あの日以来、彼女は私を避けている気がする
涼
(…あの時はヒートだったし…楽になりたいからのお願いだったら私は安易に噛めない…)
涼
(…でも…咲良が他の人と番になるのは…)
考えるだけでも吐き気がする
咲良
……あ…
涼
…咲良
涼
待って
目が合うと直ぐにどこか行こうとする彼女の腕を掴む
咲良
………
涼
どこ行くの
涼
今日は一緒に帰れるの?
咲良
き…今日は……
咲良
えっと…
涼
先生の用事もないよね
涼
部活の助っ人も無いね
涼
生徒会のお手伝いもないね
咲良
う……
涼
なんで避けるの咲良
咲良
えっと…
先生
夏目
涼
!……
先生
ちょっといいか
涼
…はい
咲良
………
タイミングの悪い呼び出しに腹を立てつつ彼女とその場は別れた
涼
転校生?
先生
ああ、転校生が来るんだが…
先生
夏目がしばらく面倒見てくれないか
先生
…その…
先生
Ωなんだその子
涼
え…じゃあ…
先生
でももう番はいるんだ
先生
だからフェロモンに当てられる事は無いと思うんだが…
先生
やっぱり…な
先生
Ωってだけで何か起こったら大変だからな
先生
慣れるまで一緒に居てくれるか?
涼
……分かりました
予期してない提案に驚きつつ、私は承諾した
数日後
結衣
天木 結衣です(あまき ゆい)
結衣
よろしくお願いします…
先生
ってことだ皆よろしく頼む
先生
まぁあと1ヶ月ちょっとで夏休みなんだが…
先生
少しでも馴染めるようにね
先生
席は夏目の隣な
咲良
!
涼
(なんか…綺麗な子だな…)
私の前には咲良そして隣に転校生という謎の構成になった
結衣
よ…よろしくお願いします…
涼
よろしく〜
2人の会話が気になりつつも後ろを振り向けずにいた
咲良
(う〜…気になる……)
結衣
えっと…
涼
ああ、私は夏目 涼
涼
涼でいいよ
結衣
あ、はい…
結衣
涼さん…?
涼
うん
涼
結衣でいいのかな?
結衣
!はい!
咲良
(流石陽キャ…いきなり呼び捨て…)
涼
学校案内しよっか?
涼
放課後時間ある?
結衣
はい、大丈夫…です
涼
堅いな〜!楽に喋ってよ〜
結衣
…う…うん
お淑やかっていう言葉が良く似合う転校生
少しだけ私は焦りを感じていた
咲良
(涼ちゃん…取られちゃう…)
それから、数日間 いつ見ても2人は一緒にいた
涼
購買戦争は本当に気をつけてね
結衣
戦争…?
涼
ほら、あれ
結衣
うわぁ…
涼
まぁ、待ってて
結衣
え?
数分後
涼
ほらこんな感じ
結衣
え!すご…!
涼
いる?
結衣
あ、私お弁当だから…
涼
ん、おけ
咲良
………
咲良
(もう仲良くなってる…)
曲がり角からジッと覗き込んでると彼女が私の方に近づいてきた
咲良
!?
涼
咲良
咲良
…は…はい…
涼
ご飯食べるよ
咲良
で…でも…
涼
1人じゃ全部食べれん
涼
おいで
咲良
…うん
避けてしまってもそんなの関係なしに話しかけてくれる彼女にときめいてしまう
結衣
へぇ、お2人は幼馴染…
涼
うん、小さい頃からずーっと一緒
咲良
モグモグ
2人の会話を聞きながらパンをかじる
結衣
そうなんだ〜…
結衣
いいね〜
結衣
涼さんは…α…だよね?
涼
ん…そうだよ
結衣
じゃあ咲良さんも…?
咲良
いや…私はΩ…だよ
結衣
あ、じゃあ私と一緒か
結衣
……ん?じゃあお2人は番なんですね
涼
ん…違うよ?
結衣
えっ?!
結衣
てっきり番かと…
涼
ははは
涼
よく言われる
涼
咲良には超お金持ちと番になって欲しいんだよねぇ〜
咲良
…え?
涼
絶対不幸にしない人とね
結衣
へぇ〜
咲良
(じゃあ…涼ちゃんが番になってくれたらいいのに…)
結衣
ふふ…仲がいいんだね
涼
はは…
涼
そうかもね〜
結衣
あ、そうだ
結衣
夏休み、一緒に遊ばない?
涼
お、いいね〜
涼
毎年行ってるお祭りあるから一緒に行く?
結衣
行きたい!
結衣
…私の番の人も連れて行っていい?
涼
お〜いいよいいよ
涼
咲良、いいよね?
咲良
へ?!
咲良
あ、う…うん
涼
じゃあ決定で
涼
また予定決めたら連絡する
結衣
うん!
当然のように予定を決められたのが、少し嬉しく思っていた