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カランカランカランッ

いつも通りドアを開けると、暑くてたまらなかった体が 一気に涼しさに包まれる

カフェの店員

あら桃くん、今日も来たのねニコッ

はい...

カフェの店員

こちらの席へどうぞ〜

カフェの店員

最近本当暑いわよねw涼しいところのバイトで良かったw

でもその分行き帰りの暑さが辛いでしょうw

カフェの店員

まあね〜

カフェの店員

今日もいつもの?

はい、いつものお願いします

カフェの店員

分かった!

すいませ〜ん!

カフェの店員

あ!はぁい!じゃあ桃くんまたね

はいニコ

俺はこのカフェの常連

こんな風に店員さんとも仲がいいし、よく来る客の顔だって覚えている

注文したものが来るまで暇なので店を見渡す

誰も彼も見かけたことのある人ばかりだ

ん....?

一人、

初めて見る顔の奴がいた

もちろん、初めて見る人がいることなんてよくある事だ

でも、そいつに目が行ったのは、明らかに違和感のある雰囲気からだろう

.........

何を考えているのか。

それとも何も考えていないのか

ハイライトが消えた虚ろな目。

まだこんなに暑いというのに長袖のしっかりとした生地のパーカーを着ている

(何なんだ...?アイツ)

まあいいや

そう思い視線を別なところに移そうとした時、視界の端に何かが光った

....?チラ

...ッ!?

視線を戻すと、その"光っているもの"が目に入った

"彼"のバッグと思われるものから覗いていたもの。それは

カッターナイフだった

刃の部分が電球の光を反射して鈍く光っている

カフェの店員

?桃くん?

あ、

カフェの店員

お待たせ。はい、これ

カフェの店員

何見てたの?

いや、何でも...

カフェの店員

何か気になることあったら気軽に聞いてね?

はい、ありがとうございます

店員さんが店の裏に戻ると、また彼に視線を戻す

チュー

いつの間にか向こうも注文したものを受け取り口に含んでいる

ズルルルルルッ

彼のコップが音を鳴らす

飲むのが早いんだか、早めに受け取ったのか 彼はもう飲み終わってしまったようだ

.......ガタッ

席を立ち、レジの方へ歩いて行った

ッ.....

すいません!

俺は声を張り上げる

カフェの店員

はいはい!

カフェの店員

どうしたの?桃くん

これ、持ち帰っていいっすか

カフェの店員

え?えぇ、構わないわよ

ありがとうございます!

失礼します!

足元に置いてあったバッグを掴み、急いで会計を済ませた

スタスタスタスタ

急いだおかげで、彼の小さな背中はまだ見える

タッタッタッタッタッタ

....?クル

おいッ...!

....僕、?

お前以外いるかよッッ....

........何の用?

桃くん

ッ....お前ッ...なんでッ...

何について聞いてるの...?

僕があのカフェにいたこと?それとも...

違うッッ....

いや、間違っちゃいないけど、俺が追いかけてきたのは別な理由だ

....うん、何?

お前ッ...何でッ...

カッターなんて持ち歩いてんだよッッッッ...

...見られちゃった?

バッグから少し見えてたから

そっか....

持ち歩いてる理由を、聞いてる?

そうだよッ...

......何があっても、いいように

は...?

...僕の、大切なものだから

そう言うと、目を細めてバッグに触れる

大切なものッてお前ッ...何言って...

大切に理由はないでしょ?

僕、急いでるから

おい待てよッ...

今から、帰んのか?

...、そうだけど?

俺も、着いてっていいか?

桃くんは来ちゃだめでしょw

なんッ...

ダメだって...

桃くんにはまだ

『メンバーとリスナーさんがいるでしょ?』

ッッッ....

お前だってッ...!

もう過ぎたことじゃんw忘れよ?

そうだ桃くん

着いてくるのは困るけどさ

送ってってよ、僕のこと

あぁ...

送ってくれてありがと、

ん...

ねぇ桃くん

ん...?

置いてっちゃって、ごめんね

ッ...ポロッ

僕のことなんて忘れて、新しい人と幸せになりなよ?

またね

______。

待ッッ....

ニコッ

スゥ...

彼を掴もうと伸ばした俺の手は空を切り

頼りなく腰の横に落ちた

俺もだよッッッ.....

お前を忘れるなんてッ....

できねぇよッッ....ポロポロ

ごめんッ...ごめんなぁッ....ポロポロ

誰にも届かぬ俺の声は、静まり返った___に溶けていった

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コメント

37

ユーザー

静まり返った墓地で?

ユーザー

儚き愛が消え逝く現実

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