太(前世)

大飛!

優太

大飛!

優太(前世)

大飛!

 

大(俺を…起こさないで……)

 

大飛(前世)

もう…起きたくな、いッ…起こさないで…

 

優太

大飛!!!

大飛

ぁ、も、起こさないで……優太……

 

生まれ変わってもまた君と

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360

コメント

14

ユーザー

やっぱり、かなめっちの作品が1番だわ! 1取れないけど、かなめっちの作品はずっと見続けるよ!

ユーザー

どの物語も☆+☆)/サイッコー 続き待ってる!!

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