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⚠️注意⚠️ この物語は、ファンタジー寄りにしてはいるものの、実際の病気を題材としています。 その方々、及び親族の方々を侮辱するような思想は全くもって抱いておりません。 細心の注意を払って書いてはいきますが、不快になる描写がある可能性があります。 その場合はコメント欄にてお知らせください。 その場合は削除も視野に入れようと思っていますので、他の方も理解した上でご覧ください。 政治的意図は全くもってございません。
ある時代、ドイツ連邦は2つの国に分かれておりました。
『ドイツ連邦共和国』と『ドイツ民主共和国』です。
ここからは『西ドイツ』と『東ドイツ』と呼ぶことにしましょう。
その2つの国は元々はドイツ帝国という1つの国でした。
ですが、もう悪あがきができないよう
アメリカとソビエトはドイツ帝国を2つに分けてしまったのです。
そして生まれたのが、アメリカの支配する『西ドイツ』、
ソビエトの支配する『東ドイツ』となりました。
2人は離れ離れの時を過ごしました。
合ったこともない、顔も知らない『兄弟』を、2人は想い続けました。
そして時は進み、1990年10月3日。
2人の壁は無くなりました。
ドイツは統一したのです。
ようやく会うことを許された『兄弟』は幼い身体を目一杯走らせ、片割れの元へと駆けて行きました。
初めて会う『兄弟』。
でも、想い合った時間は計りしれず。
抱き合い、泣き合って統一を喜びました。
ですが、その幸せも長くは続きませんでした。
『東ドイツ』の体は崩れていきました。
統一は、片割れの死をも意味します。
崩れゆく兄弟の身体を、西ドイツはずうっと抱きしめていました。
やがて東ドイツが塵になり、無へ帰した頃、
西ドイツ自身も、統一の負荷により意識が遠くなり始めました。
新しい国として一新し、新たな門出をしなければなりません。
記憶を無くして、新しい『ドイツ連邦共和国』となるのです。
西ドイツはそれを受け入れるしかありませんでした。
彼にとっては、自分の歴史がここで途切れてしまうこと、
そして、兄弟と会った記憶が無くなってしまうことが恐怖だったのです。
その意志に反して意識は遠のくばかり。
諦めの境地に立ったのか、西ドイツはその抗えぬ力に身を委ねました。
そして、そのまま今は居ない『東ドイツ』を抱くように、眠りにつきました。
ドイツ…邦…さま…
ドイ…連…共和……ま……!
ドイツ連邦……国…さま…!
ドイツ連邦共和国さま!!
職員
職員
🇩🇪
🇩🇪
職員
🇩🇪
初めて見る世界。
それなのに自分の思考には、国の化身の性なのか、やらぬべき事が頭に浮かぶ。
自身の名、定め。
生まれたばかりだというのに、頭の回転は速く
世界を理解するのには、さほど時間は掛からなかった。
周囲には国の職員が何十人と居て、警備隊も多く配置されている。
そしてここは教会。
国の化身の誕生は、人間にとっては神聖な儀式なのだろう。
生まれたばかりの柔らかい精神に、その重圧と目線は深く刺さる。
職員
あからさまな お偉いさんは、手を差し伸べ微笑む。
小柄な幼い身体でその手を取る。
その手を取った瞬間、
…ここどこだ?
🇩🇪
頭の中に知らない声が響く。
幼いが、どこか荒々しい口調にも聞こえる。
…あれ?お前…西ドイツ…!?
🇩🇪
まって…!え…!?西ドイツ?ホントに!?
頭の中で泣きそうに震える叫び声が聞こえる。
頭の中で反響する声に、痛みを覚える。
また会えたぁ…っ…!…ぁあ…!
時折、ひっく といったすすり泣きのような声も聞こえてくる。
🇩🇪
🇩🇪
………え?
