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わたし
わたし
わたし
わたし
わたし
わたし
わたし
時透有一郎
兄さんの痛みに耐える声が聞こえる。
僕はただ見ていることしか出来なくて、体は動かなくて…
気がつけば兄さんは手遅れだった。
血塗られた手で兄さんを抱える。
時透無一郎
はぁ、と息が途切れ途切れになりながら兄さんは最後の力を振り絞るように掠れた声で、最期の言葉を放つ。
時透有一郎
"無限の無"なんだ。と
…今思えば、これが全て、悪夢の始まり。
逃げるように霞で記憶は隠された。
…兄の存在なんて、覚えてもいなかった
このもどかしい気持ちはなんだろう。
思い出せるようで、思い出せない。
この気持ちだけは、いつまで経っても忘れられない。
でも、僕にとって凄く大事なことだったのは分かる。
食べ物が喉に通らない。 …大切なものを、失っているような。
自分にイラついて自虐を繰り返した。
…何も、意味は無い。ただ虚しくさせるだけだ。
また、イラついて自傷を繰り返す。
誰も止める人はいない。 誰も求めてくれる人はいない。
…生きてる意味は、あるだろうか?
上弦の壱と戦い死んでしまった後、 僕は"兄さん"に会う。
思わず涙が出て、 「兄さん」 と言葉を零してしまう。
ぎゅ、と。 お互いを確かめ合うように、抱きしめ合う。
…でも、内心は怖かった。
兄と再会できて嬉しい反面、 また消えてしまうのかもしれない。 僕の知らず知らずのうちに居なくなってしまうのかもしれない。
と、恐怖を抱いていた。
…だから、もうあんな過ちは犯さぬように。
兄さんは僕が…
…僕が、守るしかないんだ。
時透有一郎
って名前を呼ばれた。
"なに?"ってつい笑を零して返事してしまう。
…幸せそうに話していて、 僕も幸せになる。
…だけど、このままじゃダメなんだよ。
兄さんが、兄さんが死んでしまったのは…
…僕、のせいなんだから…
やっちゃった、やっちゃった。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ
嫌われたくない、嫌われたくない
ダメってことはわかってるの。 こんなこと聞かせたら、兄さんも嫌だってわかってるの。
でもね、でも、でも…
…癖になっちゃったの。
自分を傷つけようとするのが、自分を責めるのが、自分を追い詰めるのが…
悪癖ってこと、分かってる。
だけど…どうしても、やっちゃうんだ。
「自分が嫌い」 だとか 「なんで生きてるのかな」 とか
どうしても言っちゃって。
"僕なんか死んじゃえばいい" って、どんなに幸せでも思っちゃって。
満たされてても、思っちゃって…
幸せになる度に、ダメになっていく気がするの。
兄さん…兄さん。
…ごめんなさい。
数日後────
兄さんが僕に重要な話があるって いつにもまして真剣な顔で言ってきた。
なんだろう、と思いながらついて行ったらこんなことを言われた。
時透有一郎
って。 …本当に心配してる顔で言われて。
"きっと力になれるから"
…とか。
"俺に出来ることならするから"
って。
…今、思っちゃダメなことが頭によぎる。
"…知ったかぶりしないでよ" って。
兄さんが次の言葉を言おうとした瞬間、 僕、は
兄さんに、頬に平手打ちをしていた。
あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、
いやだ、いや、やだ、絶対嫌われた。
いや、いや、いや、いや、
頭がクラクラして、汗が大量に出て。
兄さん、兄さん、兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん
やだ、嫌いにならないで…!
時透無一郎
…兄さんは、ただ「大丈夫」と言って
精一杯のような笑顔を、僕に向けた。
兄さん、兄さん、兄さん。
兄さんのことを考えていると、 ついにやけてしまう。
…だが、やはり昨日の平手打ち。
兄さん、痛かっただろうな。
でも、兄さんは優しすぎるんだ。
僕が打っても大丈夫なんて言うんだから。
本当に、本当に。
…優しすぎるんだよ。
そんな兄さんを、僕は傷つけてしまった。
…ますます自分が嫌いになった。
思えば、僕の心の拠り所は兄さんしかいなかったのかもしれない。
時々優しいところがあって。 言動はきつい所があるけど…
僕は兄さんがその頃から好きだった… …いや、好き、なんだ。
あることがきっかけで話さなくなって。
それでも、 …兄さんが好きだった。
…兄さん。
大好きな人と一緒にいれて幸せなのに。
兄さんと一緒にいた時、 不意に兄さんの口から"ごめん" という言葉が出てくる。
何度も謝り続けてる。 …もしかしたら、不安がってるのかもしれない。
僕で、その不安が紛れるなら…
なんて。叩いた僕が言えるもんじゃないけど。
…それでも、少し紛れるなら…
兄さんを抱きしめた。
そして"大丈夫"と返した。
…謝ることなんてないのにな。
時透無一郎
何故か急にいらいらして、 兄さんに怒鳴ってしまった。
時透無一郎
兄さんは1回静かになったあと、 "大丈夫"と静かに言った。
涙が頬を伝う。
僕、おかしくなったのかな?
悪い病気、なのかなあ…
…わかんないや。
時透有一郎
…驚いた。 少し話しかけただけで、怒られてしまった。
時透有一郎
時透無一郎
ちょっと、ショックで泣いちゃうかもしれない。
時透無一郎
無理やり笑顔を作って、走り出した。
…綺麗な草原のもとに走り出した。
兄さんとよく言った場所。
… 手首に傷をつけた。
いたい。…だけど、その痛さで少し落ち着く。
そのまま、完全に落ち着くように 自分に傷をつけた。
兄さんが最近避けるようになった。
どうしてなんだろう…?
