─── 十年前、杏堂家
父
杏堂〇〇
私の父は暴力的だった。
気に入らない事があれば私や姉に手を上げ、 癇癪を起こして物を壊したりもした。
中身が子供のまま 図体ばかり大きくなった大人のようであった。
それでも母や祖母が私達を庇わなかったのは、 父がとある会社の社長で、お金があったから。
父
杏堂〇〇
私も私で鈍臭い子供だった。
決して逆らったりはしなかったけど、 家事も勉強もろくに出来なかった。
それに対して父は物凄く怒る。 文武両道なんて当たり前だと、毎日の様に言われた。
父
父
父
煩い
父
煩い
父
煩い
父
杏堂〇〇
私がそう叫んだ途端、 甘い香りが舞って部屋を一瞬にして包んだ。
気付いたら父が目の前に倒れていた。 口からは血が出ていて。
杏堂〇〇
母
母
私も母もパニックになって、 その後来た祖母が救急車を呼んだけれど間に合わず。
父の死は原因不明。 判ったのは肺がボロボロに劣化していた、それだけ。
母
母
杏堂〇〇
母
母
父が死んだのは私が原因だと勝手に決めつけて、 母も姉も祖母も毎日私に罵声を浴びせるようになった。
今となれば私の異能力が急激に発達し、 まあ私がやったに変わりないと判る。
けれどその頃の私は異能力の事も、 ましてや其れを自分が持ってる事も知らない。
何で私がこんな目に遭うのかと 毎日毎日思っていた。
祖母
姉
杏堂〇〇
杏堂〇〇
杏堂〇〇
杏堂〇〇
私の心を支配したのは明確な殺意。
私はその時初めて異能を自分の意思で使った。
次々と倒れる母達を見てゾクゾクした。 幸福感。之で自由になれるんだって。
杏堂〇〇
私が初めて自分の意思で人を殺した日。
コメント
4件
ぁぁぁマジで好きです! 毎回毎回神作品です! 応援してます!
( '-' )スゥーッ↑好きです、。毎回ニヤニヤしながら見ておりますほんとに神です。