その一言が頭の中で酷く響いた。
それからしばらく、頭の中の『誰か』からの返答は無かった。
職員
🇩🇪
職員
そう、職員は柔らかくほほ笑んだ。
職員
そうして、バルコニーの扉の前まで来た。
外からは人々の声が聞こえる。
お祭りでもやっているのではないか、そう思わせる。
職員
職員
そうは言われるものの、よく分からない。
🇩🇪
試しに自分の思う神聖な立ち姿というものをしてみる。
職員
職員
職員
🇩🇪
新たな我々の代表でございます!
そうアナウンスが入り、それと同時に大きな扉が開かれる。
意を決して、前へ歩みを進める。
うおおおおぉぉぉぉおお!!!!!
ドイツが外へ出た途端、大歓声があがった。
中には、今までの苦労が報われたと思ったのか涙を流す者まで。
人々からすると、ドイツはある意味希望でもあるのだろう。
そしてしばらく歓声は止まらず、ドイツは堂々とした顔の内で若干の不安を抱いていた。
次の指示はいつ入るのだろう、と。
歓声が鳴り止めば、そこで教会の中へ戻ることは分かる。
だがしかし、その可能性は無いだろう。
なぜなら現時点で歓声が3分も続いているからだ。
自分でどうにかしなければならないのだろうか。
国としての最初の仕事が、これほどまでに空気を読む仕事だとは思いもしなかった。
しかし、その予感が当たることは無かった。
しばらくすると、後から職員が声をかけてきた。
職員
その言葉を耳に入れ、国民に背中を見せることなく後退りする。
そして、扉の前で一礼をし、中へ戻った。
職員
職員
🇩🇪
一連の仕事が終わり、どっ と疲れが流れてきた。
職員
職員
🇩🇪
そして、ドイツは車へ乗り込んだ。
着いた先はとても大きな屋敷だった。
天井は高く、シャンデリアが吊られている。
床はタイルで、廊下かやけに長い。
落ち着かない、それが第一印象だった。
職員
職員
🇩🇪
職員
そう言い、職員は深く深く礼をした。
案内人
その案内人は綺麗なスーツをきちっと着こなして、髪をワックスで固めていた。
案内人
案内人
案内人
案内人
🇩🇪
そうこうしている間に、部屋と思われる場所まで着いた。
案内人
その部屋は広く大きな窓が特徴的だった。
向こうには書斎もあるように思える。
案内人
案内人
案内人
案内人
案内人
この案内人も先ほどと同じように、深く礼をした。
そして、優しく扉を閉めた。
🇩🇪
ドイツはフラフラとおぼつかない足元でベッドへ向かった。
そして、倒れ込むようにベッドへ寝転ぶ。
🇩🇪
天井を見ると、ここもまたシャンデリアが吊られていた。
大きな窓からは日光が差しこみ、線を作っている。
🇩🇪
自分が国という事実にまだ頭が追いつかない。
そして、あの重圧に耐えれるか考えてみるが、思い出しただけで鳥肌が立つ。
🇩🇪
ドイツ
🇩🇪
なぁ西ドイツ、本当に俺のこと…覚えてないのか?
さっきの威勢のいい声は何処へやら、酷く沈んだ声になっている。
🇩🇪
ドイツ民主共和国、東ドイツ。
お前の双子の兄弟だ。
先に崩壊した方だ。
🇩🇪
……そっか。
酷く震える声。
顔を見ずとも辛そうで、涙をこらえているのが分かる。
じゃあ、一から始めよう。
🇩🇪
俺の名前は東ドイツ!お前の双子の弟さ。
多分統一の影響だろうな、何故かお前の精神の中に居るみたいだ。
これからよろしくな?
先ほどまでは一転、明るい声が戻ってきた。
🇩🇪
🇩🇪
🇩🇪
ごめんごめん
まぁ、これから慣れていこうぜ。
兄弟
🇩🇪
ここから1人の、もしくは2人の国の化身としての生活が始まる。
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