…あと、寝床につく時泣いてるみたいな音が聞こえる。
悲しいこと、あったのかな…
なら、僕が相談にのってあげれないかな…?
…兄さん…
時透有一郎
必死に痛みに耐える。
痛い、痛い、痛い、痛い。
血が出て、頭が真っ白になって、 嫌な音が響く度これまで1度も体験したことない激痛が走って。
…これは、報いなのだろうか?
…今まで、優しくしてやれなくてごめんなぁ。
辛かったよな。 美味しいもの沢山食べさせてやれなくてごめんな。
後悔しても、しきれない。
死に際にこんな後悔するなんてな。
謝れば済む話… じゃ、ないと思うけど
謝って無一郎のあの悲しそうな顔が無くなるなら、勿論俺だって謝るさ
…そんなこと言っても、無駄だ。
…最後に、一つだけ。
力を振り絞って、少しばかりの償いを。
時透有一郎
"無限の、無"
意識が消えて、痛みだけが残って。
もし生まれてくるときは、 無一郎だけは幸せでいてくれ。
無一郎がこっちに来た。
14才で、死んでしまった。
…まだ、半分もいってないじゃないか。
"兄さん" と涙を流しながら俺を呼ぶ。
…いやだ。
こっちへ来るな、戻れ…っ!
俺は、ただ。
お前に、生きてて欲しかった。
老いるまで生きて、幸せになって欲しかった。
無一郎に俺が少しでも幸せな思いをしてやれなかった分まで、全部。
…お互いを確かめ合うかのように、抱きしめ合う。
もう二度と離さない、と言うかのように。
時透有一郎
あれから数日が経った。
"なに?"と笑顔で返される。
幸せだな、と思いながら無一郎と話していた。
…ああ。
こんな時間が、ずっと続けばいいのになぁ。
最近の無一郎は明らかに変だ。
"自分が嫌い" "僕は生きてる価値がない" と。
自虐をしはじめたり、 凶器で自分を傷つけたり、
なんとか止めることには成功したが、どうしたんだろうか?
辛いことがあったのだろうか…
…俺が、力になれるなら。
できることは、してやりたい。
…無一郎に聞いてみよう。
"最近おかしいけど、どうしたんだ" って。
数日後───
無一郎に "大事な話がある、ついてきてくれ" と、ついてくるように言う。
ほとんど人が寄り付かないところに行って、覚悟を決めて無一郎に問う。
時透有一郎
できるだけ無一郎が傷つかない言葉を選んで。
…そして。
次の言葉を口にしようとした瞬間──
パチン、と音がする。
肌に何かが強く当たったような。
頬がヒリヒリと痛む。
…痛い。
いたいけど、何が起こったのか分からない。
無一郎の方を見てみると、汗がいっぱい出ていてすごく不安な顔、をしていた。
時透無一郎
沢山謝られる。
…もしかしたら、無一郎は今の言葉で傷ついたのかもしれない。
…でも今は大丈夫、と言って安心させてあげなきゃな。
"大丈夫"と痛さを押し込んで 笑顔を向けた。
翌日、無一郎が昨日よりもっとおかしくなってしまった。
やっぱり俺の言葉のせいなのだろうか?
…ならああいう言葉は控えた方がいいのかもしれない。
昨日の平手打ちの痛みはとっくに引いてる。
…昨日のことより、無一郎、本当に大丈夫なのだろうか…
…もしかしたら、おかしくなったのは俺が死んでしまったからなのかもしれない。
…家族はみんな居なくて、俺たちふたりだけ。
別に、巻を買う人にも特別仲良い人はいなかったし。
…そう考えると、凄く申し訳ない。
やっぱり謝った方がいいよな。
口から"昨日はごめん"と言葉が零れる。
だけどおかしいな。 …謝る口が止まんない。
…あれ、あれ。
…ああ、無一郎が心配そうな目でこっちを見てる。とめないと。
…呼吸が乱れて。頭がクラクラする。苦しくなる。
もしかしておれはなにか悪いものにかかってるのか…?
それとも、俺がおかしくなったのか?
…わかんない。
ぎゅ。
無一郎に抱きしめられてるみたいだ。
"大丈夫"と優しい声が聞こえる。
…何故か、少し安心したような気がした。
時透無一郎
無一郎が急に怒鳴ってきた。
…そして、無一郎が謝ってきた。
少し固まってしまった。
そのあと"大丈夫"と返した。
途端、無一郎が涙を流す。 突然泣き出すから驚いてしまう。
…どうしたんだろう。
おれは本当におかしくなってしまったのかもしれない。
無一郎と接していると何故かいらいらしてしまう。 …正直めんどくさい
…本当に、俺はどうしてしまったんだろう?
数日後────
無一郎を避けるようになってしまった。
…実の弟なのに…
自分が嫌いになっていく。
もう嫌だ。
…もう、俺たちは…ダメだったのかもしれない。
…いや、ダメなんだ。
どんなに避けても、 どんなに依存されても、 どんなに自虐を聞いても、 どんなに自傷行為をしようとしていても。
もう、何も思わない。
…なぁ、無一郎。
俺たちはもしかしたら…
…もっと、別の道をたどっていれば
結ばれていたかもしれない。
…なんてな。
…ごめん、無一郎。
わたし
時透無一郎───
鬼殺隊 霞柱. 上弦の壱 "黒死牟" との戦闘で死亡. 死亡後兄と再会.精神が悪化, 自己肯定感が低く.自分を自虐しないと落ち着かなくなる,
時透有一郎────
11才という若さにて死亡. 無一郎と再会後.暫くして精神が不安定になり悪化する, 実の弟にイラつき.面倒くささを感じ避けてしまったため 大幅に自尊心.精神が不安定になる,
Fin.