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初コメ失礼します^^* どの表現もとても綺麗で、本当に目の前に星空が広がっているかのようでした! これからも頑張って下さい!
とても新鮮で素敵な作品ですね!
実はAIは人造人間で不良少年と仲良くなる…… え、なんかそーゆーの好き💕 AIを作った人怖かったけど不良少年くんが助けたところ見て「わぁぁぁ!!!」ってなったw(( 今回も最高だったよ✨
【P.M.11:48】
星空の下にいる僕は、 その凍えるような寒さに
身体が震えていた。
今、僕が見ている星空の上に もう一つの世界がある。
その世界で、北風がビューっと吹き付けるのと同時に…
僕のいる世界の星空は、波紋が 波打って見えなくなる。
水面下の世界に、 僕はいる。
はぁ………。
こんな世界は、嫌いだ。
温かな指先が、 僕の頭に触れる。
…タダイマノ水温、 マイナス1度。
水温に比べたら、 彼のかじかんだ指先は
よっぽど温かかった。
「…アリガトウ。」
心の中で、僕はそう言った。
…僕がそう言うと、彼は 満足したように踵を返した。
…どうして僕はここにいるの?
どうして僕はいつも1人なの?
あの方にそう問いかけたって、
彼は困ったように笑うだけ。
僕の憂鬱な夜を 晴れやかにしてくれるのは、
いつだって、側に居てくれる 星空だけだ_____
…ねぇ、お星様。
教えてよ。
僕は……
…何者なの?
…あっ……。
ぽた……っ
一つ、また一つと 空から水滴が静かに落ちて…
その雫によってできた波紋が 静かに波打っていく。
これが…雨?
…水面が波打っているせいで 星空が見えなくなっていく。
…お星様、答えてよ。
…どうして、僕を 待ってくれないの?
…嫌だ、嫌だよ……
…僕を置いていかないで…。
…手を伸ばせば、まだ お星様に届く気がして
精一杯、僕は星空を仰いだ。
…でも、届かなかった。
一つ、また一つと雫が
水面に落ちて、波紋が広がり…
僕と星空の間にある境界線が、 露わになる。
…あぁ、お星様。
君は…偽物だったんだね。
僕とはきっと、住む世界が 違いすぎたんだ…。
…本物の、君____
…本物のお星様を、星空を、 見たかった。
…そんな時だった。
慌てたような、大きな足音が 水中に響く。
…ふと、聞こえた空耳のように小さな小さな声___
その声を、僕は 聞き逃さなかった。
大きな音と同時に上がるのは、
白く大きな水飛沫。
…もう、大丈夫だよ。
今、助けるからね。
数分後…
金髪の爽やかな雰囲気を 身にまとった1人の少年が、
ようやく、目を覚ました。
立ち去ろうとしていた彼は、 僕の言葉に足を止める。
自信たっぷりに微笑む彼を、 僕は横目で見つめていた___
そんなこんなで、 僕は彼に手を引かれて
どこかへと向かっていた__
彼の手は、あの方よりも よっぽど温かかった_____
しばらくすると、僕らは たくさんの木々や草花のある
小さな草原へと 足を踏み入れていった。
その間も、彼の手から 伝わる体温は
あったかいままだった。
水面越しじゃない。
はっきりとした、お星様__
しばらく沈黙が続き、 2人して星空を眺めていた。
…どれくらい経っただろう?
不意に、彼が静かに、 ポツリと呟いた。
そう言って、君は 僕の頭に手を置いて、
頭が痛くなるほど 強くかき乱してくれた。
意地っ張りな君と僕。
意地っ張りな君は、自分の耳が
真っ赤になっている ことなど知らずに
頑なに認めない。
意地っ張りな僕は、君が
嘘をついていることを知ってて
君の言動を頑なに認めない。
馬鹿みたいなことだけど、 こんな何気無いやりとりが
僕にとっては楽しくて…
しかし、そんな幸せは 一瞬にして崩れ落ちる。
…僕を作ったこの方に、
AIの僕が歯向かうなど、 許されることではない。
あの方は、不良少年の言葉に 見向きもせずに、
僕だけを見て、微笑む。
向けられた笑みには、 強い殺意が滲んでいた。
目は、恐ろしいほど 真っ赤に充血していた。
ジリジリと、近づいてくる 大きな人間の姿。
そのあまりの恐ろしさに、
僕は足がすくんでしまった。
…まだ、君との絆が 消えたわけじゃなかったんだ。
僕たちは、この手と手で 結ばれている___
…君は、僕の手を さっきよりも強く握った。
そして、駆け出した。
僕を連れて。
…途中、あの方の激しい怒声が 聞こえてきた。
それでも僕は振り向かず、 ただひたすらに走った。
…僕らは、
息を切らして走り続けた。
恐る恐る背後を振り返って、 あの方がいない事を
確認してから、 ゆっくりと呼吸を整えた。
…おかしかった。
何が面白いとか、そんなの わからないけれど…
…笑ってしまった。
2人とも無事だったことに 安堵して…。
さっき、強くきつく 握り合っていた手と手で
今度は笑いで滲んだ涙を 拭っていた。
彼は何やらおかしそうに 声を立てて笑う。
そんな彼につられて、 僕にも笑顔が広がっていった。
僕の隣で、優しく 微笑んでくれる彼。
彼はもう、『不良少年』 なんかじゃじゃない。
…誰よりも優しくて、 爽やかで、心が強くて…。
そんな彼は、僕にとって 誰よりも大切な人。